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今後の弁護士に求められる素養の一つに「深く精通する専門的な分野を持つこと」が挙げられることも多い。
いま注目される分野・プラクティスで活躍する先輩弁護士のお二人、 長島・大野・常松法律事務所 福原あゆみ 弁護士/アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 田浦 一 弁護士から、読んでおくべき書籍を教えてもらった。


SDGs/人権・コーポレートに強くなる!(福原あゆみ 弁護士) 

新興国ビジネスと人権リスク―国連原則と事例から考える企業の社会的責任(CSR)

新興国ビジネスと人権リスク―国連原則と事例から考える企業の社会的責任(CSR)
海野みづえ 著 2,750円+税(現代人文社、2014)

ESGのうちSにあたる“ビジネスと人権”の分野は、国際情勢も受けてコンプライアンスの中でも重要性が高まっています。この本は、“ビジネスと人権”の原点ともいえる国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」からの潮流や人権デュー・ディリジェンスの概要について分かりやすく書かれていますので、この分野に興味を持たれた方への初めの1冊としてお勧めです。

サステナブル経営とコーポレートガバナンスの進化

サステナブル経営とコーポレートガバナンスの進化
松田千恵子 著 2,200円+税(日経BP、2021)

企業法務に関わる弁護士としてコーポレートガバナンスは避けて通れない分野ですが、この本は2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂によるサステナビリティ重視の流れも追いつつ、各テーマについて著者の非常に率直な意見紹介がなされており、非常に興味深く読むことができました。皆さんが実務のイメージを持っていただくのにも有用かと思います。

人を動かす、気配りの英語表現

人を動かす、気配りの英語表現
マヤ・バーダマン 著 1,800円+税(ジャパンタイムズ出版、2021)

企業法務では、依頼者や海外の法律事務所と英語でのやりとりを行うことも多いです。(私もかつてそうでしたが)新人弁護士の英語はやや直訳的になってしまうことがあり、コミュニケーションの前提としての適切な“敬語”表現を勉強するのにこの本は非常に役立つと思います。同じ著者の『英語の気配り』(朝日新聞出版、2018)、『英語のお手本』(朝日新聞出版、2015)も同様の趣旨でお勧めです。

データ・M&Aに強くなる!(田浦 一 弁護士)

Q&A個人情報取扱実務全書―基礎知識から利活用・トラブル対応まで

Q&A個人情報取扱実務全書―基礎知識から利活用・トラブル対応まで
日本弁護士連合会情報問題対策委員会 編 4,400円+税(民事法研究会、2020)

個人情報保護法の概要が非常に分かりやすく、さまざまな場面において個人情報に関する問題が発生し、いかに整理されるかが非常に簡潔にまとまっています。個人情報保護法は、個人情報保護委員会が公表するガイドラインやQ&A等、公に入手できる情報の多い法律ですが、それらでは得られない情報が豊富です。個人情報保護法関連の業務にこれから携わりたいと思われる若手の先生方には、全体像や実務の把握に大変役立つ書籍です。

スタートアップ投資契約―モデル契約と解説

スタートアップ投資契約―モデル契約と解説
宍戸善一=ベンチャー・ロー・フォーラム(VLF) 編 5,400円+税(商事法務、2020)

スタートアップ投資に関わる弁護士には、典型的に締結されている契約の内容を素早く理解し重要なポイントを把握する能力が重要です。本書は、優先株式発行要項や株主間契約、株式引受契約といったスタートアップ投資において典型的に作成される契約について、簡潔ながら非常に丁寧に解説された書籍です。スタートアップ投資に関わっている先生方だけでなく、今後そういった業務に関わりたいと考えている学生や若手の先生方にお勧めです。

選ばれるプロフェッショナル―クライアントが本当に求めていること

選ばれるプロフェッショナル―クライアントが本当に求めていること
ジャグディシュ・N・シース/アンドリュー・ソーベル 著 2,000円+税(英治出版、2009)

弁護士業に特化した書籍ではありませんが、クライアントから信頼されるプロフェッショナル、アドバイザーとはどのようなものかということを、重要なポイントごとに章立てで解説した書籍です。弁護士としてクライアントに対してどうあるべきか、経験を積むほどに一言一言が身に染みてくる書籍だと思います。ぜひとも常に側において繰り返し読んでいただきたい大事な書籍です。

→『RECRUIT GUIDE 2022』を「まとめて読む」

福原あゆみ

長島・大野・常松法律事務所 パートナー・弁護士

06年京都大学法学部卒業。07~08年東京地方検察庁検事、08~09年札幌地方検察庁検事、09~10年広島地方検察庁検事、10年法務省刑事局付。10~12年人事院行政官長期在外研究員制度・米国(University of Michigan Law School卒業(LL.M.)、Columbia Law School客員研究員)。12~13年横浜地方検察庁検事。13年弁護士登録(第二東京弁護士会)。法務省・検察庁での経験をバックグラウンドとして、企業の危機管理・争訟を主たる業務分野としており、海外当局が関係したクロスボーダー危機管理案件の経験も豊富。また、企業の役職員による品質不正や会計不祥事をはじめとする幅広い危機管理案件に従事。

田浦 一

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 弁護士

10年北海道大学法科大学院修了。11年弁護士登録(第一東京弁護士会)。12~14年ヤフー株式会社勤務。15年~アンダーソン・毛利・友常法律事務所。19年Morgan, Lewis & Bockius法律事務所サンフランシスコオフィス。20年ニューヨーク州弁護士登録。個人情報保護法関連、M&A(クロスボーダーを含む)、インターネット関連案件、資金決済法、IoTサービスを幅広く扱う。国内外のベンチャー企業への投資案件や、ベンチャー企業向けのリーガルアドバイスについても多くの経験を有する。

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