はじめに
ベトナムは、1976年に現在のベトナム社会主義共和国として成立した後も、最大の援助国が旧ソ連だったこともあり、社会主義を採用し長きにわたり資本主義諸国からの外国投資を受け入れていませんでした。その後、1986年に、旧ソ連のペレストロイカ開始を契機として、社会主義の下で経済のみ市場メカニズムを導入するドイモイ政策を採択しました。それに伴い、外国投資家による投資を誘致するため、1987年に、外国投資法(Luật Đầu tư nước ngoài tại Việt Nam)が制定されましたが、他方で1994年にはベトナム国内企業・個人に適用される国内投資法(Luật Khuyến khích đầu tư trong nước)も制定され、外資と内資で異なる制度が適用されてきました。
その後、ベトナムは、世界貿易機構(以下、「WTO」といいます)へ加盟するために、WTOの内資・外資の無差別原則に適合するよう、2005年に外国投資法を廃止し、内資・外資の両方に適用される投資法(Luật Đầu tư)(以下、「投資法」といいます)を制定しました。かかる2005年投資法は、その後2014年と2020年に改正され、ネガティブ・リストアプローチ(すなわち、原則として外国投資を許容し、例外的に一部の事業分野について投資を制限することにより規制緩和を図るアプローチ)に基づく現在の外国投資規制が完成されています。
もっとも、近年の国際情勢の変化を契機とする国家安全保障の観点から、一部外国投資規制を強化する動きも見られます。また、実務上、国防や治安維持に影響する地域に土地使用権を保有する国内企業への外国投資に関して、当局の審査が厳格化されているといった動きもあります。
以下、ベトナムにおける外国投資規制を概観するとともに、近時の国家安全保障の観点からの外国投資規制の強化についても一部紹介します。
外国投資規制に関する法令等
ベトナムにおける外資投資規制について定める主要な法令は、
① WTOコミットメント
② 投資法
③ 投資法の細則である政令
です。ただし、その他の国内政令において規制の詳細が定められていますので、外国投資規制を確認する際には、上記①から③のみならず、該当する業種ごとに適用される各国内政令も併せて確認する必要があります。
WTOコミットメント
ベトナムは、2007年1月11日にWTOに加盟し、一定のサービス分野に関して、外国投資の規制を段階的に緩和することを公表しました。WTOコミットメントでは、事業ごとの国境を越えたサービス提供の可否、直接投資の場合における外国投資家の出資比率制限や、ベトナム内国資本との合弁組成の要否等が定められています。
WTOコミットメントの内容は、それ自体が国内法として直接適用される旨、法令で定められています。もっとも、WTOコミットメントと矛盾する国内法上の規律が並存している場合もあり、その場合の優先関係について当局の運用はケースバイケースである可能性があるため、個別の案件ごとの確認が必要となります。
また、WTOコミットメントのほかに、日越間等の二国間における投資協定や、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)(以下、「CPTPP」といいます)がありますが、本稿執筆時点(2025年5月中旬)において、多くの当局はCPTPPの直接適用に消極的と見られています。
投資法およびその施行政令
2020年投資法(法律番号61/2020/QH14)においては、ネガティブ・リストのアプローチが厳格化されるとともに、WTOコミットメント等の国際条約や国内法令を踏まえて、外国投資禁止分野および条件付き投資分野がリスト化されています。これによって、法令上、外国投資家は、当該リスト以外の分野に関しては、原則として国内の投資家と同様の扱いを受けることになります。
もっとも、実務上、ネガティブ・リストに含まれない分野であっても、当局は、外国投資を一律に認めているわけではないため、個別事案ごとに確認が必要です。
外国投資規制の詳細については、下記Ⅳにて詳細に解説します。
ベトナムへの投資方法
外国投資家がベトナムへ投資やサービス提供を行う場合、
① 国境を越えたサービス提供
② ベトナム現地拠点を通じた投資等
という二つの方法が考えられます。
国境を越えたサービス提供
まず、国境を越えたサービス提供は、ベトナム国内において拠点を設けずに、ベトナム国内の顧客に対してサービスを提供する方法です。WTOコミットメント上、法律サービス、税務サービス、広告、市場調査、経営コンサルタント・サービス等一定のサービスについて、国境を越えたサービス提供が認められています。
ベトナム現地拠点を通じた投資等
ベトナム現地拠点を通じて投資やサービス提供を行う場合、
