池田・染谷法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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多彩な専門弁護士の加入で独禁法・消費者法サービスが拡充

独占禁止法(以下、独禁法)・消費者法およびその関連分野のサービスを提供する池田・染谷法律事務所は2021年で設立4年目を迎える。この1年で6名から11名に所属弁護士が増え、主要分野における卓越した知見に加え、各弁護士の専門性に基づくサービスも充実を続けている。
「独禁法・消費者法のブティック事務所として日本No.1となることを目指して業務に取り組んでおり、理念に共鳴してくれる人員も順調に拡充しています。事務所拡大にあたり重視するのは、優れた経験と専門性、対応能力を持つメンバーを集めることです」と語るのは共同代表で消費者法案件をリードする染谷隆明弁護士。
2020年には元国民生活センター理事長の松本恒雄氏(一橋大学名誉教授)を顧問として迎えた同事務所には大手法律事務所、企業・官公庁や企業団体等で専門性を磨いた弁護士が所属する。

染谷 隆明 弁護士

「2021年には大手法律事務所の独禁法チームに所属していた小川正太弁護士が加わり、独禁法の体制がより強化されました。また、独禁法・消費者法と関連の強い情報法制に関しては、総務省総合通信基盤局で電気通信事業における個人情報保護や通信の秘密に関連する政策立案および制度設計に関わっていた今村敏弁護士が加わり、サービスの拡充が実現しました」(染谷弁護士)。

同事務所は行政当局出身者が多く、ルールメイキングに関する業務の比重も高い。この点については、一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」)に競争法・消費者法等担当のインハウスローヤーとして3年間勤務した宮内優彰弁護士が加わるなど、企業と行政の折衝に長けた人材も加わった。2022年以降も、公取委経験者を含めた複数名の採用が既に決まっており、より一層の拡大が見込まれる。

2022年に大阪事務所設置 西日本・中部で同質のサービスを

さらに、全国的な独占禁止法・消費者法案件のニーズの高まりに応じ、2022年春に独禁法・消費者法ブティックとしておそらく初となる大阪事務所を設立する。創業2年目の2020年に事務所を有楽町に移転してから、わずか2年での複数拠点設置に踏み切る同事務所の勢いは増すばかりである。

池田 毅 弁護士

共同代表で同事務所の独禁法案件を率いる池田毅弁護士は「独禁法に基づく公正取引委員会の調査等において、ニュースとなる大事件を多く担当していますが、中部地方・西日本のお客様からのご相談が急増しています。一方で、当局の調査対応にはタイムリーかつ密接なサポートの需要が高く、大阪に拠点を設置することにしました。池田・染谷をはじめ、東京での所属弁護士も適宜東京と大阪を往復し、西日本のクライアントをサポートします。皆さまに安心いただけるよう、東京と同質のサービスを受けられることにこだわった体制を整えられればと考えています」と語る。

時短勤務でもパートナーに 能力を最大限発揮できる事務所に

同事務所がサービスの質を高めるために採用するのが、自由なワークスタイルの推奨および協働システムの構築だ。たとえ時短勤務であったとしても、成果で貢献すれば評価が得られる人事制度で優秀な人材を呼び込んでいる。
その象徴といえるのが、四人の子育てをしながら9時~14時の時短勤務を行う川﨑由理弁護士が2022年1月からパートナーに昇格することだ。

「川﨑弁護士には検事を経て、消費者庁表示対策課事件班班長として景品表示法違反被疑事件の調査・執行に関わった類稀なるキャリアがあります。加えて、時短勤務でも非常に質の高い成果とコミット力を発揮し、クライアントから高い評価を得ており、事務所の模範的な弁護士といえる存在です」(染谷弁護士)。

「育児・介護・病気治療などが要因で、本来の能力を活かせない・評価されないことはおかしいことです」と語るのは池田弁護士。同事務所は売上ではなく、仕事への貢献度で評価を行い、収支を共同するシステムを取り入れている。これにより、多様なライフステージに立つ弁護士でも能力を発揮しやすい環境を整えている。
スペシャリストとして求められた結果、業務の9割が表示関連という状況だという川﨑弁護士。コロナ禍の影響で景表法や薬機法とのバランスが求められる商品が急激に増えたことも要因だという。

