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弁護士としての第一歩から事務所の中心的な人物になるまで

片山 典之 弁護士

“3年3割”――入社3年以内の離職者が約3割に達するのはいまや当然のことのように思われているが、それは決して健全なことではない。採用する側は「長く在籍し、組織の中心的な役割を担うよう成長してほしい」と考え、採用される側は「経験を積み、組織を支えられる人材になりたい」と思っていたものの、お互いの認識の違いなどによって離反してしまうことも多く、それは法律事務所にとっても同じことである。しかし、片山典之弁護士は次のように話す。「大学を卒業後、司法修習を経てすぐに入所する者、検察官といった異なる分野の法律家から転身する者、民間企業のビジネスマンから転身する者、それまでのキャリアにかかわらず、シティユーワ法律事務所で弁護士としての第一歩を踏み出した者のほとんどが当事務所で実務経験を積み、成長しています。それぞれの分野での活躍が期待できるまでになった弁護士たちを毎年、新たにパートナー(共同経営者)として事務所に迎え入れ、このような場で皆さまにもご紹介できることを本当に嬉しく思っています」。メンバーを大事に思う気風は既に一定の経験や専門分野を身につけた弁護士にも届き、海外情勢に通じた弁護士の参画が増えているという。「韓国や中国、ベトナム、シンガポールでの実務経験を経た弁護士、マーシャル諸島共和国の弁護士資格を取得した弁護士など、多種多様な人材が集まってくれるようになりました。また、他事務所であれば必ずしも相応しいポジションを与えられていないシニア弁護士も若手と共に執務を行い、ここに多彩なバックグラウンドを持った弁護士が外部から加わり、クライアントにとっての最適解を模索し続けている姿勢が、弁護士にも、クライアントにも評価されていると考えています」(片山弁護士)。
クライアントには、何が問題点であるのかも曖昧なまま相談に訪れる企業も少なくない。こうした中で同事務所があらゆる問題に対応できるのは、こうした多彩なメンバーの力によるものであり、どれだけ複雑な事案であっても常に案件に適したチームを組んで対応できる態勢を整えている。

不祥事対応をスピーディに

社会のコンプライアンス意識の高まりや内部通報制度の導入などによって、企業不祥事の発覚が目に見えて増加している。不祥事発覚時の対応の誤りは、企業にとって致命傷となりかねない。「検事として数多くの事件の捜査・公判に従事した経験を踏まえ、調査案件を中心に、企業の不祥事対応を手がけています」。貞弘賢太郎弁護士は、東京地検特捜部での勤務を含めて20年間、検察官として数多くの企業不祥事を目の当たりにしてきた。

貞弘 賢太郎 弁護士

「企業が人間の集合体である以上、不祥事の発生を完全に抑え込むことは困難です。大事なのは、不祥事発覚時の対応であり、速やかに調査を実施して、事実関係の特定や原因分析を行い、実効性のある再発防止策を講じる必要があります。不祥事対応にはスピード感が求められますので、調査案件に際しては、検察官時代に培った経験をフル活用して、最短で事案の核心に切り込むことを心がけています。また、これまで、多種多様な不祥事の当事者と向き合う中で、その生の声を数多く聞いてきましたので、コンプライアンス分野のセミナーを担当する際には、通り一遍のことを語るのではなく、実際の事例を踏まえて、実践的な内容でお話しさせていただいています」(貞弘弁護士)。

クライアントの実情を正しく理解し後押しする踏み込んだアドバイスを

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって人々の価値観や生活スタイルが大きく変わり、それに対応する新たなビジネスも数多く生まれたが、世の中の流れが速いほど法律が後追いになることも少なくない。「クライアントに寄り添う弁護士として、法的リスクの指摘にとどまらず、企業や取引実務に即した、現実的な対応策の提案を常に意識しています」。木下愛矢弁護士は、ガバナンス体制を中心とする企業法務を数多く手がけるが、単に法規制に当てはめるだけではなく、企業の実情に合わせて踏み込んだアドバイスをする。

