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建築・不動産プラクティスグループで知見の共有と連携を強化

弁護士法人北浜法律事務所では、2021年に建築・不動産プラクティスグループを正式に立ち上げた。従前より、同事務所では不動産案件や建築案件を各弁護士が個別に手がけてきたが、より専門性を高め、連携性を強化するためにチームとして組織した形だ。現在は11名の弁護士が所属する。
顧客層のうち、受注者(施工者)側は大手ゼネコンから小規模工務店まで幅広く、発注者側のディベロッパーや設計事務所との取引も多い。案件内容も顧問企業からの日常的な相談から、JV(ジョイントベンチャー)と地方自治体の大規模建設契約における紛争対応や建設業界のM&A、不正調査まで多岐にわたる。
「当事務所の特徴は、本分野における弁護士個々人の対応能力の高さです。大手法律事務所は1案件を3~4名で担当することが多いのですが、当事務所では、案件の規模や内容によっては経験を積んだ弁護士が個人でスピーディに回答することで、案件の早期解決を図っています」と語るのは、宅地建物取引士とマンション管理士の資格を持つスペシャリスト、福岡事務所の原田康太郎弁護士。原田弁護士は同事務所の建築分野の組織化と知見の集約に取り組んだメンバーの一人だ。

原田 康太郎 弁護士

加えて、大阪事務所の川原大輝弁護士は「当事務所の強みは、建築・不動産系のブティック事務所と比較して案件の対応範囲が広い点にもあります」と指摘する。川原弁護士はM&Aや不正調査など他の業務分野の経験を積んだのちに建築分野を多く扱うようになったという。「原田弁護士は再生・倒産やM&A等の分野にも専門性を有しており、私も電気・空調・水道の設計・工事を施工する上場企業の法務部に出向し、専門案件から労務に至るまで幅広い分野の対応を経験していますし、建設業界の不正調査案件の経験もあります。こうした建築分野の幅広く深い知見が個々に蓄積されていることで、クライアントへのリーズナブルで柔軟なサービスの提供が実現できるのです」(川原弁護士)。
大阪・東京・福岡の3拠点それぞれに建築案件に精通した弁護士が所属する点も大きな強みだ。「大手ゼネコンやディベロッパーも全国に拠点があります。建築紛争の特徴として、各地の担当者と直接面談し、一緒に図面を見ながら打ち合わせをし、実際に建設現場に赴いて相互に理解を深めることは非常に重要です」(川原弁護士)。

ケースごとの個別事情の考慮が重要な建築分野 建築実務の深い理解と経験値がカギ

建築分野のうち、特に建設工事に関する案件は個別具体的な事情の考慮を必要とすることが多い。同分野の典型的な事案である契約不適合責任を問う案件では、契約内容、工事の状況、瑕疵の内容などが案件ごとに大きく異なるため、画一的な対応が難しく、個々のケースに応じた緻密な検討が必要となる。
「契約書に記載された責任の範囲(アフターサービス規準等)を読むだけでは、実際のケースにどのように当てはめればよいのかがわからないケースもあります。また、瑕疵があったとして、クライアントが考えている補修工事内容と、実際に裁判において認められる補修工事の内容が異なるケースも多くあります。これらの結論の見通しは、過去の裁判例を確認してもそのまま使えるものは少なく、適用の可否が判断しづらいケースも多いため、事務所全体での経験の蓄積が物を言う分野でもありますね」(原田弁護士)。
労災発生時の責任対応についても同様だ。川原弁護士は「多重下請け構造の現場で労災が発生した場合、クライアントの置かれた立場や、誰にどの程度責任を追及するかといった点は、高度な法的判断なので、依頼者の説明や主張をそのまま採用するのではなく、事実と証拠を踏まえて見通しを立てる必要があります。建設工事の全体の流れや管理体制を理解していることは大前提で、そのうえで事情をうまく聞き出し、証拠を引き出していくことが肝要です。最終的には、お互いの事情を汲んで“痛み分け”のような解決に導くこともあります」と語る。

