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医療・ヘルスケアの領域に注力

新しい時代が要請する総合的なプロフェッショナルサービスへの需要に応えることを目的とし、1990年に創立されたTMI総合法律事務所。現在は、弁護士約500名、弁理士約90名をはじめとする総勢1,100名以上のスタッフが在籍。大手からベンチャーまで幅広い層のクライアントが直面する法的課題に対応するサービスを、コーポレートから知財、ファイナンス、IT等、所属弁護士の幅広い専門性において提供する同事務所では、“地域に密着した顧客満足度の高いリーガルサービスの提供”をモットーに、東京以外に名古屋、大阪、京都、神戸、福岡にも国内支店を構え、1998年には日本の他の法律事務所に先駆けて上海オフィスも開設。その後もベトナムやミャンマー、シンガポール、北京、カンボジア、タイ、シリコンバレー(米国)やロンドン(英国)と、数多くの海外ブランチを展開する。さらには外国弁護士に対する規制の厳しいアジア各国の現地有力法律事務所との提携に加え、英米独の大手法律事務所とも外国法共同事業を行うなど強固なネットワークを構築し、まさに世界中で日本企業のビジネスをサポートできる体制を整えているのも同事務所の大きな強みとなっている。
そんな同事務所がより注力する分野として、2021年に新たなプラクティスグループを立ち上げたのが、医療・ヘルスケアの領域だ。日本では2012年に第二次安倍政権が発足し、“3本の矢”を柱とする経済対策であるアベノミクスを表明。翌年6月に閣議決定された「日本再興戦略」では、課題をバネに新たな市場の創造を目指す戦略市場創造プランの一つとして、“医療関連産業の活性化”が挙げられた。そうした流れを受けて、医療関連分野への参入を目指す企業が急増。同事務所に数多くの相談が寄せられるようになっていたことも、医療・ヘルスケアプラクティスグループ創設の契機となった。
「当事務所には古くから医療やヘルスケア、ライフサイエンスの仕事をしている弁護士が多く、医療機関や大手製薬・医療機器メーカーをはじめ、医療関連分野のクライアントからのご相談にも数多く対応してきました。一方で現在は、そうしたクライアントのみならず、健康食品や化粧品メーカー、ヘルスケアベンチャー・スタートアップ、商社、医療プラットフォーム事業者、IT・AI開発事業者など、医療を周辺的に支える新たな製品やサービスを展開する、さまざまな企業からも数多くの相談が寄せられるようになっています。事業規模もビジネスの内容も多岐にわたるそれらのご相談に対し、医療・ヘルスケア・ライフサイエンスという一つの括りの中で、当事務所がもともと強みとする知財に加え、ビジネス開発からM&A、紛争解決まで、垣根のない専門家集団が案件ごとに最善のチームを組んでワンストップで対応していく。さらには、特別顧問として加わっていただいた天野篤先生をはじめ、現役の医師であり元裁判官である吉岡正豊弁護士や、現役医師であり参議院議員も務める古川俊治弁護士、そして医療機関や厚生労働省での経験を有する者など、多様なバックグラウンドを持つ弁護士と弁理士が連携し、依頼者のビジネスにより踏み込んだサービスをご提供できるのも、医療・ヘルスケアプラクティスグループの大きな強みです」。そう話す上﨑貴史弁護士自身もかつては厚生労働省に出向し、メディアでも大きな注目を集めた薬害訴訟や医薬品製造における不正事件など、厚労省管轄の訴訟や調査を担当。事務所に復帰してからは、薬機法、医師法・医療法をはじめとするヘルスケア業界特有のレギュレーションを専門領域とし、ヘルスケアビジネスに関するさまざまな相談に対応する中で、ヘルスケアビジネス法務の知見を積み上げてきた。