① 新規のベトナム国内拠点を設立する方法
② 既存のベトナム企業の持分・株式を取得する方法
があります。以下、それぞれの投資方法の概要について解説します。
(1) 新規のベトナム国内拠点設立
新規にベトナム国内拠点を設立する場合、①駐在員事務所、②支店、③現地法人のいずれかの設立が考えられます。
(a) 駐在員事務所の設立
駐在員事務所は、当該駐在員事務所を設立した外国法人と同一の法人格を有するとみなされます。もっとも、駐在員事務所は営利活動を行うことが許可されていませんので、その活動範囲は、市場調査や取引・事業機会の探求および促進等にとどまります。
(b) 支店の設立
支店も、当該支店を設置した外国法人と同一の法人格を有するとみなされます。支店は、駐在員事務所と異なり、ベトナムにおいて営利活動を実施することができます。
しかし、WTOコミットメント上、支店の設立が認められている事業は、銀行業、法律サービス、経営コンサルタント・サービス等に限定されており、利用場面が限定されます。
(c) 現地法人の設立
ベトナムに現地法人を設立する場合、上記の駐在員事務所や支店とは異なり、外国投資家とは別人格として扱われます。支店と比べ、多数の事業において現地法人の設立が認められていますので、実務上、現地法人の設立が採用される場合が多いです。
外国投資家は、現地法人の設立に際して、基本的に、まず投資登録証明書(「IRC」)を取得し、その後に企業登録証明書(「ERC」)を取得する必要があります。また、空港プロジェクト、海港プロジェクト等一定のプロジェクトに関しては、IRC取得の前に、管轄当局から基本承認(「IPA」)を取得する必要があります。
外国投資家は、ERCが発行された日から90日以内に、定款資本を払い込む必要があるため、注意が必要です。
(2) 既存会社の持分・株式取得
外国投資家は、既存のベトナム企業の持分・株式を取得(既存の持分・株式の譲渡または増資・新株の引受け)によりベトナムへ投資することも可能です。いわゆるM&Aの方法です。
既存会社(非上場会社)の持分・株式取得に関して、以下のいずれかに該当する場合、外国投資家は株式等の取得前に、当局にて買収登録を行う(事前承認を取得する)必要があります注1。
(ⅰ) 外国投資家による持分・株式取得により、条件付き投資分野に含まれる事業を行っている対象会社における外国投資家の保有比率が増加する場合
(ⅱ) 外国投資家による持分・株式取得により、2020年投資法23.1条に定める外国投資家または外資系企業注2が、対象会社の定款資本の50%超を保有することになる場合(対象会社における外国資本出資比率を50%以下から50%超に増加する場合のみならず、50%超からより高い比率に増加する場合も含みます)
(ⅲ) 外国投資家が、島嶼部、沿岸部、国境地域または国防および安全保障に影響するとされる地域(以下、「安全保障地域」といいます)における土地使用権を有する対象会社の持分・株式を取得する場合
また、株式等の取得後においては、株式会社の場合は外国株主の変動について当局に届け出る必要があり、有限会社の場合はERCを書き換える必要があります。
外国投資の概要
外国直接投資が禁止されている分野
外国投資家は、投資法上の外国投資禁止分野リストに含まれている事業に一切投資することができません。合計で25の外国投資禁止分野がありますが、これらは、国防や治安維持等国家にとって重要な分野という位置づけです。例として、①あらゆる形式での報道・情報収集活動、②海産物の捕獲および開発、③捜査および安全保障に関する活動、④天然森林の調査、評価および開発サービス、⑤軍事物資、設備の生産が挙げられます。詳細は下記図表1のとおりです。
図表1 外国直接投資が禁止されている分野(2025年5月24日現在)
● 商事分野における国家が独占的に扱う商品・サービスの取引
● メディア活動およびあらゆる形態の情報収集
● 漁業
● 公安調査
● 司法行政活動
● 海外における雇用契約に関する職業紹介
● 墓地開発・墓地運営
● 家庭ごみの収集
● 世論調査
● 発破、爆破
● 武器、爆発物の製造・取引
● 中古船舶の輸入、解体
● 公共郵便
● 積換え貨物
● 再輸出のための一時的な輸入
● 外国投資家、外資系経済団体向けの商品リストにある商品の輸出、輸入、および流通の権利の行使※1
● 軍事組織における公共財産の収集、購入、取扱い
● 軍隊と警察で使用する兵器弾薬、機器、資材、装備などの取引と、それらの製造に使用する特殊機器と技術
● 知的財産と工業財産の評価
● 領海・港湾の維持や運営、調査など
● 沿岸警備など
● 各種輸送手段の検査や認証、輸送に使う車両や機器などの安全証明、海上での石油ガス探査や開発に関する検査や安全証明など