木下 愛矢 弁護士

「コーポレートガバナンスと言っても決まった正解はなく、経営環境や事業内容等を踏まえて、各社ごとに、適時適切な対応が求められます。外部の弁護士としての客観的な視点を持ちながらも、クライアントの内情を理解し、その企業に即した、最適かつスムーズな組織運営に資するアドバイスを心がけています。また、クライアントが新規事業を展開する過程で、法規制の適否が問題となった際に、グレーゾーン解消制度を提案・活用して所轄官庁と協議し、クライアントに有利な見解を獲得し展開を後押しした事案がありました。企業法務を扱う弁護士には、クライアントのビジネスを真に理解し後押しするための一歩踏み込んだアドバイスが強く求められていると考えます」(木下弁護士)。

当事者すべてが幸せになるよう伴走する

瀧口 豊 弁護士

M&A案件の増加に伴い、関わる弁護士も増える一方、杓子定規な契約交渉や法務デューデリジェンスを行うケースもあるという。「しかし、当事者の目指すゴールやそこに至る道筋は案件ごとに異なり、決まりきった作業を行えば足りるというものではありません。また、ビジネスへの深い理解が必須です」。瀧口豊弁護士は、対象会社・事業のビジネスを十分に理解し、それを前提としたアドバイスを強く意識する。

「スピード感を強く求められる案件で、極めて短期間で法務デューデリジェンスを完了したこともあれば、買収者である依頼者と共に時間をかけて役員変更やリストラクチャリングを含む事業計画を練り上げたこともあります。どのような案件でも、型にこだわらず、弁護士としての知識と経験を最大限に活かし、M&Aの当事者すべてが幸せになるよう伴走することを心がけています。クロスボーダー取引も多く、その場合は現地の商慣習や常識まで考慮してアドバイスをしています」(瀧口弁護士)。

紛争を理解し、トラブルの芽を事前に摘み取る

日本の不動産市場に対する海外投資家の関心は下がることなく、活況を呈しているという。「これまで、不動産に関する取引・紛争案件、相続関係の案件について、幅広く携わってきました」。青木翔太郎弁護士は、不動産や相続に関するセミナーで継続的に講師を担当するなど、積極的に情報を発信する。

青木 翔太郎 弁護士

「不動産の紛争案件では、土地開発に伴う大規模訴訟・裁判外の紛争処理などにおいて、早期に事案の筋や見通しを示し、クライアントと密に認識を共有しながら、丁寧に対応をすることを心がけています。また、相続に関する案件では、相続発生後、当事者間の調整が何度も必要になることが多く、また相続税申告期限の関係で早期解決が求められるため、フットワーク軽く積極的に動き、中心的に調整を進めることを意識し、その結果として多くの案件を解決に導くことができました。不動産取引は紛争にまで至ってしまうことも多く、私は実際に訴訟も手がけているため、紛争にまで発展してしまった原因を理解しています。それは、取引を始める前にどこに注意すれば紛争にならずに済むか、を理解しているということでもあり、予防も重視しています」(青木弁護士)。

規制庁での実務を踏まえたエネルギー分野の専門家として

エネルギーに対する考え方が大きな転換期を迎えつつある。規制庁の関与が大きく、制度改正も頻繁にある。「2013年から2017年にかけて、経済産業省の資源エネルギー庁と電力・ガス取引監視等委員会に出向し、法改正や執行、政策立案など幅広い業務に携わりました」。島田雄介弁護士は、規制庁の考え方に精通する。

島田 雄介 弁護士

「エネルギー分野は一種独特な業務分野であり、規制庁の影響も強く、正しく法を理解して事業を行うことが重要です。一方、例えば電気事業法をとっても抽象的ですし、ガイドラインも必ずしも網羅的ではありません。しかし、規定されていないから何でもできるということでは当然ありません。規制庁の考えを敷衍し、“どのような意図で規制を策定・運用しているのか”“どこを見ているのか”といったことを正しく理解する必要があり、そこで規制庁での経験を有していることが大きな意味を持っています。クライアントからご相談をされた際は、当時の経験を踏まえ、“自分が担当官であればどう考えるか”といった観点も踏まえアドバイスを行っています。現在でも電力広域的運営推進機関の運営委員会で委員を務めるなどの活動も積極的に行っており、最新かつ専門的な知識に接し、エネルギー分野の専門家弁護士として信頼してもらえることを目標としています」(島田弁護士)。

