顧客の声をよく聞き、よく知ることが顧客の利益、不祥事の予防に効く
弁護士法人髙井・岡芹法律事務所は、使用者側事務所として50年の歴史を誇る。2023年10月現在、従業員1万人超の大企業・病院・学校法人・団体・個人など、約300の顧問契約を締結している。代表社員を務める岡芹健夫弁護士は、同事務所の理念を「顧客の声をよく聞き、判例・法律に当てはめて、その上で困難な場合も打開を図るべく最大の努力を払う」ことと語る。一般論的な法律上の検討では顧客にとって非常に不利と思われる案件でも、業種の実態や当事者をめぐる事実関係(沿革)からは可能性が見える場合もある。顧客の立場や実情を深く理解することで、5:5から6:4での和解に至る事案も少なくない。「たとえば、工場内の組合による腕章着用と職務専念義務違反の問題でも、業務内容を聞き、現場を見ることで、見学者の受け入れがあることがわかれば、接客業務的要素もあることから着用を禁止する理由がより強くなるとアドバイスできます。また、解雇事由でも、顧客たる使用者にとって不利な点は調査すれば出てきますが、使用者が気づいていないけれど有利に活かせる点は、業種や当事者の実情をよく聞かないと出てこないものなのです」(岡芹弁護士)。
同じハラスメントでも業界次第で危険度が違うなど、決して“一般論”で終わらずに、その案件独自の各論で勝負すること。それが使用者側で勝つための勘所でもあるという。
たゆまぬ研鑽こそが丁寧な顧客対応の源泉
日常相談から訴訟まで丁寧な顧客対応を生み出す源泉は、書籍の執筆やセミナーへの登壇に力を入れるなど所属弁護士自身の研鑽と新人弁護士への教育だ。
「裁判例やビジネスに関する記事には必ず目を通し、個々の顧客の実情に合うものを調べて整理し共有します。実際の顧客が想定できていると、理解度・真剣度が違いますし、これを行うことで事実と法律のバランスがとれるようになってくる。こうした事前の知見の積み重ねがあればこそ、よく聞(効)くことができるのです」(岡芹弁護士)。
また、新人弁護士は指導弁護士とチームを組んで各顧問先を担当し、先輩弁護士の指導を受けながら業務に当たることで、顧問先の歴史と知見の蓄積を引き継いでいる。同事務所が果たす役割、それはまさに人事労務の“かかりつけ医”であり“専門医”である。
岡芹 健夫
弁護士
Takeo Okazeri
91年早稲田大学法学部卒業。94年弁護士登録(第一東京弁護士会)、髙井伸夫法律事務所入所。10年「髙井・岡芹法律事務所」に改称、同事務所所長就任。23年「弁護士法人髙井・岡芹法律事務所」に組織改編、同事務所代表社員就任。第一東京弁護士会労働法制委員会委員、一般社団法人日本人材派遣協会監事および経営法曹会議幹事等を歴任。著作『労働法実務 使用者側の実践知〔LAWYERS’ KNOWLEDGE〕〔第2版〕』(有斐閣、2022)、『取締役の教科書 これだけは知っておきたい法律知識〔第2版〕』(経団連出版、2023)、『労働条件の不利益変更 適正な対応と実務』(労務行政、2015)、『雇用と解雇の法律実務』(弘文堂、2012)等。
著 者:岡芹健夫[著]
出版社:有斐閣
価 格:4,290円(税込)
著 者:弁護士法人髙井・岡芹法律事務所[編]
出版社:経営書院
価 格:4,950円(税込)
著 者:岡芹健夫・近藤佑輝[著]
出版社:労務行政
価 格:3,410円(税込)