桃尾・松尾・難波法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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企業法務のゼネラリストかつスペシャリストが育つ土壌

ネームパートナーである桃尾重明氏、松尾眞氏、難波修一氏の3名の弁護士を中心に、1989年に発足した桃尾・松尾・難波法律事務所。“真に依頼者から信頼される法律事務所であること”という理念のもと、国内法律事務所の大規模化が進む現在においてもあえて“中規模”にこだわり、緩やかに成長しつつも、現在の規模を維持し続けてきた。また、全世界約150都市の法律事務所が参加する国際的なネットワークINTERLAWに、日本の法律事務所としては唯一加入。主要な国々はもちろんマイナーな地域にまで、まさに世界中に張り巡らされた独立した各国の法律事務所のネットワークを駆使し、国や地域、ビジネスの業種や業態、関係する法分野を問わず、あらゆるプラクティスに対応できる体制を整えている。
得意とすることで知られる渉外や企業法務をはじめ、労働問題や独占禁止法、個人情報保護、知的財産権や訴訟・紛争・仲裁からロボット・AIといった最先端の分野まで、同事務所は幅広い領域において常に高品質なリーガルサービスを提供している。実践を通じた弁護士の育成に力を入れ、新人弁護士が案件ごとに異なるパートナーと組み、多様な現場を経験することでリーガルプロフェッショナルとしてのスキルを磨き上げる体制や、所内で開催される勉強会などを通じて、ゼネラリストかつスペシャリストたる多くの優秀な弁護士が育つのも、同事務所の伝統であり、特長だ。

豊富な海外経験を活かしたクロスボーダーな労働法務

そんな同事務所の“伝統”が大きな力となる領域の一つが、労働法務の分野だ。
「企業活動の長期的な成功のためには、それぞれの企業の状況を踏まえた人事制度の確立やその運用が不可欠です。国内の労働法務において最も重要な法律は労働基準法を中心とする労働法令ですが、これらのみで問題が完結しないことも多く、さまざまな法分野の知見が必要になります。その点、当事務所の弁護士は個々に専門性を備えつつ一般的なコーポレート業務や顧問業務等の経験も豊富に有しています。これは意外と簡単ではないのですが、そのような“過度に専門化しない”という事務所の特長を活かし、労働分野の特色や専門性を踏まえつつ、クライアントの企業活動全体を理解したうえで合理的かつ分野横断的なアドバイスが提供できるという点は当事務所の大きな強みとなっています」。そう話す乾正幸弁護士は、労働法以外にもコーポレートやヘルスケア分野などでの豊富な実績や海外留学経験を持つ。伝統的に渉外を得意とする同事務所には、乾弁護士のような留学経験のある弁護士も数多く在籍し、各国に広がる海外事務所とのネットワークを活かしながら国際的な労働法案件にも対応が可能だ。
たとえば、外資系企業の日本支社におけるケースでは、日本の労働法制に対する理解や言語の壁によるコミュニケーションの難しさなどから、マネジメント層が労働問題を正確に把握・分析すること自体に困難が生じることも少なくない。とはいえ、日本で労働法分野を強みとしながら海外経験を豊富に有する弁護士は決して多いとはいえず、英語でのコミュニケーションに加え、各国の労働法やビジネス慣習への架橋が可能な弁護士の存在は、日本支社の舵取りを考えるにあたって頼れる稀有なパートナーとなる。
「海外企業が日本に進出する場合や、日本の事業体をマネジメントする場合、言語面・文化面での壁がありうるわけですが、そうしたケースでは、英語が話せることのみならず、そのような場面でのサポートを行った経験を有する我々のような弁護士がお役に立てる場面が多くあります。また、日本企業が海外進出する場合、当該国の法制度への対応が必要になりますが、労働法の分野には各国独自の規制や雇用慣行などが多く存在します。海外ビジネスを始めるにあたって、労務面でも、クライアントのニーズに応じたアドバイスを行うことには意義があると考えています」(乾弁護士)。
乾弁護士のもとには、国際的側面を有する労働法務に関する相談も多く寄せられるという。

