【SDGs / ESG】SDGsに無関係な業務分野はない。最新議論を織り込んだベスト・プラクティスへ - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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SDGsの最新議論にコミットし全弁護士が知見を習得する体制を整備

クライアントの持続可能な成長に向けた法的課題をサポートすべく、各専門分野の弁護士が積極的にSDGsおよびサステナビリティ法務を体得する取り組みを進めるアンダーソン・毛利・友常法律事務所。
同事務所は慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボが主催する「xSDGコンソーシアム」に加入し、SDGs達成へ向けたアクションの優良事例の創出、行動基準の作成、知識と実践基盤の構築を推進している。
「SDGsには多様な側面があり、必要な施策も企業ごとに異なります。その時々のベストプラクティスを常に模索すべき領域において研究者・自治体・企業の皆さんと最先端の議論を深めるとともに、我々からは法律家の視点から情報や論点の提供を行っていければと思っています」と語るのは坂本佳隆弁護士。
「SDGsは業務分野の一つとして捉えられがちですが、本質から考えれば適当ではありません。SDGsは企業活動すべてに関係するため、全弁護士が知見を得ることが重要です」(坂本弁護士)。
同事務所のホームページには「サステナビリティ法務」と題した特設ページが設けられており、SDGs研究分野における第一人者である慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授の蟹江憲史氏や東京大学名誉教授であり同事務所客員弁護士の中川淳司氏をはじめとする研究者や国際機関の専門家、途上国で社会的投資を実践するNPO法人の代表者との対談記事など、最新の知見が継続して発信される。
「コンテンツの作成と同時に、対談に招いた専門家を講師として所内研修も実施し、所属弁護士のSDGsに関する知見の深化に努めています」(坂本弁護士)。

“サプライチェーンと人権”の課題は背景を理解した個人の尊重から

SDGsに通底する人権尊重の観点は、近年サプライチェーンにおいても実現が求められている。横井傑弁護士は、その実施においては各国の労働者保護の強度や人権意識の違い、各国法令間の緊張関係を踏まえながら企業の仕組みに落とし込む必要があると語る。
「SDGsでは、各国の法律を遵守しているだけではカバーしきれない点を、ILOや国際人権規約が掲げる“普遍的な人権”の観点から保護することがポイントなのです。今夏に策定予定の「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」で、どのように規定されるのか注目が集まっています」(横井弁護士)。
サプライチェーンと人権へのアプローチは企業ごとに異なる。同事務所では綿密なヒアリングを通じて各企業の抱える問題・課題を把握し、クロスボーダー業務で培った知見を基に企業に適した実施策を提案しているという。
「日本企業の取り組みには大きなギャップがあり、人的リソースの多い大企業ほど対応が進む傾向にあるものの、意識の浸透の不十分さや、どの範囲のサプライチェーンまでリスク管理を行うかなど、各企業悩みを抱えています」と語るのは北村健一弁護士。
この点については、政府の議論も踏まえ、日系企業のサプライチェーンが多く存在する中国・東南アジアの拠点との連携を活かし、現地社会・文化・法制への理解に基づいたリーガルサービスの提供を、人権DDをはじめとした各施策において取り組んでいくという。

世界的なディーセントワーク普及に実務的な視点から助言を実施

SDGsの目標8に関わるディーセントワークの促進は、2022年2月に欧州委員会がCommunication on Decent Work Worldwideを公表するなど、改めて世界的な課題として捉えられている。日本でもこの数年、働き方改革として時間外労働の上限規制や、ハラスメント防止対策、同一労働同一賃金等のさまざまな法改正が行われてきた。近年は、ディーセントワークの実現で先を行く欧米企業から、本国のポリシーや従業員ハンドブックを日本支社に適用する際の相談も多いと木本真理子弁護士は語る。
「日本の労働法に準拠して社内規程を策定するだけでなく、“Equity(公平性)”を重視したDE&Iの価値をどのように日本で実践できるのかというご相談があります。具体的には、本国の従業員ハンドブック上、企業の義務であるトランスジェンダーの方用のトイレ設置を日本のオフィス環境や慣習に合わせてどう実現するかが問題となりました。また、米国等で従業員のダイバーシティの状況について当局に報告義務がある場合に、日本の従業員の性的指向・障害の有無等の情報を取得する必要があります。その際、日本の労働者の個人情報保護規制が問題になります」(木本弁護士)。
海外企業によるグループ企業の労務コンプライアンス徹底のための労務DDの依頼も増加傾向にあり、その際には法令遵守の観点だけでなくディーセントワークの観点も求められると語るのは西内愛弁護士。
「今後は日本企業へのアドバイスにおいても、人権の尊重やディーセントワークの観点の重要性が増すと考えられます。現状、多くの日本企業は相次ぐ労働法改正への対応で手一杯かと思います。その点はしっかりとサポートしつつ、クライアントの状況に応じ、一歩先のより良い職場環境や人事制度の構築を目指すアドバイスも行っていきたいと考えています」(西内弁護士)。

※ 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用しております。

→『LAWYERS GUIDE Compliance × New World』を「まとめて読む」
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PC 所在地・連絡先
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング20階
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ウェブサイトhttps://www.amt-law.com/

坂本 佳隆

弁護士

06年東京大学法学部卒業。08年東京大学法科大学院修了。09年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。16年米国University of Southern California 修了(LL.M.)。19年カルフォルニア州弁護士登録。21年より同所パートナー。主な取扱分野はM&A、上場会社等のコーポレートガバナンス対応、株主総会対策等の会社法関連業務など。

横井 傑

弁護士

09年早稲田大学大学院法務研究科修了。10年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。14年北京オフィス代表、16年上海オフィス代表。20年米国Georgetown University Law Center修了。21年より香港提携事務所Nakamura & Associates兼任。主な取扱分野は中国大陸・香港その他クロスボーダー法務、経済安全保障・通商法務など。

木本 真理子

弁護士

99年国際基督教大学教養学部卒業。05年弁護士登録(20年愛知県弁護士会に登録換え)、07年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。11年米国Columbia Law School修了(LL.M.)、主な取扱分野は人事労務・企業法務・アジア新興国を中心としたクロスボーダー法務など。

西内 愛

弁護士

09年慶應義塾大学法学部卒業。11年東京大学法科大学院修了。12年弁護士登録(第一東京弁護士会)、狩野・岡・向井法律事務所(現・杜若経営法律事務所)勤務。15年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。

北村 健一

弁護士

19年東京大学法学部卒業。20年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。