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調査から危機管理・訴訟まで 数多くの著名事案を担当

所属弁護士23名の陣容で、数々の不祥事調査案件を手がけるAI-EI法律事務所。国内案件にとどまらず、海外企業の日本拠点での調査案件や海外本社への報告を要する案件も多いという。また、芸能事務所における性加害の被害者救済委員会への関与や、中古自動車販売会社の自動車修理に関する保険金不正請求をめぐる紛争解決・顧客被害回復対応など、社会的に耳目を集めた事案における危機管理対応や、訴訟へ発展した場合の対応実績も豊富だ。
不祥事調査からその派生事案に至るまで、案件を受任する背景は弁護士ごとにさまざまだが、共通して多いのは、不祥事が発生した企業の顧問法律事務所や過去の案件関係者からの対応依頼だ。公認不正検査士、全国通訳案内士の資格を保有する松井博昭弁護士は、その背景を次のように説明する。
「典型的なのは、内部通報の対象が人事部長や社長など、顧問法律事務所と深い関係を持つ人物である場合で、顧問法律事務所では第三者性が担保できないとして当事務所へご依頼いただくケースです。以前に所属していた企業、法律事務所などからの紹介案件が多数を占めますが、海外企業から、“ヒアリング、報告書作成、役員報告に至るまで、すべて英語で対応してほしい”という要望があり、当事務所をご指名いただくことも少なくありません。ほかにも、紛争や労働事件等の別案件で対応した企業や以前の相手方弁護士から、不祥事対応を依頼されることもあります」(松井弁護士)。
同事務所は不祥事対応や訴訟に発展した場合の対応能力や見立ての精度を高めるため、多様なバックグラウンドを持つ弁護士を採用しているという。
「創設以来の採用方針として、元裁判官・検察官、商社や金融機関等のインハウス経験者、大学教員など、さまざまな分野の経験者を幅広く採用するよう心がけています。起訴リスクの判断や被害者との交渉、業界ごとの企業が重視するポイントなど、内部にいた者でなければわからない勘所こそ価値があり、重要だと考えているからです」(松井弁護士)。

正確な調査と事実関係の把握が再発防止策・公表の判断基準となる

不祥事発覚後の対応においてまず重要となるのが、事実関係の正確な把握だ。その後の是正と公表の方針は、依頼者やステークホルダーにとって利点があるか否かで判断する必要があり、案件の性質や外部への波及状況によって見極めが求められる。
公表の判断軸について、数多くの大規模訴訟案件を担当してきた鯉渕健弁護士は「公表が会社に与える影響を正確に判断するには、その前提となる“調査の質”そのものが問われます」と指摘する。
「調査が曖昧なまま終われば、再発防止策も本質的な対策にならず、問題がくすぶり続けます。通報者やステークホルダーに納得してもらえる徹底的な調査が必要です。ヒアリングを通じた事実認定や証拠分析、事実経緯の構築など、当事務所が業務の柱とする訴訟・労務案件での実績が活きるところです」(鯉渕弁護士)。
調査においては、調査チームの構成員の適格性もポイントだ。鯉渕弁護士は、ヒアリング対象者が会社と対立する当事者と内通しているようなケースも、現場では決して珍しくないと語る。
「社内の人間関係を外部の弁護士が事前に把握することには限界があります。可能であれば、会社側が関係者のマッピングを整理したうえで弁護士側に共有することが、調査の精度を高めることにつながります」(鯉渕弁護士)。
被害者が多数にのぼる案件では、“公表の要否”よりも“開示範囲の設計”が課題となると話すのは、商社のインハウスローヤーとしての勤務経験を持ち、先述の中古自動車販売会社の案件を担当した中村圭佑弁護士だ。
「被害が数万人規模にのぼる案件では、情報が外部に流出する経路を完全に制御することが困難です。記者会見を開き、質疑応答に応じることで、根拠のない憶測が独り歩きする事態を防ぐことが肝要です。公表を躊躇していると、他のルートから偏った情報が流れ、マスコミに恣意的に報道されるリスクが高まります」(中村弁護士)。