海外クライアントへの法的助言 日本法を正確に理解してもらう

“働き方改革”という言葉が聞かれるようになって久しく、使用者と労働者の双方が労務環境に対する意識を高めている。「海外のクライアントに日本の労働法を正確に理解してもらうということに難儀することがあります」。長谷川公亮弁護士は、専門にしているM&Aに加え、クローバル企業の人事労務案件まで手がける。

長谷川 公亮 弁護士

「国内外のM&A案件を数多く担当すると同時に、人事労務も専門分野の一つであり、主に企業側を代理して労働紛争、団体交渉、退職勧奨、その他の日常的な労務相談への対応を行っています。特に人事労務分野ではグローバル企業をクライアントとする案件が多く、普段から海外の人事担当者と直接やり取りをしていますが、労使紛争を徒に訴訟に発展させた結果、訴訟で主張が認められず、さらに多額の費用を負担させてしまうという事態を避けるべく、まずは日本の労働法について正確に理解していただき、リスクを分析した上で、早期に合理的な解決に導くことができるように案件処理に取り組んでいます。そのためには、クライアントと英語で密にコミュニケーションをとり、正確かつ迅速な法的助言を行うことが必須となります」(長谷川弁護士)。

漠然とした概念や商慣習を言語化しビジネスのアクセルを踏み込む

言語の壁は高い。日本語を英語に直訳しても正しい意味にならないことは多く、その逆も然りだ。「言葉だけでは理解しにくい日本でのビジネスにおける概念や慣習を海外のクライアントにどのように伝えるかを重視しています」。池辺健太弁護士は、不動産の流動化取引、不動産投資や再生エネルギー案件などの金融・投資取引に関するアドバイスを、英語を駆使して主に海外のクライアントに提供する。英語・海外クライアント案件の割合は、広く取れば常に取扱案件の8~9割以上を占めるという。

池辺 健太 弁護士

「一見似ている商取引でも国によって商慣習は異なり、日本の商慣習を詳細に理解できている海外のクライアントは多くありません。例えば、不動産取引における日本の取引の進め方の中に海外のクライアントにとって理解が難しい場面もあり、それを海外のクライアントに英語で伝えることが難しくもやりがいを感じる部分です。本来は何ら問題がないようなことも、我々の説明次第で大きなリスクと捉えられ、ビジネスが止まってしまうことも起こりかねません。海外のクライアントの日本でのビジネスのサポート、日本のクライアントの国内外での交渉などのサポートを通じ、日本が国際社会の中で発展していく支えとなることを自らの使命に掲げて、日々案件に向き合っています」(池辺弁護士)。

ユニコーン企業への投資など、大型化・複雑化するスタートアップ案件に強み

吉田 亮一 弁護士

“ユニコーン企業”とは、企業評価額が10億ドルを超える上場前のスタートアップ企業を意味する米国発の用語であるが、日本でもユニコーン企業の誕生が相次いで話題となっている。「国内でも大型のスタートアップ企業が増えてきており、上場を視野に入れたミドル・レイターステージの投資案件やユニコーン企業への投資案件の依頼を受けることが多くなりました。同じスタートアップ企業と言っても、アーリーステージの投資案件と異なる部分が多く、案件に応じた対応が重要となります」。吉田亮一弁護士は、M&A・コーポレート分野の全般を手がけているが、大型かつ複雑なスタートアップ案件の相談が増えているという。

「投資ファンドに出向していた経験から、案件全体の進め方や投資後に実際にどのような点がトラブルとなりやすいのかなど実践的にアドバイスしています。投資側の考えに精通していることは、スタートアップ企業のサポートにも活きています」(吉田弁護士)。

→『LAWYERS GUIDE 2022』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttp://www.city-yuwa.com

所在地・連絡先
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-2 丸の内三井ビル
【TEL】03-6212-5500(代表)【FAX】03-6212-5700(代表)


所属弁護士等:弁護士数166名(日本弁護士163名、外国弁護士3名)、司法書士2名(2021年11月現在)

