CSCがGameChanger! ゲーム業界における権利侵害対策の最前線 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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昨今、ゲーム市場が拡大する一方で、ゲーム業界へのサイバー攻撃が急増している。ゲーム・ソフトウェア業界が直面する種々の課題に、企業はどのように対処するべきか。
高度なセキュリティ体制で多くのオンラインブランド保護の実績を有し、世界の多数の企業に支持されるサービスプロバイダであるCSCの専門家と、大手ゲーム開発会社の法務担当者、米国を代表するビデオゲームの業界団体であるESA(エンターテインメントソフトウェア協会)の不正使用対策のプロフェッショナルを米国から招聘して実施されたセミナー「CSCがGameChanger!ゲーム&ソフトウェア業界における脅威の最新動向と多様化する攻撃への対策とは?」をレポートする。

ゲーム・ソフトウェア業界における最新の脅威とは?

セミナーではまず、CSCのジアーニ・マイオラーノ氏が、昨今のゲーム・ソフトウェア業界におけるブランド侵害の脅威の現状を紹介。「昨今の業界で最も注視すべき脅威がUDG(不正デジタルグッズ)に関わるものです。UDGは“バーチャルで取引されるあらゆるもの”の総称で、現在では、オンラインゲーム内で購入可能なスキンやアクセサリー、ゲーム内通貨やゲームアカウント、さらにはゲームそのものが違法に取引されています」。
そうしたUDGは、ブランドの正規サイトに巧妙に偽装したスタンドアローンの個人サイトやECサイト、SNSなどで販売され、中でも最近はゲーム業界では禁止されている“アカウントの再販”が多く見られるという。

また、ゲーム業界に特有ともいえる配信者やインフルエンサーに関わる問題もある。配信者の「自分たちとゲーム業界は共存共栄の関係にある」という認識を背景に、YouTubeやTwitchの世界では知的財産権の侵害が日常的に起きている。インフルエンサーはゲーム業界に大きなプラスの影響も与えているが、「彼らの行為が大きく一線を越えることも少なくありません」とジアーニ氏は指摘する。「実際、インフルエンサーがブランドの権利を侵害するグッズなどを販売し、不当な利益を得ているケースは多く見られます。誰もが多くのフォロワーがいる配信者を敵に回したくはありませんが、ルール違反を放置すると大きな収入機会の損失につながります。インフルエンサーたちの行為をどこまで許容するのか。ゲーム会社の法務部では絶えずそのせめぎ合いの中で仕事をし、上手な対処の方法を模索する必要があるのです」。

最大手のゲーム開発会社のブランド保護戦略

続いて、米国バンジー社の法務部門シニアマネージャーを務めるマージョリー・マーティン氏が、自社のブランド保護戦略を紹介。バンジー社では2019年に、大手ゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザード社とのパートナー契約を解消。同社は独自のブランド保護プログラムを早急に構築する必要に迫られ、マーティン氏が担当者として任命された。
「当社の当時のブランド保護プログラムには多くの問題点があり、数多くの製品の権利侵害が放置されている状態でした。たとえば、ゲーム内の武器を3D化した模造品が販売されていて、これらは実際の武器として犯罪に使われるリスクすらありました。また、ゲーム内で配布される特別なアイテムやグッズ、さらにはゲーム自体やサントラなどが不正にストリーミングされて私益化されている状態だったのです」。

そこでバンジー社は、ESA(エンターテインメントソフトウェア協会)に加入。ビデオゲーム業界の知見を持つベンダーとしてESAからCSCを紹介され、CSCの顧客へのヒアリングやサービスについての質問を重ね、満足のいく結果を得たことから契約を締結した。マーティン氏は「ベンダー契約を結ぶまでには約3か月半を要しましたが、当初は長い時間と労力をかけていた不正アイテムのマーキングや取り下げの作業などを大きく効率化できました。現在は1週間に2回のプロテクションダッシュボードのモニタリングを行い、内部のチームと侵害行為についての特定確認をすることが私の仕事です。CSCのディストリビューションシステムで侵害行為への速やかな対応が可能になっており、チートやボットなどの行為をいち早く見つけて提訴につなげ、そうした不正行為をゲーム内から締め出すことにも成功しています」と、CSCと取り組むブランド保護プログラムの成果を語った。