乾 正幸 弁護士

曖昧な部分が多い労働法務分野だからこそクライアントの思いを踏まえた実践的なアドバイスを

厳しい解雇規制などがあり、行政的にも、細かな制度変更が頻繁に繰り返されるのが日本の労働法の特徴だ。加えて、「最高裁判所の判例を通じた規範の変更など、時代の流れとともに論点についての考え方が変更され、まったく想定しなかった新たな論点が生じるといったこともよくあります。そうした曖昧な部分が多い労働法務ですが、目前の課題の解決につながらないアドバイスは意味がないので、クライアントにとって現実的かつ実践的で、わかりやすいアドバイスとなるよう、常に心がけています」と乾弁護士は言う。
労働法務を扱う弁護士にとって、適切なアドバイスを行うためには、“クライアントの思いやニーズをいかに汲み取るか”という点も重要な視点となる。その点、多くの顧問先企業を抱え、普段から一般的なコーポレート案件を数多く扱う同事務所の弁護士は、そのような視点の重要性をよく理解している。
「当事務所でさまざまな経験を積むことによって、自分自身が弁護士として成長できている実感を持てていますし、実際の業務を通じて分野横断的な知識が必要になる場面などでは、“企業法務全般をカバーしたうえでそれぞれに専門性を持つ”という当事務所の強みを感じる場面も多くあります。従業員に対する処分などでは、理屈の上では結論が微妙な事案であっても“白”か“黒”かの判断をつけなければならない場面もあり、その中で“どのようにしてクライアントに寄り添うか”は難しい点です。もちろん法的に無理があることはできませんが、クライアントの思いを丁寧に聴き取り、その内容を法的な面でサポートしていくのが弁護士の役割だと考えています」と語る田口裕太弁護士は、若手弁護士でありながら既に先輩弁護士のもとでコーポレートや訴訟、不正調査から労働法務まで幅広い案件を経験。労働法務関連では顧問先からの日々の相談や紛争案件への対応のほか、通報窓口対応なども行っている。
「窓口に寄せられる通報には、コンプライアンス違反と思われるものからグレーなもの、放置しておくと将来的にコンプライアンス違反につながる可能性があるものなど、さまざまな内容のものがあります。適切な制度運用のためには、クライアントの企業風土や会社として守りたいポイントなどを理解しておく必要がありますし、そのうえで、場合によっては人事部門などと連携して解決を図ることもあります。普段からさまざまな案件で継続的に企業をサポートしているからこそ、制度趣旨を踏まえた適切な対応をとることができるのだと思います」(田口弁護士)。

田口 裕太 弁護士

柔軟な姿勢で合理的な問題解決を目指す

高橋優依弁護士も労働法に関する相談に関与することの多い若手弁護士だ。
「労働法務は人と人の関わりの中で生じた問題について対応することの多い分野なので、検討対象となる当事者の個性やその反応により、目指すべき解決方法が変わることもあります。また、もちろん法理論的なリスク分析は大事ですが、それに従っているだけでは全体としてバランスのとれた、合理的な解決が導き出せないこともあります。そのため、状況に応じた柔軟な姿勢で問題解決を図ることが大切だと考えています。また、クライアントのニーズに沿ったサポートが重要であり、たとえば、実際に社内で対応する場面にまで立ち会えない場合には、社内で人事部門の方が状況変化に応じて対応できるよう、具体的な事情の変化などを考慮した数パターンのアドバイスをご提供することもあります」(高橋弁護士)。
高橋弁護士も田口弁護士と同様に、先輩弁護士とともにさまざまな案件に対応する日々を通じ、企業法務のスペシャリストたる弁護士としての知識や経験を積んでいる。
「当事務所では日常的な相談から紛争対応、社内規則のレビュー、通報窓口対応や従業員の方々への講習まで、労働法務分野に関するあらゆるリーガルサービスを提供し、また、一つのクライアントとの関係でも、労働法務に関する案件からそれ以外の法分野に関するご相談まで幅広いリーガルサポートを提供しています。そうした中で感じるのは、企業と弁護士が長期的な関係を築くことで得られる多くのメリットです。日常的にさまざまな案件に関するご相談をいただくことで、そのクライアントの実務を理解しているからこそ、労使に関するさまざまな問題や、社内の実態に即していない社内規則の規定などに気づくことができますし、従業員に対する何らかの処分が必要になった場合も、特に、同社における類似事例を過去に当事務所が担当していた場合には、当時の具体的な事情や検討内容を振り返りつつ、公平性を保った対応をとることができます。人の人生を直接的に左右する重要な判断が必要になる場面も多く、単純な法律論だけでは対応できない労働法務は、弁護士にとって大変ではあるものの、大きなやりがいのある分野です。合理的な解決を得られるような対応を目指して、日々の業務に励んでいます」(高橋弁護士)。

