山下総合法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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ストックオプションの発行から運用まで “株式報酬と言えば山下総合”

開所9年目を迎える山下総合法律事務所。山下聖志弁護士がゼロから立ち上げて以来、“Going Extra Mile”(もう一歩先まで一緒に)の理念のもと、上場会社グループ・スタートアップ企業・金融機関等のさまざまな企業の幅広い分野をサポートし続けている。
「私たちは、案件の担当者・責任者の伴走者・よき理解者であり続けたい。クライアントの成功が、私たちの成功である。そのためにクライアントをよく知り、私たちをよく知ってもらうよう仕事と働きかけを積み重ねてきました。その結果の一つとして、“株式報酬と言えば山下総合”とお声がけいただくことが多くなりました」(山下弁護士)。

山下 聖志 弁護士

たとえば、ストックオプション(以下「SO」)。優秀人材を獲得し、活かすための知恵が試されるこの分野は、イノベーションの推進・スタートアップの後押しを重視する政府方針もあり、年間権利行使限度額の引上げ等、毎年のように税制適格SOに関する制度改正が行われている。そのため活用する事業会社は都度改正対応を迫られることになる。「個々の事業会社のSOの発行、設定、変更等のサポートを多く手がけており、法務人材の少ない会社やリソースを他の業務に回したい会社のニーズにも寄り添ったサービスを心がけています。また、制度改正に対応して、法的監修をしているKIQS(Nstock社が無償公開している税制適格SOの契約書ひな型キット)の改訂も担当させていただきました。さらに、関係者も多くとても煩雑な税制適格SOの運用実務を定めていくための検討も、証券会社と連携して進めています」(桑原広太郎弁護士)。
無償提供されているKIQSのノウハウを使えば、事業会社では自ら悩む部分が減り、コストの削減だけでなく法律事務所により本質的な相談・質問をできる機会を生み出すことにつながる。KIQSにも惜しみなくノウハウを公開するのは、個社の実情に合わせた、まさにもう一歩先を行くSOの対応品質に対する同事務所の自信の表れであろう。

現物株式型の株式報酬―証券会社と連携し、唯一無二の法務サービスを構築

同事務所が株式報酬の実務に強い理由の一つは、大手証券会社と緊密に連携し、出向・駐在者も揃えていることだ。若手弁護士らが実務の最前線に積極的に関与し、力をつけてきた。裏方として証券会社が発行する旬なトピックのニュースレターに法改正等の“ネタ”も提供している。
「株式報酬を導入している企業は、論点が不明瞭な中での困りごとは法律事務所よりも先に証券会社に問い合わせます。証券会社にフルタイム出向する中で、株式報酬導入企業が抱える大小さまざまな問題に対し、証券会社での実務を踏まえて法的論点を整理する経験は、クライアント目線の助言に役立っていると感じます」(矢野将吾弁護士)。
これらの情報を同事務所内メンバーとシームレスに共有することで、事務面を含む簡易な問題から高度な法的課題まで一貫した整理ができる。また、同事務所では現物株式型の株式報酬に関する類型等のデータを集積し、国内における株式報酬のトレンドを把握しつつ助言に活かしている。「現物株式型の株式報酬は、平成28年度税制改正を契機として上場会社での導入が拡大しました。上場株式を取り扱うため、投資家保護等を目的とする金商法上の開示規制・インサイダー取引規制の適用が避けられず、それらの規制が自社役職員への株式報酬付与の場面でのハードル・課題とされてきました。しかし、現物株の株式報酬の広がりを受け、付与をより簡便にする法令改正・当局解釈が2023年から立て続けに実施・公表されています。これは実に画期的なことです」(矢野弁護士)。

