岩田合同法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

© Business & Law LLC.

知的財産・IT分野への組織的注力

岩田合同法律事務所の歴史は1902年、後の司法大臣、日本弁護士連合会会長である故岩田宙造弁護士が「岩田宙造法律事務所」を設立したことに始まった。以来、120年以上にわたり、我が国を代表する多くの企業等にリーガルサービスを提供している。そんな“企業法務法律事務所の草分け”たる同事務所が昨今注力しているのが、知的財産・IT分野である。
IP・ITチームのリーダーを務める工藤良平弁護士は、同事務所の強みについて、次のように話す。「当事務所は、特許権、意匠権、商標権、著作権といった知財法プロパーの案件に加え、知的財産法以外の法分野やビジネス判断的要素、ITを中心とする先端技術が交錯する案件に対し、近年特に注力し強みを有しています。このような案件に関しては、知的財産法に加えて幅広い法分野の知識と経験と、クライアントの実施事業に関する深い理解がなければ、そもそも問題となりうる論点を適切かつ網羅的に抽出することが難しいのです。当事務所では、企業法務に関して問題となりうるほぼすべての法分野や技術分野に関して専門的に取り扱うことのできる弁護士が所属していることに加え、顧問契約に基づく日常的相談を通じてクライアントの実施事業に関する理解を深めているため、複雑化する案件にもワンストップでの対応が可能です」(工藤弁護士)。
また、同事務所の執行パートナーである田子真也弁護士は、次のように語る。「“特別法”である知的財産法の案件処理を適切に行うためには、“一般法”である民法等での裁判・紛争処理の実務や、知財相談の関連問題として頻繁に登場する会社法、金商法、労働法、税法等の知見・経験が重要となります。IP・ITチームに所属する弁護士は、誰もが入所後に幅広い法分野における法律事務を一通り経験してから専門分野へと移行していますので、幅広い法分野についてバランス感覚を持ったアドバイスが可能ですし、企業の顧問弁護士として、企業の歴史、パーパス・理念、事業内容や計画、業績、社内組織、役員構成、社風、業界傾向などの経営に関する主要な情報を十分に把握し、社内稟議の過程や役員の顔ぶれを想像しながら社内意思決定のための資料作成支援を行うといったことも可能です」(田子弁護士)。
同事務所は卓越した紛争解決力でも知られるが、知財・IT分野においてもそれは例外ではない。IP・ITチームのメンバーである齋藤弘樹弁護士は、「当事務所は、伝統的に企業間の裁判・紛争解決案件に強みがあり、知財・IT関係の紛争も数多く受任しています。ベンダ側・ユーザ側、どちらの立場も代理人としての紛争取扱経験が豊富ですので、こうした経験を踏まえたアドバイスが可能です」と話す。
同様にIP・ITチームのメンバーである関口彰正弁護士は、紛争予防に向けたサポートにも強みがあると語る。「近年は、新規事業に際してクラウドサービスやAIを利用することが多くあります。ユーザ向けの利用規約をはじめ、サービスレベルアグリーメント(SLA)といった技術的書面の作成についてもサポートしています。ユーザ向けの利用規約やSLAの検討にあたっては、消費者契約法に留意する必要があることはもちろんですが、会社の責任を一定の範囲に制限する必要がある一方で、ユーザからのクレームが生じないよう信頼の得られる内容にする必要がありますので、会社の規模やサービス内容を踏まえたバランス感覚が必要です。当事務所では、ベンダ側・ユーザ側双方の属性や傾向を踏まえ、無用の意見対立や齟齬を予防・調整しながら案件を進めることが可能です」(関口弁護士)。

新設された弁理士法人との協働により知財・ITの総合的サービスが提供できる体制を構築

近時、先端技術が関わる知財・IT案件への対応体制の構築のため、同じ「岩田合同」の名を冠した弁理士法に基づく弁理士人も設立されたという。
「近年の技術革新の流れは早く、さまざまな技術分野において新規技術の研究開発が加速しています。研究開発の成果である知的財産は、企業の競争力の源泉となる重要な経営資源であり、その利活用の重要性は日々高まっています。会社法その他の企業法務の法分野において伝統的に法律事務所として蓄積・提供してきた法律の助言に加え、最先端の技術開発動向をフォローしつつ、知的財産に関する事業戦略立案、知的財産の開発方針、権利化方針や出願戦略の立案といった技術・知財経営に関する専門的知見も必要となります。そこで、これらの幅広い企業ニーズに対応する体制の構築のため、「岩田合同」の名を冠する「弁理士法人IGIP岩田合同国際知的財産事務所」(IGIP)が新規に設立されました。これにより、弁護士と弁理士がタッグを組み、知財に関するニーズをワンストップで漏れなく拾い上げられる体制が整いました」(工藤弁護士)。
「近年、データやAIその他のデジタル技術を利活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関わる相談が増加しています。関係省庁が公表しているガイドラインやガイドブック、モデル契約の範囲にとどまらない、実務的なアドバイスをするよう心がけています。例えば、学習済みモデルの生成に必要なデータの取得や加工のフェーズにおいては個人情報保護法等の遵守との関係で負担がかからないスキームの検討に協力し、学習済みモデルの利用のフェーズにおいては、その後のカスタマイズや追加学習による精度向上も見据えた契約条件の策定に協力するなどしています。AI関連技術につき特許出願に関する助言が必要となる場合などでは、弁理士と連携してアドバイス可能です。“こんなデータを使って、こんなことがしたい”といったアイデアの段階からお気軽にご相談いただければと思います」(齋藤弁護士)。
「企業価値の源泉となる新規技術やブランドについては、いかに国内外で費用対効果を極大化できる出願を行い、他者との提携やM&Aを行い、法令上の規制をクリアしつつ利益を最大化しうる法的スキームを構築しうるか、また、そのようなスキーム構築と事業推進について、いかにマネジメントの主導または了解を取得しながら推進できるかなど、さまざまな課題が山積しています。当事務所は、このような複合的・広範な問題の解決にも強みを有しています。お気軽にご相談ください」(工藤弁護士)。

→『LAWYERS GUIDE 2023』を「まとめて読む」
→ 他の事務所を読む

 DATA 

ウェブサイトhttps://www.iwatagodo.com/

所在地・連絡先
〒100-6315 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング15階
【TEL】03-3214-6205(代表) 【FAX】03-3214-6209


所属弁護士等:弁護士90名(外国弁護士4名含む)(2022年12月現在)

沿革:1902年、故岩田宙造弁護士により創立され、爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、現存する法律事務所の中でわが国最古の法律事務所の一つ

田子 真也

弁護士
Shinya Tago

90年一橋大学法学部卒業。93年弁護士登録(第一東京弁護士会)。01年コーネル大学ロースクール修了(LL.M.)。02年ニューヨーク州弁護士登録。19年~一橋大学法科大学院特任教授。

工藤 良平

弁護士
Ryohei Kudo

02年東京大学法学部卒業、防衛庁(現 防衛省)勤務を経て、06年コロンビア大学ロースクール修了(LL.M., James Kent Scholar)。07年ニューヨーク州弁護士登録。10年東京大学法科大学院修了。11年弁護士登録(第一東京弁護士会)。18年~東京医科大学大学院医学研究科博士課程在籍中。

齋藤 弘樹

弁護士
Hiroki Saito

10年東京大学法学部卒業。12年東京大学法科大学院修了。13年弁護士登録(東京弁護士会)。

関口 彰正

弁護士
Akimasa Sekiguchi

14年慶應義塾大学法学部卒業。15年弁護士登録(第二東京弁護士会)。