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企業間における営業、技術系社員の接触は高いリーガル・リスクにさらされる一方、自ら法令に通じた法務担当者同士の交流は、業務の性質上も比較的容易とされる。しかし、人材交流の拠点となる外郭団体は、活動期間の経過とともに研究分野や会員企業の業態・規模に偏りが生まれ、参加者の固定化(高年次化)も進みがちだ。
国際企業法務協会(International Corporate Counsels Association:INCA)は、若手・中堅層の厚みと会員の主体性を重視した機動力を武器に、人材流動化の過渡期にある企業法務の世界を手広く牽引する。
同会の活動の特徴・魅力と今後の方向性について、現会長・大槻智行氏および前会長・北島敬之氏と、同会とつながりの深い淵邊善彦弁護士の3名に対談いただいた。

少人数でバラエティ豊かな会員企業 相互交流と部会の主体的運営で深まる親睦と実務スキル

淵邊弁護士 INCAの特徴として、まず会員構成が挙げられます。会員数が100程度と少なめながら、当該企業の属性は製造・非製造、会社規模や法務部門の大小、B to BとB to C 、上場・非上場など多様性に富んでおり、参加者の年代もバランスが整っていますね。

INCA会長 大槻 智行 氏

大槻氏 月例会および分科会の開催に加え、会社法や知的財産法、労働法など会員共通のコアな法令を中心に研究会を開き、情報を交換・共有することをINCAの基本活動としています。外部弁護士や企業法務担者との協働にも積極的であり、淵邊先生には倒産法研究会での講演等サポートいただいています。また、INCAは会員相互の親睦を深めることを何よりも重視し、年1回の研修合宿、年数回の懇親会等を通じて若手と中堅・ベテラン層が互いに学び合いながら大いに刺激を受けています。直近はコロナ対応のためオンライン開催となりましたが、宴会セットの自宅配送サービスを活用し、合宿さながらの雰囲気でした。

淵邊弁護士 専任スタッフを1名(事務局長)と最小限に抑え、活動の中身とリソースを原則として所属会員に委ねる“手弁当”のスタイルを貫いていることも特徴的です。

北島氏 この姿勢には二つのメリットがあると考えます。まず、事務局がテーマ選定や活動を主導するのではなく、会員相互の話し合いで会を進行するため、活発な意見交換が可能になります。次に、意欲的に参加する人にとっては、会の構想から企画・運営までを引き受けることでプロジェクト・組織を動かす練習を積むことができます。一連の作業を通じて、法令知識の習得はもちろん、発表時のプレゼン能力を高める副次的効果も得られることに大きな価値を見出しています。

自社では解消されない疑問・不安を解決に導く 会員同士が結ぶ国内外のネットワーク

淵邊弁護士 INCAには“一人法務”の会員企業も多いですが、この点、国内外を問わずネットワークの柔軟な構築・支援が得られる体制は大変魅力的に映ります。

大槻氏 具体的な法対応・実践に不安を覚えた際に、INCAでの横のつながりは非常に心強いと同時に、各人の業務の進め方に照らして、従前の思考の枠組みを越えた新たな“気付き”が多く得られるはずです。法令に関する疑問の解消のみならず、「事業進出先の海外でよい弁護士を紹介してほしい」といった依頼も多く、会員企業間で国内外における法務課題の解決に有用な情報交換がスムーズに行えるものと期待します。

北島 敬之 氏

北島氏  社内業務にこもりがちな法務担当にとって“外の空気”と接することは特に若手社員の研鑽のため有用なところ、INCAに所属すれば自然とその時間が手に入る恵まれた環境があります。INCAとしては、Asian Legal Businessとの包括的連携を組み、同組織の国内イベント開催時のスポンサーになるなどネットワーク拡大に努めています。

法務の強い外資系企業から知得するプレゼンス向上の道 企業法務の将来を担う若手・法科大学院生との関係深化

淵邊 善彦 弁護士

淵邊弁護士 INCAは伝統的に外資系企業の日本法人の加入にも間口を広く構えており、また、法科大学院生など潜在的な将来の企業法務の担い手とも盛んに関係構築を進めていますね。

大槻氏・北島氏 異なる企業文化を理解し合うことは、個人の成長や業務遂行への活用等によい効果があると信じています。我々も外資系企業で長く勤務する中、事業構想・組成の段階から法務責任者が加わり、従業員の行動指針としてLegal Consultation(法務への相談)・承認のプロセスをグローバル標準に盛り込むなど、法務部門の権限が強化された体制を経験しています。コーポレート・ガバナンスや法務機能の重要性が叫ばれる今日、INCAにおいて外資法人の会員から情報・助言を得ることは、日系企業が自社組織のあり方や規程を見直す上でも参考になると考えます。

北島氏  法科大学院生との対話会では、車座になって企業法務の実際を説明し、“現場”への理解を深めてもらうよい機会になりました。最初は手探りでしたが、徐々に定着しています。

淵邊弁護士 INCAには、会員企業が手を挙げ、新しいことに常に挑戦できる貴重な学びと人脈獲得の空間があります。今後の活動の方向性が非常に楽しみです。

大槻氏 特に若手社員の参加者をいっそう増やし、人材育成の場を確立することで法務担当者の団体としてのプレゼンス向上を目指しています。現在では“INCAアカデミー”を毎月開催し、若手法務部員に対してベテラン社員が企業法務の基礎・基本について話をしてもらう機会を設け、好評を博しています。

北島氏  会員間で契約を締結した上で、INCA所属企業間での出向形態による法務人材の流動化ができればと考えています。インハウスと弁護士事務所間の人材交流(出向)は現在も活発ですが、企業間の法務部員の流動化が促進されることで、社内では得られない経験やキャリアを積むことができ、企業の法務部全体の質の向上を図っていくことで、不正・不祥事の予防と適正・適法な事業推進、ひいては日本経済の強靱化にも確実に寄与するはずです。懇親会へのお試し参加は歓迎しますし、会費も良心的な価格ですので、まずはお気軽にご訪問ください。

→『LAWYERS GUIDE 2022』を「まとめて読む」
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大槻 智行 氏

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国際企業法務協会(INCA) 会長
キンドリルジャパン合同会社 シニアカウンセル
ワシントン州・ニューヨーク州・ケンタッキー州弁護士

北島 敬之 氏

Takayuki Kitajima
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Yoshihiko Fuchibe
ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士