矢野 将吾 弁護士

そして同事務所の経験は、法改正に関する金融庁との直接議論においても威力を発揮することとなる。「法令改正の際には金融庁から証券会社各社に対してヒアリング等が実施されますが、当事務所も法律事務所として唯一、その場に参加させていただいています。たとえば届出書・通知書不要特例は、2019年の改正後も活用面での実務上の大きな課題があったのですが、金融庁・証券会社各社との丁寧な議論と検討の結果、2023年に企業内容等開示ガイドラインにより解釈が明確化されました。よい法制度が、その趣旨・目的を果たしつつ実務でもよりよく活用されていくのを見るのは、実に嬉しいことです」(山下弁護士)。
法的観点、証券実務、規制当局の考えという複眼の視点からのサポートは、他の事務所には存在しない唯一無二の法務サービスといえよう。

株式報酬を海外役職員へ展開 世界150か国で対応可能

株式報酬で近年クローズアップされてきている課題の一つに“非居住者対応”がある。グローバル化が進む現代において、多くの企業が自国以外に子会社や支社を持つようになった。こうした海外の役職員に対して株式でインセンティブ報酬を支払うというものだが、これにはさまざまな“壁”が存在する。
「“非居住者対応”においては、まずは、現地の証券規制法や税制などによるハードルの調査が必要となりますが、私たちは海外法律事務所と提携して、必要な調査を行います。次に課題となるのが、報酬内容を定めた規程を作っていくことです。汎用的に活用できるルールを作るためには、対象国すべての法制や税制に適合する必要がありますが、これは国ごとに異なるので、対象国の増加に伴い難易度が上がっていきます。また、私たちは各国の法令の要請と報酬の本旨や実務的な運用可能性のバランスをとったドラフトを作成することを心がけています。さらに会社としては、完成した規程類を採択し、運用していかなければなりません。法務・人事・経理・広報などと国内外に数多くの関係者が存在するので、実務上、社内・グループ会社間の調整にも配慮した情報整理やドラフティングが重要となります。株式報酬制度の狙いは実際に報酬を付与し企業価値を向上させることですから、その点まで私たちは伴走者であり続けたいと思っています」(桑原弁護士)。

桑原 広太郎 弁護士

同事務所が“非居住者対応”に実際に携わった国は40~50の国・地域、さらに対応可能な国は150か国にのぼるという。日本の株式報酬の8年の歴史とともに歩んできた研鑽の証といえよう。

→『LAWYERS GUIDE 2025』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttps://www.y-lawoffice.com/

所在地・連絡先
〒104-0031 東京都中央区京橋2-7-14 ビュレックス京橋7階
【TEL】03-6268-9511 【FAX】03-6268-9512


所属弁護士等:弁護士14名、外国弁護士1名(2024年11月現在)

代表弁護士の所属弁護士会:東京弁護士会

沿革:2016年8月、千代田区平河町にて弁護士1名(山下)で開業。2018年事務所拡張のため京橋へ移転。2021年パートナーシップ制度導入。現在弁護士等15名、秘書・経理11名

過去の主要案件:主に上場会社・金融機関等の企業に向けて、会社法・金融商品取引法、M&A・企業再編、株式報酬等のコーポレート案件や、労務案件、訴訟・紛争案件、国際取引案件、Fintech法務、スタートアップ支援(ひな型無料キット「KIQS」(キックス)法的監修)等

山下 聖志

弁護士
Seiji Yamashita

98年東京大学法学部卒業。02年弁護士登録(東京弁護士会)。05~07年国内大手証券会社法務部門出向。10年ミシガン大学ロースクールLL.M.課程修了。11年米国ニューヨーク州弁護士登録。16年山下総合法律事務所設立。21年代表パートナー就任。

矢野 将吾

弁護士
Shogo Yano

16年中央大学法学部卒業。18年東京大学法科大学院修了。20年弁護士登録(第二東京弁護士会)、佐藤総合法律事務所入所。21年山下総合法律事務所入所。

桑原 広太郎

弁護士
Kotaro Kuwabara

17年東京大学法学部卒業。18年東京大学法科大学院中退(司法試験合格のため)。19年弁護士登録(第二東京弁護士会)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。22年山下総合法律事務所入所。