上﨑 貴史 弁護士

「例えば医薬品で言えば、治験から製造、安全管理や販売に至るまで、一つの薬を上市するまでのすべての過程に一気通貫した厳しい規制が存在します。古くはその具体的な薬事規制に弁護士がアドバイスをすることはあまり行われていませんでしたが、数年前の医薬品製造不正事件などを契機として、製薬会社の法務の方などから、GQP、GVP、GMP、QMS等の具体的な薬機法規制に係る相談を多く受けるようになりました。これに限らず、医療法人の基幹設計、さらには医療ヘルスケア分野で新規ビジネスを立ち上げたり、M&Aなどの投資を行う際にボトルネックとなる各種規制への対応などについて多くのご相談をいただいています。特に最近は医薬品のみならず、医薬部外品やデバイス、ソフトウェアなど、新たな製品の研究開発のデザインの部分から、規制を踏まえたアドバイスを求められるケースも増えていますが、多種多様なレギュレーションに精通しているだけではなく、ビジネス内容から隠れたリスクに気付けること、規制の濃淡を含めた適切なアドバイスができること、そして数多くのヘルスケアビジネスに深く関わってきた経験から、業界の動向はもちろんビジネス的な勘所までを押さえたアドバイスができることも、医療・ヘルスケア分野の専門弁護士として求められる能力であると日々感じています」(上﨑弁護士)。

森安 博行 弁護士

同事務所では森安博行弁護士も厚生労働省に出向し、国の指定代理人として同省が所管する法令に関する多数の行政訴訟や民事訴訟を担当。同法令に関する行政処分や行政指導などにも関与した。「厚生労働省での経験を活かし、現在は医療機関や製薬会社などのガバナンスに関する不正調査、改善策のご提案などを行っています。また、医療広告や薬事広告などについてのご相談も多くお受けしています。さらに医療過誤訴訟では、主に個人の依頼者を代理し、例えば交通事故による頚椎損傷で被害者が半身不随になったケースや、帝王切開後の処置が適切に行われず妊婦さんに生命の危機が及んだケース、高齢者が髄膜炎で亡くなったケースなど、医師や病院の過失をめぐるさまざまな案件に対応してきました。私自身はそうした紛争絡みで医療・ヘルスケア分野に携わることも多く、因果関係の証明などにいかに医師の知見が重要になるかを痛感してきました。そうした部分で、現役の医師であり裁判官としての経験もある吉岡弁護士が加わり、仲間として気軽に意見を仰げることは非常にありがたいですね」(森安弁護士)。

医療と法務の架け橋として

吉岡 正豊 弁護士

2021年4月に入所した吉岡弁護士は、現在も週に1度、内科医としてクリニックに勤務する。「当事務所の代表・田中克郎弁護士からは、“実際に現場で働く医師としての見地から、その経験や知識をリーガルに活かしてほしい”と言われています。医師としての経験がどう活かせるかはこれからの課題でもありますが、医療機関などの医療安全への対応をはじめ、医療・ヘルスケアプラクティスグループの中であらゆる相談にお応えしていこうと考えています。例えば医師法・医療法の解釈・適用が問題になるご相談はもちろん、医療関連の新たな製品やサービスについても医師の立場からより深く理解できたり、そうしたサービスが医師にとってどれほど響くものなのかといった判断ができますし、医療過誤訴訟などでは、医師と裁判官の経験から、裁判ではどのような結論になりやすいのか、医師として納得できない点はどこなのかといった説明もできると思います。加えて、心臓弁の血管新生を抑制する因子を世界で初めて発見するなど、以前は分子生物学の研究にも携わっていました。そうした経験を活かして、研究開発のサポートなども行っていきたいと考えています」(吉岡弁護士)。
吉岡弁護士とほぼ同時期に、順天堂大学医学部付属順天堂医院の院長を務め、上皇陛下の冠動脈バイパス手術を手がけた天野氏が特別顧問として入所。「天野先生の存在は大きく、今後はより広く医療機関や民間企業からご依頼をいただけるようになるのでないかと思います。そこで医師でもあり弁護士でもある私をはじめとした弁護士が天野先生をサポートし、ときには医療の領域に大きく踏み込みながら、新たなクライアントに安心感を与え、長きにわたる良好なパートナーシップを築いていく。そうした点において貢献することも、私の役割だと思っています(吉岡弁護士)。

