豊富な経験が人事労務紛争をベストの解決に導く
50年の伝統を誇る鳩谷・別城・山浦法律事務所は、使用者側の人事労務紛争に豊富な経験を有し、上場企業から中小企業、学校法人、宗教法人、公的な団体等幅広いクライアント層の人事労務案件に対応している。
「人事労務紛争の場合、必ずしも大きな金額が動くわけではありません。それゆえ歴史的には大手事務所の参入は遅く、労務に対して強い思い入れを持つブティック型の法律事務所にこそ活躍の場がありました。私たちはその優位性のもと、人事労務案件に対する豊富な経験・知見を蓄えることができました」と、ネーミングパートナーである別城信太郎弁護士は語る。
そして、人事労務紛争において最も大切なのはこの“豊富な経験”だと、同氏は指摘する。労働事件は、“過労死事件”“解雇事件”“未払残業代請求事件”などの類型分けをしても、類型ごとの画一的な事件処理ができるものではまったくない。質の高い労働事件処理には、事実関係の緻密な分析を通じて個別事案の本質を正確に捉え、その事案への対応に最適化させた方針を個別に立てることが不可欠であって、“横並び”とは真逆だという。さらに、紛争が生じた企業や関係者の状況によって最適な解決方法は異なってくる。労働法の基本的な法的知識を押さえていることは大前提ではあっても、教科書的な知識だけでは労働紛争に実践的に対応するためには不十分なのだ。
「たとえば過労死の場合、話し合いでの円満な解決を望むのであれば、ご遺族の気持ちに寄り添って道筋を立てることが大切です。金銭補償だけではなく、死に至る事情の説明、適切な謝罪など、ご遺族が何を求めているのかを察知して、対応する。こうした法的な観点を超えた部分は、数多の経験がものを言います。このような対応をすることにより、大きな紛争にならず、企業にとっても無用なレピュテーションリスクを回避することができるようになります」(山浦美卯弁護士)。
山浦美卯弁護士は、企業や経営者の考え方によってもベストプラクティスは異なると語る。「労働審判で、労働審判委員会から“労働者の請求は認められないが、紛争解決のために10万円の解決金を支払ったらどうか”という提案があった事案がありました。一般的な感覚では、この金額での和解であれば99.9%企業側の“勝ち”といえるでしょう。しかし、“その企業としての正義を証明するためには1円も払うべきではない”という信念のもと、結局、最高裁まで争ったことがあります。裁判にかかった費用を考えれば、和解金のほうがはるかに安いのですが、こうした“正義”は各社によって異なりますし、事案によっても異なります。それゆえに、AIで処理はできないのではないでしょうか」(山浦美卯弁護士)。
法改正や最新の実務に対応した顧客へのタイムリーな情報提供
山浦美紀弁護士は、ハラスメントを中心に精力的に執筆・講演活動を行っている。「パワハラの場合、“指導”か“ハラスメント”かの線引きが難しいので、事実認定と評価を適切に行うことが求められます。まずは当事者間の聞き取りやメールなどのチェックにより事実を把握し、次いで裁判例や法令等を参考に評価をします。その結果に応じて、ベストの対応法をアドバイスします」(山浦美紀弁護士)。
また、同氏は「顧客へタイムリーなアドバイスを行うためには、豊富な経験に加えて労働法特有の頻繁な法改正に対応した知識を蓄えておくことが重要」だと指摘。その具体例を、別城尚人弁護士は次のように語る。「就業規則や内規・基準などを確認させていただくときに、法改正に対応できてない点や、実務観点から適正に欠ける点などについては、条項の最適化を図るための提案やその企業に合わせた制度などについての具体的なアドバイスを提供しています。また、これまでの制度に変更を行う場合や、新制度を導入する場合には、一定の準備が必要となります。そのため、社員の皆様に向けての説明会の開催やシナリオ作成、資料や準備のサポートなども行っています」(別城尚人弁護士)。