川原 大輝 弁護士

契約不適合や労災の責任対応を求める場合には、その対応に伴う全体の損害にも目を配る必要がある。「建設業界は、多重下請け構造であるため、元請企業から相談を受けた場合でも、“下請けからの請求をどう解決するか”だけでなく“施主との間でどう解決できそうか”という点も睨んで、全体的なバランスのよい解決を目指していく必要があります」(原田弁護士)。

読者からの質問(建設業法改正で特に留意すべき点)

Q 近年の建設業法改正で特に留意すべき点を教えてください。
A 令和6(2024)年6月14日に公布された建設業法の改正によって、今後(令和7(2025)年12月までの間に)、従前は発注者において禁止されていた原価割れ契約や著しく短い期間を工期とする契約が、受注者においても禁止されるようになり(改正建設業法19条の3第2項、19条の5第2項)、また、受注者において、著しく低い労務費等による見積りを提出することが禁止されるようになります(同法20条2項)。

専門性と総合力が問われる建築案件 スムーズな連携で高品質な企業支援を

2024年6月に公布された建設業法の改正対応をはじめ、業法改正を機に契約見直しを進めるクライアントも多いという。
「ゼネコン(受注者側)から、同改正を足がかりに、継続的な取引関係にある発注者との契約交渉をしたいとの相談を受けたことがあります。法改正に伴い、契約の見直しに関するご相談も増えるかと思いますので、最新の話題であっても、精度の高い返答ができるよう日々キャッチアップをしています」(堀山輝弁護士)。入所して3年の堀山弁護士は、多くの分野の業務に携わりながら建築案件に積極的に取り組んでいる。

堀山 輝 弁護士

同事務所では、個々の弁護士が幅広い相談に対応できるよう“部門制”を敷かず、若手弁護士に数多くの分野の業務を経験させているという。「部門制ではないため経営上は非効率かもしれませんが、いろいろな経験を積ませ、さまざまな分野の予防法務から紛争対応までができる、足腰の強い弁護士を育てています。そのうえで専門性を積ませることが、最終的にクライアントのさまざまな相談への対応に幅や深みをもたらすと考えています」(原田弁護士)。
同事務所の建築・不動産チームは所内での存在感も大きい。「当事務所は規模の割に分野間の壁がありません。建築案件は専門外の弁護士には取扱いが難しく、対応を誤ると大きな損害が発生します。専門性の高い弁護士が所内でも相談を受けやすい状況にあることで、事務所全体のサービスのクオリティ向上につながっていると思います」(川原弁護士)。

→『LAWYERS GUIDE 企業がえらぶ、法務重要課題2025』を 「まとめて読む」
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ウェブサイトhttps://www.kitahama.or.jp/

建築チームウェブサイトhttps://www.kitahama.or.jp/constru

主事務所の所属弁護士会:大阪弁護士会

原田 康太郎

弁護士
Kotaro Harada

07年京都大学法学部卒業。10年京都大学法科大学院修了。12年弁護士登録(福岡県弁護士会)、北浜法律事務所入所。20年パートナー就任。入所以前から建築不動産分野に興味を持ち、宅地建物取引士、マンション管理士などの資格も早期に取得。再生・倒産、M&A、紛争解決などの業務も多い。

川原 大輝

弁護士
Daiki Kawahara

14年司法試験予備試験合格。15年大阪大学法学部卒業。16年弁護士登録(大阪弁護士会)、北浜法律事務所入所。24年パートナー就任。上場建設会社の法務部への出向経験があり、建築関連案件だけでなく、人事労務や当局対応など会社関係の業務にも幅広く対応。

堀山 輝

弁護士
Hikaru Horiyama

18年東北大学法学部卒業。21年大阪大学法科大学院修了。22年弁護士登録(大阪弁護士会)、北浜法律事務所入所。入所前から建築不動産分野に興味を持ち、さまざまな分野を経験しながらも、建築不動産関連の大型案件や不正調査にも積極的に関わっている。