高橋 優依 弁護士

人事・労働関係のあらゆる問題に企業のあり方を踏まえたアドバイスを提供

同事務所に寄せられる相談の一例が、執行役員制度に関するものだ。執行役員は、会社法の規律対象である取締役などの役員と、労働法の規律対象である労働者との中間的な存在にあたり、制度設計のあり方を含め、各社の状況を踏まえた検討が必要になる。
「企業によって執行役員に期待する役割等も異なります。そのため、“委任型・雇用型のどちらの制度を導入するか”“導入する場合は執行役員にどのような役割を期待するか”“既存の役員や従業員との関係をどのように整理するか”といった、いくつもの論点を整理する必要があります。そうした制度制定に先立つ論点整理や法的観点からの検討、制度構築や適切な運用に向けたアドバイスなどについても、当事務所には多くの経験があります」(乾弁護士)。
さらには、従業員によるパワハラ等の秩序違反行為への対応や、メンタルヘルスを含めた私傷病を抱える従業員への対応、紛争対応などにおいても、企業のあり方やニーズを踏まえた総合的かつ実践的なアドバイスを提供する。
「交渉や紛争、社内制度の整備や個別の労働法規の読解など、多くの要素が絡み合う労働法務には、弁護士としての総合的な力が要求されます。個人情報保護法や独禁法など、他の専門的な視点からの検討が必要になる場面もありますが、所内に在籍するさまざまな専門分野を持つ弁護士と連携できるのも当事務所の強みです。今後も個々の弁護士の力やそうした事務所としての強みを活かし、企業の長期的な成長や成功を支援していければと考えています」(乾弁護士)。

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 DATA 

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所在地・連絡先
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-1 麹町ダイヤモンドビル
【TEL】03-3288-2080(代表) 【FAX】03-3288-2081

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所属弁護士等:弁護士54名、アドバイザー1名、外国弁護士2名(2023年11月現在)

沿革:1989年4月に、現在のネームパートナーである3名の弁護士を中心に発足

乾 正幸

弁護士
Masayuki Inui

13年弁護士登録(第一東京弁護士会)、14年桃尾・松尾・難波法律事務所入所。19年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP(NY)およびMayer Brown LLP(NY)勤務。20年ニューヨーク州弁護士登録。20年桃尾・松尾・難波法律事務所復帰。

田口 裕太

弁護士
Yuta Taguchi

19年東京大学法学部卒業。22年弁護士登録(第一東京弁護士会)、桃尾・松尾・難波法律事務所入所。

高橋 優依

弁護士
Yui Takahashi

18年早稲田大学法学部卒業。20年一橋大学法科大学院修了。22年弁護士登録(第一東京弁護士会)、桃尾・松尾・難波法律事務所入所。

『キャリアプランニングのための企業法務弁護士入門』

著 者:松尾剛行[著]
出版社:有斐閣
価 格:2,530円(税込)

『クラウド情報管理の法律実務〔第2版〕』

著 者:松尾剛行[著]
出版社:弘文堂
価 格:3,960円(税込)

『ChatGPTと法律実務―AIとリーガルテックがひらく弁護士/法務の未来』

著 者:松尾剛行[著]
出版社:弘文堂
価 格:2,200円(税込)