そうした最新法令のキャッチアップなどを前提として、アドバイス内容についても依頼者ごとに個別的な対応が求められる。「リスクだけを棚卸してほしい場合や“その先どうしたらいいのか”までの助言を求めている場合など、企業のニーズにあわせて情報提供するように心がけています」(西本杏子弁護士)。
また、同事務所では労働法研修に力を入れており、「事例がわかりやすい」と好評な寸劇も含んだ2日にわたる本格的なメニューもあるという。「法改正の内容自体だけを説明しても、あまりおもしろくないですよね。そこで、たとえば、育児休業について部下から“妊娠した”という報告があったときにどのように対応していけばよいかなど、法的な側面に加えて、具体的な対応方法についてもお話したりします」(西本弁護士)。
使用者側弁護士の社会的意義
別城信太郎弁護士は、「なぜ使用者側の人事労務紛争を担当するのか」と司法修習生に聞かれることがままあるという。同氏は、それに対し「それは使用者側の立場から労使関係を適切に調整するためです」と答えるという。
「たとえば、人事労務関係の制度変更をする場合、それが違法なものであったり、違法ではないとしても紛争が生じる可能性があれば、その点を指摘することは企業にとっても重要なことですが、その指摘を踏まえて企業が制度変更を行うのであれば、結果として、従業員の権利や生活を守ることにつながります」(山浦美卯弁護士)。
「職場のハラスメントにおいても、弁護士がアドバイスして使用者が法律で求められている措置をとることによって紛争を防止することができ、また、仮に紛争に発展しても適切に対応することができます。これが、ひいては職場環境を改善することにもつながるのです」(山浦美紀弁護士)。
「使用者としては、“できるだけ紛争を避けたい”“もし紛争に発展しても適切に解決したい”という思いがあるので、使用者側弁護士の役割はそれに応えて適切な労使関係を構築、調整することにあると思っています」(西本弁護士)。
「人事労務紛争は、法と当事者意識のギャップが大きい分野の一つといえます。適切な紛争の解決や予防を達成するためには、法令や裁判例の内容をわかりやすく整理して、重要ポイントを依頼者に理解していただくことが前提となります。そのうえで、ケースバイケースで柔軟な対応や提案ができることが、弁護士に求められていると考えます」(別城尚人弁護士)。
別城 信太郎
弁護士
Shintaro Bekki
84年弁護士登録(大阪弁護士会)。89年「鳩谷・別城法律事務所」設立。経営法曹会議(常任幹事)。大阪弁護士会労働問題特別委員会など歴任。
山浦 美卯
弁護士
Harushige Yamaura
01年大阪大学法学部卒業。02年弁護士登録(大阪弁護士会)。04~11年弁護士法人大江橋法律事務所。11年~鳩谷・別城・大畑法律事務所(現 鳩谷・別城・山浦法律事務所)パートナー。
山浦 美紀
弁護士
Miki Yamaura
00年大阪大学法学部卒業。03年弁護士登録(大阪弁護士会)、北浜法律事務所・外国法共同事業入所。14年~鳩谷・別城・山浦法律事務所。大阪大学大学院高等司法研究科客員教授。
西本 杏子
弁護士
Kyoko Nishimoto
07年東京大学法学部卒業。09年神戸大学法科大学院卒業。10年弁護士登録(大阪弁護士会)、鳩谷・別城・大畑法律事務所(現 鳩谷・別城・山浦法律事務所)入所。
別城 尚人
弁護士
Naoto Bekki
08年同志社大学法学部卒業。11年広島大学大学院法務研究科卒業。12年弁護士登録(大阪弁護士会)、鳩谷・別城・山浦法律事務所入所。
著 者:別城信太郎[編著]、山浦美卯・山浦美紀・西本杏子・別城尚人[著]
出版社:新日本法規出版
価 格:3,410円(税込)
著 者:別城信太郎・山浦美紀・西本杏子[著]
出版社:新日本法規出版
価 格:3,300円(税込)
著 者:山浦美紀[著]
出版社:新日本法規出版
価 格:2,420円(税込)