2026年1月30日、KABUTO ONE[カブトワン]ホールにおいて、企業法務 × 弁護士のネットワーキングカンファレンス第3回「Business & Law CIRCLE 2026」が開催され、企業法務・コンプライアンス・知財部門の役職者約150名、弁護士約50名、そしてリーガルをサポートする企業の関係者が一堂に会した。
本カンファレンスは今回で3回目。プログラム前半では、企業法務の最前線で活躍する論者を迎えた座談会が2部構成で行われた。

【法務部長クラス座談会】法務の「専門性」ってなんだろう?―変容を続けるコンプライアンス領域対応とAI時代の人材育成
第1部では、「法務の「専門性」ってなんだろう?―変容を続けるコンプライアンス領域対応とAI時代の人材育成」と題して、河野祐一氏(丸紅株式会社 法務部 部長代理 兼 企画・開発課長)、根橋弘之氏(パナソニック ホールディングス株式会社 コーポレート法務部(事業法務課)エグゼクティブリーガルカウンセル/リーガルオペレーションズ担当)、福田一成氏(LVMHモエ ヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン合同会社 グループリーガル & コンプライアンス ディレクター)、間宮千紘氏(サントリーホールディングス株式会社 法務・コンプライアンス部 部長)が登壇。以下の二つのテーマを巡り、活発なディスカッションが展開された。

変容するコンプライアンス領域と対応策
まず、「コンプライアンス」の中身の変遷について、海外子会社での事例(河野氏)、サンクションコンプライアンス(制裁遵守)や人権コンプライアンスなど近時のトピック(福田氏)、法務部とコンプライアンス部の統合(間宮氏)、輸出管理分野における頻繁なルール変更(根橋氏)など、各々の体験を踏まえた議論が展開された。

河野 祐一 氏
次に、出し手と受け手双方の視点で考える「ガバナンス」のあり方について、グループ企業内でどこまで徹底・統一していくのかという頻出課題を巡って意見交換が行われた後、コンプライアンス領域の変化やガバナンスの難しさが、生成AIなどの技術の進展によってどのように変わってきたのか、また今後どのように変わっていくと予想されるかについて検討がなされた。

根橋 弘之 氏
これからの法務人材育成
次のテーマでは、コンプライアンス領域をはじめとする法規制の変化を踏まえ、企業が向き合うべきリーガルリスクも変わり続けるという認識が共有された。そのうえで、生成AIの進展も含めた社内外の環境変化に鑑み、改めて「法務部門に求められる役割」について議論が交わされた。

福田 一成 氏

間宮 千紘 氏
最後に、ジェネラリストとスペシャリストそれぞれの役割や、これからの時代に求められる法務人材像とキャリアについて対話が行われ、「経営の意思決定を後押しする存在でありたい」など、登壇者がそれぞれの思いを語った。

協賛企業による最新リーガルテックの紹介
法務の知見を、型に。―AIはプレイブックで進化する
MNTSQ株式会社 事業管理室長・北野貴之氏は、事業成長の中で法務部門に求められる役割が増え続ける一方、法務部門のリソースには限りがある現状を具体的に説明。そのうえで、オペレーション × データ × AIで解決する同社のサービス「MNTSQ AI Agent」について紹介した。

北野 貴之氏
同社のAI Agentを前提とした業務フローとして、
を挙げ、業務フローの最適化と法務データ基盤構築の重要性を強調した。
大企業のAI活用は「判断基準と役割分担の設計」から始まる
ContractS株式会社 CSO・武藤康司氏は、同社は「AIツール」を提供する会社ではなく、契約を起点に“意思決定が回る契約業務OS”を作る会社であると語り、中堅~大企業の複雑な契約業務における豊富な導入実績を紹介するとともに、直近3年以内ご契約の企業様の解約率が0%であることを説明した。

武藤 康司氏
また、大企業の契約業務変革における三つのポイントとして、
① 入口設計・交通整理
② 権限・役割分担
③ 判断基準・例外ルール
を提示。
さらに、従業員5,000名規模の製薬メーカーにおける「ContractS CLM」導入事例として、
を実現した全社最適化とガバナンス設計について紹介した。
【CLOクラス座談会】経営を担う法務出身者の視点で25年の振り返りと法務課題・展望
第2部では、「経営を担う法務出身者の視点で25年の振り返りと法務課題・展望」をテーマに、児玉康平氏(元 株式会社日立製作所 執行役常務/株式会社アイ・アール ジャパンホールディングス 社外取締役/一般社団法人日本CLO協会 理事)、原田剛氏(日本製鉄株式会社 常務執行役員(法務管掌))、山本祐子氏(日本電気株式会社 Corporate SVP 兼 CLO 兼 法務・コンプライアンス部門長)による座談会が、以下の三つのテーマに沿って行われた。

伝統的な法分野(M&A)
まず、伝統的な法分野であるM&Aについて議論が行われた。児玉氏は、国家利益が関わる案件では、「一民間企業の立ち位置だけではプロジェクトは成功しない。国家や政治家を視野に入れる、場合によっては視野の中心に置いた対応が必要」だと語った。

児玉 康平 氏
続いて原田氏が、2025年のM&Aを取り巻く環境を振り返るとともに、話題となった米国での買収事例について時系列に整理しながら、法務としての役割や経営へのサポート内容を説明し、ディスカッションが交わされた。

原田 剛 氏
新しい法分野(AI・テクノロジー)
次に、リーガルテックやAIといった新しい法分野についてディスカッションが展開された。山本氏は、同社の法務部門が独自に取り組むAIプロジェクトについて、AIサービス、開発スケジュール、他社サービスとの組み合わせによる成功事例、導入時の課題、KPIなどを具体的に紹介した。

山本 祐子 氏
児玉氏からは、将来AIが法務業務に全面導入された場合の法務人材のジョブディスクリプションや、人間に求められる素養について問題提起があり、意見交換が行われた。
AIとは異なる視点からの人材育成
最後に、次世代の法務人材育成について議論が行われた。児玉氏は、人材不足の視点として、
① 質的不足(AIによる知識から知恵への軸足のシフト、GC/CLO人材の不足)
② 量的不足(人口減少と法学部人気の低迷)
を挙げた。
知識教育はBusiness & LawをはじめWebで学べるサービスの充実が進む一方、いまだ十分とはいえない“知恵”教育の一環として、「ケースメソッドによる寺子屋教育」を開始したことも紹介され、講演セッションは幕を閉じた。

熱気あふれる交流会
座談会終了後、会場を移してビュッフェスタイルの懇親会が盛大に開催された。同会場では各法分野のトークテーマを掲げた看板を目印に、参加者が興味のあるテーブルを回り、あちこちで活発な交流が生まれた。
豪華賞品の当たる抽選会も行われ、会場は大いに盛り上がりを見せた。

参加者からは、
「これほど多くの法務関係者や弁護士と対面で意見交換できる機会は貴重。特に、さまざまな専門分野の弁護士と面識を持てたことはとても有意義でした」
「各社の取り組みや課題を共有できたことは、明日からの業務のヒントになりました」
「これからのAI時代に向き合ううえで、さまざまな製品を知ることができて参考になりました」
など、熱意あふれるコメントが寄せられた。