小林 貴恵 弁護士

日本ではこれまでは大きな隔たりのあった医療とビジネス法務。同事務所の医療・ヘルスケアプラクティスグループに在籍する約40名の弁護士や弁理士が担うのは、まさに両者の架け橋としての役割だ。プラクティスグループメンバーの一人である小林貴恵弁護士は、弁護士となって8年目で東京医科歯科大学大学院に通い、医療系のMBAともいえるMMA(医療政策学修士)を取得。「大学院では、医師や看護師、医療機関の経営陣、医療機器などを開発している企業の方々と共に学び、ディスカッション形式の授業では、そうした皆さんが現場でどのような悩みを抱えているのかをお聞きしたり、解決策について議論したりする機会が多くありました。また、修士論文を作成する中で、研究者がどのようなところで悩みを抱えるのかということについても、理解を深めることができました。現在は、医療機関や製薬会社、医療ベンチャーなどからのご依頼に応じ、さまざまなお仕事をさせていただいていますが、現場の悩みに対していかに弁護士が共感できるかという点は、医療と法務の隔たりを埋める上でも大切な要素であると実感しています」(小林弁護士)。
小林弁護士は、医療機関や製薬会社への駐在も経験、臨床研究を審査するために外部有識者等で組織される倫理委員会のメンバーにも名を連ねる。

より重要度を増す知財戦略

山田 拓 弁理士

知的財産分野において、早くから弁護士と弁理士が協働する体制を整え、質の高いリーガルサービスを提供してきたことから、“知財のTMI”との呼び声も高い。そんな同事務所の強みは、もちろん医療・ヘルスケアの分野でも大いに活かされる。
「特に医療業界の裾野が広がり、異業種からの新規参入が増えている現在は、依頼者のご相談も特許だけでなくさまざまな周辺業務に及びます。特に、法務のご相談にあわせて特許関連のご相談を受けることも多くなっており、弁護士とチームを組んで、ワンストップで対応できる環境があることは弁理士として非常にありがたく、プラクティスグループに所属する弁護士と多くの案件でご一緒しています」。そう話す山田拓弁理士は、製薬会社や医薬品分野の審査官として特許庁で勤めた経験も持ち、製薬会社、大学やベンチャーからの依頼を受け、医療・ヘルスケア分野の特許出願業務を担当しつつ、弁護士と協働して知財法務案件にも関わっている。

「最近では投資先として医療・ヘルスケア分野への注目度も高まっており、例えばファンドなどが医療ベンチャーに投資する際には、知財デューデリジェンスは必須なことも多く、同分野に詳しい弁理士と弁護士がスムーズに協働できることはTMIの大きな強みとなっています。また、私自身も多くの医薬品の特許に関わってきましたが、知財戦略の立案や特許の取得にあたっては、さまざまな新たなモダリティに対応していく必要もあり、現役の医師でもある吉岡弁護士の加入は、弁理士の目線からもプラクティスグループの大きな力となるのではないかと思っています」(山田弁理士)。

根本 浩 弁護士

同事務所の医療・ヘルスケアプラクティスグループには、もちろん知財を専門とする弁護士も多く所属する。中でも、根本浩弁護士は、医療・ヘルスケア分野においても、さまざまな企業の知財戦略や知財の活用をサポートする。「研究開発で生まれた成果をいかにして知財によって守り、活用していくかということは、ヘルスケアビジネスでは特に重要ですね。“開発した化合物等の成果をどのような特許ポートフォリオによって守っていくか”ということから“それをどのように活用していくか”、さらには“他社の知財への抵触の懸念にどう対応するか”ということまで、TMIでは弁護士と弁理士が一体となってサポートしています。最近では大手製薬会社やベンチャー企業が大学と組み、大学が持つ技術をよりよい形で社会や産業に還元していくといった動きを、企業側、大学側を問わずお手伝いするケースも増えています。またヘルスケアの分野では、グローバルな視点からのご相談も多く、各国の代理人と連携しながら進めていく必要が生じる場合も多々ありますが、そこでは当事務所が持つ海外との豊富なネットワークの強みが活かされています」(根本弁護士)。
人の生命に関わる医療やヘルスケアの分野で新たなビジネスを起こすには、多岐にわたる複雑な規制に対応しなければならない。だからこそ、さまざまな得意分野を持つ専門家の力を結集し、チームで案件に対応する同事務所のプラクティスグループの体制は、ヘルスケアビジネスを行うすべての企業にとって、大きなメリットになるはずだ。