川﨑 由理 弁護士

「消費者庁の調査担当だったことから、資料の確認ポイントや消費者庁の判断過程を理解しており、事案に明確にアドバイスできる点はご評価いただいていると思います。キャンペーンの不当表示の確認や、2020年に改正され執行が強化された薬機法に関する化粧品やサプリメントのご相談も増加しています」(川﨑弁護士)。

広告関連の相談はクライアントが返事を急ぐことも多い。時短勤務かつ子育てで慌ただしい中、どう対応しているのだろうか。

「スケジュール管理と同僚の協力のおかげです。クライアントからの連絡には、緊急度を判断して返答をします。当日希望の場合はできる限り対応し、即時が難しい場合は最低限確認すべきことだけでもお伝えします。対応が困難になりそうな場合は池田弁護士・染谷弁護士に早めに相談するようにしています」(川﨑弁護士)。

最近、消費者庁によるアフェリエイト広告に関する考え方が示されており、企業には対応が求められている。既に川﨑弁護士を頼るクライアントも多い。

「これまでアフェリエイトに対する措置命令は出ていましたが、“景品表示法違反に該当する表現が何か”は明確ではありませんでした。アフェリエイト広告を利用する企業は、膨大な種類の広告を運用する傾向にあり、発表前から対応を進める企業も多くありました。今後は消費者庁の考え方が自社に与えるリスクを把握し、まずは対応の計画を立てることが必要でしょう」(川﨑弁護士)。

独禁法・消費者法の重要関連領域 情報法を新たな柱として

総務省消費者行政第二課において、主に個人情報・プライバシー・通信の秘密といった情報法に携わった今村弁護士は、消費者行政を政策課題としていたことから消費者法分野にも従前から関心が高かったという。

今村 敏 弁護士

「加えて、データと競争法の関連はホットトピックでもあったため、すべての関心事項が合致する当事務所に参加しました。池田弁護士・染谷弁護士が第一人者であるため、当事務所には最先端の相談が集まります。書籍で調べただけでは済まない問題も非常に多く刺激的ですね。また、答えのない問題に取り組む点は省庁時代に通じるところもあり、自身の経験を活かしたいと思います。自分では判断が難しい点も官公庁時代の知人と日々雑談ベースで情報交換をしていますので、その点も活かしていきたいと思っています」(今村弁護士)。

池田弁護士の独禁法における大局を見て道筋を立て、メンバーをうまく動かすプロジェクト進行や、染谷弁護士の大小さまざまな表示案件に対する速く明確な判断とアプローチを間近で学びつつ、自身の専門分野である情報法を事務所の新たな軸として打ち立てていきたいと今村弁護士は意気込む。

「2022年には改正個人情報保護法が4月1日に施行を迎えます。既にそのご相談やセミナーのご依頼をいただいていますが、並行して法律外のプライバシーの問題を懸念する企業も多い印象です。適法でも炎上する場合がある情報法特有の問題についても、判断は難しいものの、過去の事例や行政側の温度感などを基に道筋を示していきたいと考えています」(今村弁護士)。

経団連での調整スキルでクライアントの経営判断を後押し

経団連時代は競争法・消費者法等に関して、加盟企業の意見を集約し、法律やガイドライン改正時の審議会・検討会の委員の発言内容の作成を担ってきた宮内弁護士。次のキャリアを探す上で、自身の専門性に合致し、日本のトップレベルの先端案件に携わることができる同事務所を見つけ、迷わず飛び込んだという。

宮内 優彰 弁護士

「競争法・消費者法は経団連時代に担当していたため、入所後から早速幅広い案件に携わっています。独禁法・下請法案件のほか景品表示法や特定商取引法、消費者契約法に関連する契約書や利用規約の作成だけでなく、今村弁護士の専門である個人情報保護法関連業務やプライバシーポリシーの作成・改訂も行っています」(宮内弁護士)。

経団連時代は有名な法律や規則の改正の際は必ず意見を求められるため、企業に規制の現状を整理し伝えるとともに、意見を集約し政府に伝えるハブの役割を果たしていた。宮内弁護士は「幅広く把握し、バランスよく簡潔に整理する点は鍛えられましたね」と振り返る。
宮内弁護士の調整能力について、染谷弁護士は「企業法務の弁護士として非常に重要な能力で、世の多くの弁護士が苦手としているものだ」と評価する。

「インパクトの大きい消費者庁対応の際も、上場企業の経営者に対して理路整然と説明しつつ、的確に相手の理解度を把握し補足まですることができます。時間が限られた相手とのコミュニケーションが非常にうまいですね」(染谷弁護士)。

