ベンチャーラボ法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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政府が本腰を入れる“スタートアップ支援”

日本を代表する大手法律事務所で約30年にわたり、大企業からベンチャー、スタートアップまで数多くの企業のビジネスをサポートしてきた淵邊善彦弁護士(写真中央)が、“経験豊富な弁護士によるアーリーステージからのベンチャー支援”を日本で実現すべく、2019年1月に開所したベンチャーラボ法律事務所。「開所から5年が経ち、当事務所が支援してきたクライアントの中にもイグジット(出口戦略)を達成する企業が出てきました。もちろん上場を果たした企業もありますが、現在の日本の状況を見ると必ずしも上場にメリットがあるとは言いきれません。むしろ近年では、M&Aによる売却で大きな資金を手にして新しい事業を始めたり、ベンチャー支援を始めたりする経営者も増えています。そうした中で、当事務所でもIPOはもちろんM&A支援にも力を入れています」(淵邊弁護士)。
同事務所ではその名のとおり、従来の弁護士業務の枠組みにとらわれない“ラボラトリー”のような雰囲気で、時には関連分野の専門家や他事務所の弁護士と連携し、主にベンチャーやスタートアップ、中小・地方企業などに向けた質の高いサービスをワンストップで提供してきた。また、淵邊弁護士のほか、企業法務を得意とする木村容子弁護士、IT企業法務部の在籍経験を持つ佐橋文平弁護士(写真右)、パラリーガルの齊藤早江子氏(写真左)、加入予定の弁護士等、さまざまな案件に所内で対応するための陣容強化も図っている。
日本の足元の状況を見れば、政府が2022年を“スタートアップ創出元年”と位置づけ、「スタートアップ育成5か年計画」を発表。2023年にはいわゆる“スタートアップ関連税制”も導入され、より多くの企業や個人がスタートアップに投資したり、共働したりしやすくするための措置が盛り込まれた。特にエンジェル税制、ストックオプション税制、オープンイノベーション促進税制は、スタートアップに対する好影響が期待される。
「直近の5年間を振り返っても、日本のスタートアップ・ベンチャー企業が置かれる環境は随分よくなっていると思います。しかし、海外と比較した場合の上場企業の小粒化やスタートアップへの投資額の少なさなど、現状ではまだまだ多くの課題があります。日本発のイノベーションを増やすには、ベンチャーやスタートアップ支援を行うだけでは十分ではありません。“ヒト”“モノ”“カネ”“情報”といったあらゆる経営資源が大企業に集中している日本においても、大企業が生き残るために新規事業やイノベーションを生み出す努力・挑戦が必要になります。大企業とスタートアップとのM&Aやアライアンス、大企業から技術や人材を切り出したスピンアウト案件が日本の未来を変えていくと考えています。現在はそうした案件も少しずつ増えていますし、大企業とスタートアップ双方の経営やビジネスに理解のある我々のような弁護士の果たす役割が、より重要になってくるのではないかと思っています」(淵邊弁護士)。

支援の先にある成長の土壌を耕すために

いまや“日本の国策”ともいえるスタートアップ支援。しかし、国によってある程度の環境整備はできたとしても、その1歩先をトータルにサポートする流れを作るのは民間にしかできないことだ。「私の出身地の鹿児島でも、地元出身の上場企業経営者が、行政や銀行などと組み、スタートアップを支援する取組みも始まっています。そうした取組みが全国に広がるようにお手伝いすることも、日本におけるベンチャー支援エコシステムの創出を目指す我々の役割だと考えています」(淵邊弁護士)。
淵邊弁護士は、一般社団法人日本CLO(最高法務責任者)協会や一般社団法人パートナーCFO(最高財務責任者)協会の理事をはじめ、東京都や横浜市と連携した起業家支援プログラムでメンターを務めるなど、経営者への啓蒙や法務パーソンの育成にも注力する。
「日本でも企業内にリーガルセンスのある人材が増えることが理想ですが、まだまだリソースが足りないうえ、“弁護士に依頼するのは紛争になってから”と考える経営者が多いのも現状です。結果的に、せっかく育てたビジネスにイグジットの直前で違法性が見つかり、上場できない状況になってしまったり、M&Aで安く買い叩かれてしまったりという残念なケースも散見されます。ビジネスのスキーム構築、契約書の作成、知的財産権の確保などによって、“守り”と“攻め”の両方を固めるためにはやはり弁護士の知見が必要。また、米国などで大きく成長しているスタートアップの多くの経営者は失敗を経験していますが、日本では1度失敗してしまうとなかなか再起することができません。VCを含めてリスクを共有し、そうした失敗を許容するような環境作りも日本では重要だと思いますし、我々のような弁護士が経営者と伴走することで、リスクを上手に回避したり、同じ失敗でも次につながる方向性を示すことができます。特にスタートアップなどでは、早い段階から経験のある弁護士に相談することで、ビジネスに大きな付加価値をもたらすことができる。大切なビジネスの価値を最大化させるためにも、ぜひ我々のような外部の知見を活用していただければと思います」(淵邊弁護士)。

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所属弁護士等:弁護士3名(2023年12月現在)

沿革:2019年1月開設

淵邊 善彦

弁護士
Yoshihiko Fuchibe

87年東京大学法学部卒業。89年弁護士登録(第一東京弁護士会)。95年ロンドン大学UCL卒業(LL.M.)。00年~TMI総合法律事務所にパートナーとして参画。08年~22年中央大学ビジネススクール客員講師(13~22年同客員教授)。16~18年東京大学大学院法学政治学研究科教授。19年ベンチャーラボ法律事務所開設。主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

『実践 会社役員のための 法務ガイド』

著 者:淵邊善彦[著]、木村容子[画]
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著 者:淵邊善彦[著]
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