→『LAWYERS GUIDE 2022』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttps://www.tmi.gr.jp

所在地・連絡先
〒106-6123 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー23階
【TEL】03-6438-5511(代表)【FAX】03-6438-5522(代表)


所属弁護士等:弁護士約500名、弁理士約90名、外国弁護士約50名(2021年12月現在)

沿革:1990年10月に設立

過去の主要案件:▽東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、ラグビーワールドカップ2019組織委員会に関連する業務▽地方銀行、リテール、製造業等の分野における統合・再編案件▽プライベートエクイティーファンドによる各種買収案件▽上場親子会社間での株式交換や公開買付を通じた非公開化案件▽カルテルにおける、日・米・加・EU・中その他の競争当局による調査対応案件▽海外当局によるアンチダンピング課税調査対応案件▽働き方改革の動きを踏まえた労務管理体制構築に関するサポート業務▽日本企業が保有する著作権の権利確保のための米国での訴訟案件▽Fintech分野での新規ビジネス展開のための金融規制等に関連するアドバイス業務▽再生可能エネルギープロジェクト案件▽日本の上場企業の米国での株対価による買収案件▽金融機関による東南アジアでの支店開設支援▽大手製薬会社の薬機法違反および当局対応▽調査など多数

根本 浩 氏

弁護士
Hiroshi Nemoto

99年上智大学法学部国際関係法学科卒業。01年弁護士登録(第二東京弁護士会)、TMI総合法律事務所入所。07年デューク大学ロースクール卒業(LL.M.)08年ニューヨーク州弁護士登録。08年TMI総合法律事務所復帰。11年パートナー就任。

山田 拓 氏

弁理士
Taku Yamada

00年東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻博士課程修了、明治製菓株式会社入社。04年特許庁入庁。07年弁理士登録、TMI総合法律事務所入所。18年パートナー就任。

上﨑 貴史 氏

弁護士
Takafumi Uesaki

05年一橋大学法学部卒業。07年一橋大学法科大学院修了。08年弁護士登録(第二東京弁護士会)。09年TMI総合法律事務所入所。11年厚生労働省大臣官房総務課勤務。13年TMI総合法律事務所復帰。18年パートナー就任。

森安 博行 氏

弁護士
Hiroyuki Moriyasu

03年慶應義塾大学経済学部卒業。08年弁護士登録(東京弁護士会)、TMI総合法律事務所入所。13年厚生労働省大臣官房総務課勤務。16年TMI総合法律事務所復帰。17年厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部参与就任。21年パートナー就任。

吉岡 正豊 氏

弁護士
Masatoyo Yoshioka

00年慶應義塾大学医学部医学科卒業。09年早稲田大学大学院法務研究科卒業、11年横浜地方裁判所第8民事部(通常部)判事補。14年イギリスウォーリック大学ロースクール客員研究員(裁判所派遣)。21年弁護士登録(東京弁護士会)、TMI総合法律事務所入所。

小林 貴恵 氏

弁護士
Kie Kobayashi

06年一橋大学法学部卒業。10年早稲田大学法科大学院修了。11年弁護士登録(第二東京弁護士会)。12年TMI総合法律事務所入所。20年東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医療管理政策学修士課程(MMA)修了。

『実務逐条解説 令和元年会社法改正』

著 者:TMI総合法律事務所 コーポレートプラクティスグループ[編著]
出版社:商事法務
価 格:5,500円(税込)

『同一労働同一賃金対応の手引き〔第2版〕』

著 者:TMI総合法律事務所 労働法プラクティスグループ[編著]
出版社:労務行政
価 格:3,630円(税込)

『イスラエルビジネスガイドブック―ビジネス環境・法務・税務』

著 者:TMI総合法律事務所 弁護士 田中真人・在イスラエル日本国大使館 栗田宗樹氏[編著]、KPMG税理士法人 神津隆幸氏・和泉義治氏、KPMGイスラエル事務所 イタイ・ファルブ氏 [著]
出版社:商事法務
価 格:4,180円(税込)