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アジャイル開発の発想でゴール設定が困難な課題へアプローチ

木下 和博 弁護士

ビジネス環境の変化が目まぐるしい現代においては、あらかじめプロジェクトのゴールを設定することが困難な場合が多い。2020年に設立されたアジャイルプラス法律事務所は、この課題について短い開発期間と成果物の検証を随時繰り返してプロジェクトを進行する“アジャイル開発”の発想による課題解決を理念として掲げている。「あらかじめゴールを設定し、想定される工数を逆算するウォーターフォール型コンサルティングでは、環境変化に合わせた柔軟な対応が難しい。まずは当面の獲得目標を設定、その反応・結果を見て適宜アプローチを修正し、環境変化も変数に加えながら検討を進める手法は、お客さまの課題に真摯に向き合う弁護士であれば自然と実践している手法ではないでしょうか」(木下和博弁護士)。
着手前に全体予算が見えないために、社内承認が得づらいのではという問いに木下弁護士は首を振る。「本来アジャイルはコストからアプローチを行うモデルです。投入できる予算や期間を設定し、その中で実現できる当面の獲得目標を確認しながら進めていけるので、予算取りはかえって行いやすいと思いますよ」。
“戦略法務”の用語が広まってもなお、弁護士は会社の外部機能と認識する企業は多いが、このアジャイルのフレームワークは、顧客の認識の転換にもつながるという。「法律に適合するか否かの助言で終わっては戦略法務として役に立ちません。我々の面談は1時間あれば法律の話題は15分程度。あとは実現手法の立案の時間です。どんなによいアイデアも、誰が、どんなタイミングで、どんなルートで提案し、どんな材料で裏付けるかによって、実現できるか否かが決まります。アイデアにとどまらず、実現ルートまで設計できる“法務エンジニア”として企業に深く関与できる事務所でありたいですね」(木下弁護士)。

多様な専門性のネットワークで戦略法務を担うエンジニアに

「可能であれば、企業は法律上の監査を中心に行う従来型の顧問弁護士のほかに、我々のように企業側でストーリーを構築できるサポート弁護士を持つべきです。サポート弁護士は本音でクイックな相談を受け、攻めのアイデア提案をするエンジニアです。この役割を果たすには、法務だけでなくビジネス全般に通じ、多様な専門家のネットワークを持っていることが重要です」(木下弁護士)。

大橋 さやか 弁護士

現在、同事務所には危機管理案件やパーソナルデータ関連の相談、訴訟などを多く手がけてきた木下弁護士、渉外系大手法律事務所で人事労務案件等を手がけてきた大橋さやか弁護士、日韓の渉外法務やリスクマネジメント、規約、債権回収などの業務に携わってきた徐英教弁護士の3名が所属しているが、今後も賛同する弁護士を増やし、専門性の幅を広げていくという。大手事務所、ブティック型事務所のどちらとも異なり、“個”としての弁護士が、必要に応じて課題の解決に最適な能力を持った弁護士とチームを組んで、案件ベースで対応することができる水平統合型の集団を目指す。「事務所は“フリーランスのネットワーク”として捉えています。人員が増えれば、業務分野が広がり、一層クライアントに利便性をもたらせるでしょう」(木下弁護士)。

徐 英教 弁護士

大橋弁護士は企業法務案件のほか、渉外家事事件、難民案件、同時通訳や翻訳にも取り組んでいるという。「弁護士の業務にとらわれず、課題に合わせて自由に能力を活かせるようになり、クライアントの利益につながっていると感じます。特にベンチャー企業や外国人の経営者や個人が対象の場合は、業務の形式を気にしてばかりでは早期解決につながりません。柔軟に課題を解決できる専門家でありたいと思っています」(大橋弁護士)。

徐弁護士は自身の可能性を広げたいと考え、同事務所に参画したという。「弁護士業界ではまだニッチな分野である環境法の知見を蓄えたいと思い、近接領域であるコンプライアンス・リスクマネジメント分野に強い木下弁護士の下で研鑽を積みたいと考えました。当事務所のクライアント課題解決に柔軟に取り組む姿勢から、迅速で建設的な業務マネジメントの知見も得たいと考えています」(徐弁護士)。

DXによる効率化でサービスを手厚く

同事務所は日本橋駅徒歩1分のシェアオフィスに居を構える。木下弁護士は「設立にあたり、思い切ってDXによる効率化を断行し、新しいサービス提供を実現しました」と語る。執務は各弁護士のライフスタイルに合わせ、場所・時間にとらわれない方式とし、フリーアドレス制で固定電話も廃止。Web会議と資料のデジタル化を推奨したところ、クライアントへのサービスが当初の想定以上に向上したという。「クライアントに即座にレスポンスできる余裕が増え、会議時間の候補も多く提案できるようになりました。クライアントにとっても、関係者が全員揃って順に議題を話し合う従来型の会議が減少し、担当案件についてのみ弁護士にアクセスすればよくなりました。形式を排して情報伝達の効率性を高めるにはデジタルの方が便利だとクライアントにもご好評をいただいています」(木下弁護士)。
AIによる契約書チェックも初期から導入済み、簡易な相談にはChatworkを活用したり、クライアントが希望すれば他のチャットツールへの対応も可能で、クイックな対応を重視する同事務所だが、社内のデジタル化が進んでいないクライアントも依然として多い。「社内でWeb会議ができない企業もあるため、当事務所の専用会議室をお貸しし、遠隔地にいる私とWeb会議をするサービスなどサポートも行っており、今後さらに充実させる予定です」(木下弁護士)。
“弁護士先生”としての指導・助言ではなく、企業の現場に寄り添い、共に課題に取り組む“パートナー”としての意識が既存の枠組みを軽々と飛び越えていく。

→『LAWYERS GUIDE 2022』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttps://agile-plus.jp

所在地・連絡先
〒103-0027 東京都中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル10階
【TEL】03-6823-1310【FAX】03-6823-1312


代表弁護士の所属弁護士会:東京弁護士会

所属弁護士等:弁護士3名(2021年12月現在)

沿革:2020年1月設立

木下 和博 氏

弁護士
Kazuhiro Kinoshita

03年弁護士登録(東京弁護士会)、八重洲総合法律事務所入所。06年東京フレックス法律事務所入所。20年アジャイルプラス法律事務所設立、代表就任。主な取扱業務は一般企業法務、コンプライアンス体制構築、危機管理対応を含むリスクマネジメント体制構築、ビジネススキーム構築、交渉戦略など。

大橋 さやか 氏

弁護士
Sayaka Ohashi

04年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利友常法律事務所入所。15年翻訳家・同時通訳者として1年間活動。16年McDermott Will & Emeryパリ事務所入所。18年都内の法律事務所入所。20年アジャイルプラス法律事務所設立に参加。主な取扱業務は労働、企業法務全般など。

徐 英教 氏

弁護士
Yeonggyo Seo

18年弁護士登録、東京神谷町綜合法律事務所入所。日韓の渉外法務、リスクマネジメント、規約の制定、債権回収などに携わる。21年アジャイルプラス法律事務所入所。従前の業務分野に加え、環境法分野にも取り組む。

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