弁護士も含むチームで臨む意識が担当者の疲弊と致命的なミスを防ぐ

担当者のメンタル面への配慮も実務上の重要課題だ。不祥事対応は、通常業務と並行して突発的に発生するため、担当者の負荷が重く精神的に追い込まれやすい。インハウス時代にコンプライアンス担当として不祥事対応を行った中村弁護士は、案件規模にもよるが、主担当として同等の能力を持つ人材を、2名以上は確保することが必要だと説明する。
「大きな案件では、主担当が一人だけだと抱え込みすぎるため、代替できる人物がいることが重要です。そのうえで若手やサポートメンバーが加わる形がよいでしょう。不祥事対応では一つのミスが致命的な結果につながることがあります。ミスを防ぐためにも、互いの作業を確認し合える体制が不可欠です」(中村弁護士)。
一人に対応が集中せざるを得ない場面では、「弁護士に一部の業務を移管することで担当者の負荷を減らすことも一つの手です」と松井弁護士は語る。
「海外企業の案件では、本国への報告やアジェンダの作成、ウェブ会議への同席など英語対応業務を一括して引き受けることもありますし、日本企業の案件でも、議事録の作成や社内展開用のToDoリストの作成などを必要に応じてサポートしています。不祥事調査は長期化することが多く、担当者が休暇を取れない状態が続けば疲弊は免れません。体調管理は必要ですし、万が一の急用、急病の際には、業務を引き継げる体制を整えることも重要です。メールのCCでの情報共有など、平時とは異なる連携体制を意識的に設計することも忘れてはならないポイントですが、法律事務所がそのバックアップや情報共有のサポート機能を担うこともできます」(松井弁護士)。

読者からの質問(議論の停滞や負担感への対処法)

Q 社内のキーマンが不安に感じており、同じ論点が何度も繰り返し検討されています。議論が進まず、負担が重く感じますが、どう対処すべきでしょうか。
A 不祥事調査案件では、同じ論点を掘り下げたり、繰り返し確認したりすることも多く、必ずしも議論が無駄というわけではありません。しかし、議論がスムーズに進まないという印象をお持ちの場合、キーマンの方に正面から指摘するのではなく、たとえば、前回の議論の経緯を参照できる内部メモやアジェンダを整備したり、回答や資料をチーム内で共有したりして、検討事項の重複を回避することで手続を効率化することが有益です。また、負担が重く感じられる場合、担当者一人に負荷を集中させず、ToDo管理や日程調整、ヒアリング記録といった事務対応を担う若手スタッフを配置するとよいでしょう。大炎上案件では、担当者が一人で抱え込むと心理的に辛くなります。“チームで臨む”という意識を持ち、担当弁護士も含めて、業務を分散させる判断をためらわないことが重要です。

→『LAWYERS GUIDE 企業がえらぶ、法務重要課題2026』を 「まとめて読む」
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 DATA 

所在地・連絡先
〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-3-2 内幸町東急ビル9階
【TEL】03-6205-8444(代表)
【E-mail】info@aieilaw.co.jp

ウェブサイトhttps://www.aieilaw.co.jp

主事務所の所属弁護士会:第一東京弁護士会

鯉渕 健

弁護士
Takeshi Koibuchi

08年北海道大学法学部卒業。09年弁護士登録(第二東京弁護士会)。09年西村あさひ法律事務所入所。16年双日株式会社法務部出向。19年AI-EI法律事務所入所、その後パートナー就任。

松井 博昭

弁護士
Hiroaki Matsui

06年早稲田大学法学部卒業。08年早稲田大学大学院法務研究科修了。09年弁護士登録(第二東京弁護士会)。10年西村あさひ法律事務所入所。18年ペンシルベニア大学ロースクール修了(LL.M.)。19年AI-EI法律事務所入所、その後パートナー就任。信州大学特任教授学長補佐、上場企業役員を兼任。ニューヨーク州弁護士、全国通訳案内士(英語)、公認不正検査士登録。

中村 圭佑

弁護士
Keisuke Nakamura

09年一橋大学法学部卒業。11年一橋大学法科大学院修了。12年弁護士登録(東京弁護士会)。13年弁護士法人ALG&Associates入所。16年丸紅株式会社入社。19年AI-EI法律事務所入所、その後パートナー就任。