アジャイルプラス法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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戦略法務のカギは“攻めのヒアリング”の技術

アジャイルプラス法律事務所は、企業法務を主戦場として、3名の弁護士がそれぞれ必要に応じてクライアントが抱える課題解決のための最適チームを構築して案件ベースで対応する。オープンエンドな課題が増えてきている昨今、企業が必要としているものは、AIでも対応可能な“前例の模倣”ではなく、既存のデータの不足する予測困難な事象への対策である。単なるレギュレーションの解釈提供ではなく、それを踏まえて企業の利益を生み出す“攻めの提案”が求められている。そのために必要となるのが木下和博代表弁護士の提唱する“語らせる”ための技術だ。
木下弁護士は、次のようにヒアリングを二つに大別している。一つは、情報収集のためや顧客のニーズ・課題を引き出すための“受けのヒアリング”。もう一つは、戦略的企業法務において重要となる“攻めのヒアリング”である。
“攻めのヒアリング”とは、①明確な獲得目標の設定、②目標達成に必要なロジック構築、③ロジックを支える裏付けの取得に最適化されたアプローチの模索、という準則の履践だ。「漫然と情報を聞き出すのは必ずしも良策とは言えません。なぜなら、相手からこちらに都合のよい情報ばかりを引き出せるとは限らないからです」(木下弁護士)。
このような戦略的な視点からのヒアリングを成功させるためにはリーガルマインド(法論理を背景として仮説を立て、実証し、その再現性を構築する技術ないし精神)に基づいた“何を語らせなければならないのか”という事前の分析(プロファイリング)とアプローチの限界線の見極めである。ヒアリングの過程で虚構を作り上げてしまうと、その虚構に反する証拠が発見されたときに、戦略の基礎となる供述が覆されてしまい、戦略そのものが瓦解してしまいかねないからだ。
「ゴールから遠くなる情報を引き出してしまったがゆえに、戦略的な選択肢を減らすことにもなりかねません。一方で、意図的に情報を歪曲すれば隠蔽になる可能性もあります。戦略法務においては、その限度を見極めながら、獲得目標の達成に必要な情報を、必要な限度で引き出す技術が必須です。最初に構築した方向性に従い、ヒアリングの過程を通じてストーリーに合致するよう相手の記憶を整理するために“どの順番で何を語らせるのが最適なのか”を考える、という作業を緻密に行うことが要求されます」(木下弁護士)。
相談内容が法的にグレーだとする。“で?”――ただ条件が整えばできる。“で?”――条件を整える具体的手法はこうだ。“で?”……というように、常に“で?”の先を考えることを木下弁護士は自らに課していた。“で?”の先の先まで回答を出し切るには覚悟がいる。一方、クライアントからのニーズは高い。この期待に応えるために鍛えられたのが“攻めのヒアリング”の技術なのだ。
この技術は同事務所が得意とする、事故発生時の監督庁・マスメディア対応を含めた危機管理戦略立案や、不祥事調査事項・調査方法等の助言、またスタートアップから大企業まで幅広く手がける交渉環境作りに顕著な効力を発揮している。企業が社内の不祥事を認知した場合の初動対応を木下弁護士は次のように整理している。①現在把握している情報の整理、②把握していないどんな情報がどこにあるかの予測、③アンコントローラブルな情報の選別、④コントロールの限界点の見極め(いわゆる“損切ライン”の設定)、⑤経営トップを含む④へのコンセンサス形成、⑥④の範囲内で外部に発信するストーリーライン(絶対にブレてはいけない本質)の設定、⑦ストーリーラインを支えるための“攻めのヒアリング”の戦略立案と実行、以上7ステップである。この技術を身につけるためには、“語らせる技術”の体系を表層意識のレベルで明確に意識したうえで、やはり場数を踏んで経験を積むことが必要です。これはどの弁護士にでもできることではなく、長年にわたり企業側で危機管理や戦略法務を取り扱ってきたノウハウを共有している当事務所の強みといえます」(木下弁護士)。

木下 和博 弁護士

“ちょうどいい”サービスを提供する水平統合型集団

危機管理・パーソナルデータを利用したビジネススキームの構築等を得意とする木下弁護士、外資系を含む企業を中心に労使双方の人事労務案件を数多く手がける大橋さやか弁護士、文化的差異への知見を要する日韓の国際取引に明るい徐英教弁護士。3名の機動力と柔軟性に富んだフラットな水平統合型の組織である同事務所のポリシーは、クライアントに対して、よりスピーディに“ちょうどいい”サービスを提供することである。その内容を木下弁護士は次のように語る。
「顧客への助言に際しては、解決に向かう過程で状況が変化し、ゴール自体が変わるようなスピード感のある課題にも迅速かつ柔軟に対応すべく、システム開発分野のアジャイル開発にヒントを得たフレームワークに基づいて、顧客との対話と細かい検証サイクルを重視した対応を心がけています。それをフレームワークとして明確に認識し、事務所の理念として各弁護士に共有することにより、再現性の高い高度で均質なサービスの提供ができるのです」(木下弁護士)。
また、同事務所では“先生”という呼称の使用が禁止されている。これは、同事務所が提供したいのは“先生”としての“上からのアドバイス”ではなく、クライアントの課題にともに向き合い、知恵を寄せ合って解決する“エンジニア”としてのスキルだからだ。クライアントとともに悩み、解決するメソッドとそのために必要なマインドを持った人材を提供できることが、まさに同事務所の魅力であるといえよう。

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 DATA 

ウェブサイトhttps://agile-plus.jp/

所在地・連絡先
〒103-0027 東京都中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル10階
【TEL】03-6823-1310 【FAX】03-6823-1312


所属弁護士等:弁護士3名(2025年1月現在)

沿革:2020年1月設立

木下 和博

弁護士
Kazuhiro Kinoshita

代表弁護士。03年弁護士登録(東京弁護士会)。20年アジャイルプラス法律事務所設立、同事務所代表。企業の危機管理や第三者委員会での調査案件等を担当するとともに、多くの訴訟に関わる。危機管理や個人情報保護法関連の助言指導に長く携わり、企業不祥事に際しては企業側代理人として顧客・マスコミ対応等の前線に立って指揮にあたる。リスクマネジメント全般に強みを発揮するほか、個人情報関連ビジネスの助言等、ビジネス構築にあたってのコンサルティング業務にも注力。

大橋 さやか

弁護士
Sayaka Ohashi

04年10月弁護士登録。アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。人事労務を中心に、訴訟、社内調査、コンプライアンス、組織再編など企業法務全般に携わる。20年1月よりアジャイルプラス法律事務所に参画。企業法務に加え、人事労務を核とする一般民事事件全般のほか、強みとする語学力を生かし、渉外家事事件、難民案件など外国人関連案件に幅広く携わる。同時通訳・翻訳家としても活動。

徐 英教

弁護士
Yeonggyo Seo

18年1月弁護士登録。東京神谷町綜合法律事務所入所。日本・韓国間の渉外法務を中心に、リスクマネジメントや規約の制定、債権回収など企業活動の核となる業務に従事。21年4月よりアジャイルプラス法律事務所に参画。金融機関側の案件を多く取り扱った経験から、債権回収や保全手続が強み。現在は、環境法分野にも力を入れている。