ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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伝統とグローバル・ネットワークを兼備

ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所は、1910年(明治43年)にまで遡る、長い伝統を誇る事務所である。設立以来、国内外の企業に対し、企業法務および知的財産法務を中心とするリーガルサービスを提供してきた。法律事務所の国際的ネットワークであるMSI Global Allianceにも加入し、世界の法律事務所・弁護士と連携が可能だ。
「当事務所は、理念として“多文化主義”を掲げています。単に海外の法規制情報を提供するだけでなく、現地文化やビジネス慣習も意識して情報を提供しています」と、根本鮎子弁護士は語る。

グレーゾーンの多いヘルステックとフェムテック

根本弁護士が注力している分野の一つがヘルステックだ。この分野の法規制は、都道府県に許可権限が委譲されているケースが多い。
「例えば、プログラム医療機器のアプリの医療機器該当性について、都道府県で判断が異なっていたのですが、企業側から働きかけて、厚労省に窓口が一元化されたことがありました。新しい製品に関するワーキンググループを行政と設けたり、グレーゾーン解消制度を活用するなどして、こうしたサポートを行っています」(根本弁護士)。
また、根本弁護士はフェムテック(女性が抱える月経や不妊治療等の健康課題をテクノロジーで解決する商品やサービスを指す)の分野にも力を注ぐ。当初は、スタートアップからの相談が多かったが、最近は大企業からの問い合わせも増えてきているという。

スタートアップ支援とファミリー企業の事業承継

大杉真弁護士が傾注している分野の一つは、スタートアップ企業の支援だ。
「スタートアップの場合、資金が潤沢でないことが多いので、契約交渉において不利な条件をつけられることがままあります。当事務所では、ご依頼者の資金ニーズに合わせながら、どんな場面でも不利なくビジネスが進められるよう支援を行っています。また、創業者が複数の場合、途中で意見が合わなくなることもありますので、最初から株主間契約を作成しておくなどの準備が大切となります。こうした“万が一”のリスクを回避するためのご提案・支援も欠かせません」(大杉弁護士)。
さらに、大杉弁護士はファミリービジネスの事業承継にも精力的に取り組んでいる。
「事業承継で最初に問題になるのは税制ですが、ここだけに注力してしまうと、企業のよりよい発展が描けなくなります。また承継に関わるファミリーメンバーが多いと意思疎通に時間がかかるので、最初に綿密な計画を策定しておくことが重要です。また、ファミリービジネスの承継に際しては、法的サポートだけではなく、家族会議のサポートなどのコンサルティング要素も含めて支援することが重要だと考えています」(大杉弁護士)。

IoT時代の標準必須特許(SEP)と自動車業界

松永章吾弁護士は、標準必須特許(SEP)に関する法的支援の第一人者だ。
「IoTによる大きな変化をもたらしたインフラが、モバイル通信技術です。この技術は、いまや遥かに広い産業分野で使われています。異なる機器が相互につながるためには標準化が必須といえるでしょう」(松永弁護士)。
ドイツでコネクテッドカーに対する差止判決が次々に言い渡され、欧州を代表する自動車OEMは大々的な敗北を喫した。松永弁護士は「これは、“垂直型”といわれる自動車業界特有のサプライチェーンの問題を浮き彫りにしたものです」と指摘する。誰がライセンス料を支払うかの問題だが、世界的な判例では、OEMが支払うことで一致している。松永弁護士によれば、欧州のOEMはこれを受け入れた上で5G時代の新たな戦略を構築しているという。
こうした一連の流れを受けて、松永弁護士は、「SEPについての対応は、欧州企業に比べて、日本企業はだいぶ遅れている」と警鐘を鳴らす。
「欧米の企業では、知財部が経営に近いところで活動しています。日本の企業もボードメンバーに知財に秀でた人材を充てない限り、知財戦略的に世界に後れをとることになるでしょう」(松永弁護士)。

新技術への対応

坂井健吾弁護士は、自動運転などの新技術に関する法的サポートを得意とする。
「電気自動車や自動運転など、日本における自動車業界の変革の立ち上げから関与することができ、急速に事業が発展していく中で、先進的な問題や新しい技術をクライアントのみなさまと一緒に学びながら、法的サポートを実施してきました」(坂井弁護士)。
自動車業界は規制の厳しい業界ゆえ、新たな技術の導入に際しては、監督官庁とのコミュニケーションを繰り返しながらプラクティスを固めていくことが大切だと坂井弁護士は語る。
また、坂井弁護士はフィンテックなどに関連した法的サポートも手がけている。
「技術に関しては、初めから知見があるわけではありません。決済技術にせよ自動運転にせよ、知財の専門家や企業の中の技術の専門家のみなさまと協議をしながら、その技術の本質を理解して法的調整をしていくことが重要です」(坂井弁護士)。

ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所は、100年以上の伝統を守りつつ、新たな100年に向けて、新しい分野への挑戦を続けている。

→『LAWYERS GUIDE 2023』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttps://se1910.com/ja/

所在地・連絡先
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービルディング18階
【TEL】03-5220-6500(代表) 【FAX】03-5220-6583(法律)/03-5220-6556・6530(知財)


所属弁護士等:弁護士14名、弁理士29名、外国弁護士2名(2022年11月現在)

沿革:1910年の設立以来、国内外の企業に対し企業法務および知的財産法務を中心とするリーガルサービスを提供。具体的な取扱分野には、企業法務として、会社設立、M&A、事業承継、ファイナンス、独禁法、環境、労働問題、情報セキュリティ・個人情報管理、ヘルスケア・ヘルステック、国際取引等、知的財産法務として、標準必須特許ライセンス・訴訟を含む特許紛争の代理や助言、ブランド保護、職務発明規程を含む社内制度の構築、その他渉外親族・相続が含まれる

過去の主要案件

・ 自動運転車両による事故に関連する日米の紛争案件(日本における行政調査・刑事訴訟対応、米国における民事訴訟対応)

・ スタートアップ企業の資金調達に関するデューディリジェンス・契約交渉案件

・ ファミリー企業の事業承継計画の策定・信託契約・遺言書作成案件

・ 標準必須特許(SEP)のライセンス案件(海外権利者、国内実施者に対する助言)および訴訟

・ 薬機法遵守体制・ヘルスケアコンプライアンスの構築・整備支援

大杉 真

弁護士
Makoto Ohsugi

03年慶應義塾大学法学部卒業。04年弁護士登録(第二東京弁護士会)。10年南カリフォルニア大学ロースクール修了(LL.M.)。16年公認不正検査士(CFE)登録。一般企業法務・商取引、M&A・企業再編、人事労務、国際・国内の商業取引紛争(国際商事仲裁手続を含む)・労働紛争(主に会社側を代理)を専門としている。

根本 鮎子

弁護士
Ayuko Nemoto

06年東京大学法学部卒業。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)。13年ジョージタウン大学ローセンター修了(LL.M.)。14年ニューヨーク州弁護士登録。国内外のコーポレートアライアンス(M&A、JV等)、ベンチャー支援業務、その他のコーポレート業務一般を専門としている。民商法、会社法、雇用、及び紛争・訴訟に加え、製薬、医療機器、再生医療、及び、ヘルスケア業界に関連する規制法について幅広い経験を有する。

松永 章吾

弁護士・弁理士
Shogo Matsunaga

93年早稲田大学法学部卒業。民間企業を経て08年弁護士登録(東京弁護士会)。16年弁理士登録。知的財産法務(特許・意匠・商標権侵害及び不正競争事案の訴訟代理,営業秘密保護・コンタミネーション防止,模倣品対策ほかブランド保護についての助言),労働法務(外資企業及び大使館の労働問題についての助言及び訴訟代理)を専門としている。

坂井 健吾

弁護士
Kengo Sakai

08年東京大学法学部卒業。10年東京大学法科大学院修了。11年弁護士登録(第二東京弁護士会)。ファイナンス取引、知的財産法務(主に特許紛争や職務発明関連の助言)、規制対応、消費者関連法、訴訟・紛争解決を専門としている。自動車、航空、ITメディア、フィンテック分野などにおいて、幅広い経験を有する。

『ジュリスト No.1571』

著 者:松永章吾 ほか[著]
出版社:有斐閣
価 格:1,569円(税込)

『ビジネス法務 2022年5月号』

著 者:渡辺直樹・大杉真・根本鮎子・橋爪航 ほか[著]
出版社:中央経済社
価 格:1,700円(税込)

『ビジネス法務 2022年9月号』

著 者:根本鮎子 ほか[著]
出版社:中央経済社
価 格:1,700円(税込)

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