今後も幅広く案件に取り組み、企業が法環境に対応する架け橋になりたいと語る宮内弁護士。2022年は改正特定商取引法の施行が予定されており、既に多くの相談が寄せられているそうだ。

「法律上明示されていなかった購入前の最終確認事項について、記載すべき事項が明記されました。記載が不十分かつ消費者が誤認した場合は契約の取消しまたは罰則規定が適用されます。施行後も継続的にご相談があるかと思いますので、分かりやすく明確にアドバイスを実施していきたいと思います」(宮内弁護士)。

取引全般の法律問題をカバーするとともにクライアントへの情報発信も強化

多彩な専門性を持つ所属弁護士が11名揃ったことで、同事務所は個人の集合体を超えたチームとしての業務を行えるようになったと池田弁護士は語る。

「業務分野も独禁法・消費者法のみならず両分野をつなぐ情報法を専門とするメンバーも加わり、サービスに厚みが出ました。M&Aなど特殊な場面で必要な法分野と異なり、独禁法と消費者法は、一般的な取引に広く関連する法分野です。ビジネスの企画からステイクホルダーやサプライヤーとの取引、その後のトラブルも含めて全体をサポートできる体制が実現したと感じています」(池田弁護士)。

今後は組織体として発信にも力を入れていくという。

「事務所のオウンドメディア「INSIGHT」では、各弁護士が自身の専門性に基づいた記事を発信しています。また、消費者庁が後援し、2021年に第1回が実施された景品表示法務検定試験については、独自のオンライン対策講座を受験者の皆さまに提供することができました。2022年も実施されるようであれば、内容をアップデートして早めに公開し、皆さまのお役に立てられればと思っています」(池田弁護士)。

→『LAWYERS GUIDE 2022』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttps://www.ikedasomeya.com/

所在地・連絡先
〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町イトシア14階
【TEL】050-1745-4000 【FAX】03-6261-7700


所属弁護士等:弁護士11名、事務局5名(2021年12月現在)

沿革:2018年10月1日設立、2020年5月1日事務所を有楽町イトシアに移転

池田 毅

弁護士
Tsuyoshi Ikeda

02年京都大学法学部卒業。03年弁護士登録(現在、第一東京弁護士会)、03年弁護士法人大江橋法律事務所入所。05~07年公正取引委員会事務総局審査局勤務。08年カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修了(LL.M.)。09年ニューヨーク州・カリフォルニア州弁護士登録、森・濱田松本法律事務所入所。18年池田・染谷法律事務所設立。

染谷 隆明

弁護士
Takaaki Someya

09年専修大学大学院法務研究科修了。10年弁護士登録(東京弁護士会)。12年株式会社カカクコム入社。14年消費者庁消費者制度課・課徴金制度検討室課長補佐。15年消費者庁表示対策課課長補佐。16年内田・鮫島法律事務所入所。18~20年日本組織内弁護士協会理事。18年池田・染谷法律事務所設立。

川﨑 由理

弁護士
Yuri Kawasaki

04年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。08年中央大学法科大学院修了。09年東京地方検察庁検事。11年福井地方検察庁検事。15年消費者庁表示対策課課長補佐。19年弁護士登録(東京弁護士会)。19年池田・染谷法律事務所入所。

今村 敏

弁護士
Satoshi Imamura

10年京都大学工学部工業化学科卒業。13年大阪大学大学院高等司法研究科修了。21年弁護士再登録(第一東京弁護士会)。16年アスカ法律事務所入所。16~17年大阪大学知的財産センター(特任研究員・特任助教)。17年総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課専門職。21年池田・染谷法律事務所入所。

宮内 優彰

弁護士
Hiroaki Miyauchi

14年京都大学法学部卒業。16年神戸大学大学院法学研究科修了。17年弁護士登録(東京弁護士会)。18年日本経済団体連合会入局。21年池田・染谷法律事務所入所。

『オンラインビジネスにおける個人情報&データ活用の法律実務』

著 者:渡邊涼介・松田世理奈・今村敏[編著]、辛川力太・小川智史・岡本健太[著]
出版社:ぎょうせい
価 格:2,970円(税込)

『デジタルプラットフォームの法律問題と実務』

著 者:渡邊涼介・梅本大祐・今村敏[編著]、石田健・岡本健太[著]
出版社:青林書院
価 格:6,270円(税込)