権利行使効果を劇的に向上させるESAからのヒント

最後に、米国のビデオゲーム業界を統括する業界団体であるESAでオンラインでの複数のプラットフォームにおけるデジタルアセットの不正使用対策を主導するアレックス・マーティン氏が、権利行使効果を向上させるヒントを紹介。「適切な権利行使を行うには、どのようなキーワードをスキャンすべきかを知り、ゲーム内の不自然なトレンドにいち早く気づくことが重要です。そのためには、不正販売者が具体的にどのようにデジタルアセットを売買しているのか、販売後にそのアイテムがどのように交換されているのかを知っておく必要があります」。

そう話すアレックス氏が明かすESAの戦略が“ディスラプション(妨害)”だ。「UDGの販売は主に、スタンドアローンのサイトとeBayなどのマーケットサイトで行われます。そのうちマーケットサイトについては、CSCと協力して権利行使を行います。具体的には、まずメーカーからの権利行使の委託を受けたゲームソフトのタイトルリストを作成し、ゲーム内のデジタルアセットがeBayで不正に販売されるといったケースであれば、CSCがeBayと連携して実際に販売される前にその販売情報を削除します。一方、スタンドアローンのサイトでは、運営者とユーザーのコミュニケーションそのものを妨害する必要があり、一筋縄ではいきません。ESAはそこでもさまざまな手法を構築してきましたが、今後もCSCのアナリストはもちろん、各プラットフォームとの連携強化なども図りながら権利行使を実現していきたいと考えています」。

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CSCは、クライアントの価値あるブランド資産を効率的に管理、促進し、オンライン世界の脅威から保護するお手伝いをします。CSC® は、Interbrand® 100 ベストグローバルブランドの65% を超える企業など、多数の大手企業からパートナーとして信頼されてきました。
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ジアーニ・マイオラーノ

CSC 事業開発担当マネージャー

CSCのデジタルブランドサービスのコンサルタントとして、ドメインのセキュリティとオンラインブランド保護に携わる。約10年にわたり、CSCの最大手クライアントが抱える固有の課題やオンラインカバレッジのギャップの特定、それらの改善支援などを行ってきた経験を持つ。生涯を通じて熱心なゲーマーであり、ゲーム業界が直面するユニークな課題への関心が特に強く、クライアントであるゲーム会社のために侵害や潜在的な脅威を軽減するためのプログラムも作成する。ドメイン名ポートフォリオを保護し、企業が安全に取引やビジネスを行えるようクリーンなオンラインプレゼンスを確立するための支援を行っている。

マージョリー・マーティン

Bungie,inc.(バンジー) 法務部門シニアマネジャー

オリジナルビデオゲーム「Halo」や「Destiny」シリーズの開発元であり、世界最大のビデオゲーム開発元の一つであるバンジーの法務オペレーション担当シニアマネージャー。同社の法務スタッフおよび弁護士を除く、法務に関わるすべての部門とスタッフを管理する。同社入社以前は、Davis Wright Tremaine LLCで大規模な法律専門家チームを管理し、Expediaで大規模な証拠開示や訴訟プロジェクトを推進。また、Nintendo of AmericaやElectronic Arts、Sony、Segaにおいて調達、人事から契約管理、製品開発まで、ゲーム業界での長年の経験を有している。

アレックス・マーティン

ESA協会 IP保護&セキュリティチーム プログラムマネージャー

米国のビデオゲーム業界を統括する業界団体であるEntertainment Software Association(ESA)のIP保護&セキュリティチームプログラムマネージャーとして、5年以上にわたり30社以上のゲームパブリッシャーのビデオゲームデジタルアセットの不正使用対策を主導。好きなゲームは「アサシンクリード・ヴァルハラ」「サイバーパンク2077」。ワシントンD.Cを拠点とする。

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