沿革:2003年東京シティ法律税務事務所(法律部門)とユーワパートナーズ法律事務所との業務統合によりシティユーワ法律事務所設立。2005年大場・尾崎・嶋末法律事務所と業務統合

過去の主要案件:▽国内外の上場企業による企業買収案件▽日本企業のアジアでの合弁事業その他アジア進出案件を含む国際取引案件▽海外腐敗防止法案件▽コンプライアンス・社内調査案件▽不動産証券化や資金調達等の金融案件▽労務案件▽不動産関連案件▽民事再生手続申立等の企業再生案件等多数

受賞歴:IFLR 1000 - The Guide to the World’s Leading Financial Law Firms、Asialaw Profiles - The Guide to Asia-Pacific’s Leading Domestic Law Firms、Chambers & Partners - Chambers GlobalおよびChambers Asia - Pacific 、Best Lawyers - The Best Lawyers in Japan、Who’s Who Legal Japanなど

片山 典之

弁護士
Noriyuki Katayama

88年早稲田大学法学部卒業。90年弁護士登録(東京弁護士会)。95年ワシントン大学ロースクール卒業(LL.M.)。96年ニューヨーク州弁護士登録。大手法律事務所を経て03年シティユーワ法律事務所(創立時パートナーとして参画)。

貞弘 賢太郎

弁護士
Kentaro Sadahiro

97年東京大学法学部卒業。12~14年東京地検特別捜査部検事。14~16年福島地検いわき支部長。16~18年東京地検検事(刑事部特殊詐欺担当、特別捜査部)。18年弁護士登録(第一東京弁護士会)。18年シティユーワ法律事務所。

木下 愛矢

弁護士
Aya Kinoshita

04年慶應義塾大学法学部卒業。06年慶應義塾大学法科大学院修了。07年弁護士登録(東京弁護士会)。08年シティユーワ法律事務所。

瀧口 豊

弁護士
Yutaka Takiguchi

05年東京大学法学部卒業。07年東京大学法科大学院修了。18年デューク大学卒業(LL.M.)。09年弁護士登録(東京弁護士会)。10年シティユーワ法律事務所。18~19年ケルビン・チア・パートナーシップ法律事務所(シンガポール)。19~20年ラジャ・タン法律事務所(シンガポール)。

青木 翔太郎

弁護士
Shotaro Aoki

07年東北大学法学部卒業。09年早稲田大学法科大学院修了。10年弁護士登録(第一東京弁護士会)。11年シティユーワ法律事務所。

島田 雄介

弁護士
Yusuke Shimada

07年一橋大学法学部卒業。09年一橋大学法科大学院修了。10年弁護士登録(東京弁護士会)。11年シティユーワ法律事務所。13~15年経済産業省/資源エネルギー庁(電力・ガス事業部電力・ガス改革推進室)、15~17年経済産業省/電力・ガス取引監視等委員会(取引監視課)。

長谷川 公亮

弁護士
Kosuke Hasegawa

06年慶應義塾大学法学部卒業。09年一橋大学法科大学院修了。17年デューク大学卒業(LL.M.)。10年弁護士登録(第一東京弁護士会)。11年シティユーワ法律事務所。17~18年ワイル・ゴッチェル&マンジェス法律事務所(ニューヨーク)。18年ニューヨーク州弁護士登録。

池辺 健太

弁護士
Kenta Ikebe

08年東京大学法学部卒業。10年東京大学法科大学院修了。11年弁護士登録(第一東京弁護士会)。18年コロンビア大学卒業(LL.M.)。19年ニューヨーク州弁護士登録。12年シティユーワ法律事務所。18~19年ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所(ニューヨーク)。

吉田 亮一

弁護士
Ryoichi Yoshida

07年立教大学法学部卒業。10年東京大学法科大学院修了。11年弁護士登録(東京弁護士会)。12年シティユーワ法律事務所。

『法律実務のためのデジタル・フォレンジックとサイバーセキュリティ』

著 者:櫻庭信之 ほか[編著]
出版社:商事法務
価 格:3,960円(税込)

『弁護士に聞く 電力小売営業シーン別Q&A』

著 者:島田雄介[著]
出版社:日本電気協会新聞部
価 格:1,980円(税込)