● 天然森林の調査、開発など
● 農業・地方開発省の評価を受けていない家畜の遺伝子情報の調査や使用
● 観光(海外旅行者向けを除く)
※1 この一覧は2013年12月24日付通達34/2013/TT-BCT号(通達03/2024/TT-BCT号により一部修正された。)に定められています。
外国直接投資が制限されている分野
外国投資が制限されている分野(条件付き投資分野と呼ばれます)は、外国投資家による投資が認められているものの、一定の条件を満たす必要がある事業分野であり、実務上よく問題となります。合計で59個の条件付き投資分野があります。詳細は下記図表2のとおりです。
また、投資制限の条件としては、
① 外国投資家による出資比率の上限
② 実施できる事業の範囲の制限
③ サブライセンス取得義務
④ その他の法令上の制限
が挙げられます。以下、それぞれの制限の概要について解説します。
(1) 外国投資家による出資比率の上限
外国投資家によるベトナム法人への出資比率について、主として以下の四つのパターンがあります注3。
(a) 外国投資家による出資比率上限がないパターン
外国投資家が外資100%の法人を設立したり、既存ベトナム法人の持分・株式の100%を取得したりすることができるパターンです。例として、経営コンサルティング、IT、飲食業などが挙げられます。
(b) ベトナムパートナーとの合弁が必要であるパターン
外国投資家が定款資本の100%を保有することはできないものの、ベトナムパートナーによる出資比率の下限がないパターンです。例として、広告業、旅行代理店が挙げられます。
(c) 外国投資家による出資比率の上限が51%であるパターン
例として、陸路による物品運送、農業・林業・漁業に関連するサービスが挙げられます。
(d) 外国投資家による出資比率の上限が49%であるパターン
例として、鉄道による物品の運送、陸路による旅客の運送、河川(国内水路)運輸サービスが挙げられます。
(2) 実施できる事業の範囲の制限
外資系企業に対して、ベトナム内資企業と比べ、実施できる事業の範囲に制限が課される場合があります。例として、不動産事業が挙げられます。
具体的には、外資系企業は、ベトナム内資企業であれば実施できる「売却、賃貸、買受け特約付き賃貸借のための住宅、建設物等の購入、買受け特約付き賃貸借」等一定の事業内容の実施が許可されていません。
(3) サブライセンス取得義務
ベトナム内資企業であれば取得不要であるにもかかわらず、外資系企業の場合はサブライセンス取得義務を課される場合もあります。例として、小売事業が挙げられます。
具体的には、外資系企業は小売を行う場合、Trading License(トレーディングライセンス)を取得する必要があります。さらに、店舗を設置して小売を行う場合、トレーディングライセンスのほかに、Outlet License(小売店舗ライセンス)を取得する必要があります。また、2店舗目以降の小売店舗の開設の際には、原則として、経済需要テスト(Economic Needs Test(以下、「ENT」といいます))を経なければなりません(ただし、一定の条件が満たす場合、ENTが免除されます)。ENTは、小売店舗開設予定地周辺におけるその他の小売店舗・伝統的な市場の市場安定性・事業運営への影響や交通への影響の有無等を評価するテストであり、ベトナムローカルの中小規模小売店舗を保護することを目的とした制限です。
なお、CPTPPでは、ENTについて、ベトナムに対するCPTPPの発行日から5年が経過した後に廃止する旨公表されており、すでにその5年は経過していますが、本稿執筆時点において、まだ実務上残存しているため、今後の動向が注目されます。
(4) その他の法令上の制限
その他の法令上の制限として、最低定款資本要件、企業の管理者・技術者等に関する要件や、土地使用権取得に関する制限等があります。
その中でも、外国投資家・外資系企業による土地使用権の取得に関する制限は重要です。外国投資家は、ベトナムにおける土地使用権を直接取得できませんので、ベトナム現地法人を通じて、以下の方法で土地使用権を保有する形になります。
① 工業団地、ハイテクパーク等の中の土地使用権の譲受け
② 土地使用権が現物出資されている会社の投資資本の譲受け
③ 土地使用権による現物出資を受けること
④ 売却または買受特約付き賃貸借のための住宅建設投資プロジェクト実施のため国家から土地割当を受けること
⑤ 国家から土地のリースを受けること
⑥ 管轄人民委員会が公認した紛争に関して成立した調停の結果、債務を処理するための抵当契約の合意、土地紛争等に関する解決結果としての国家機関の決定、裁判所・仲裁の判決等に従う土地使用権の譲受け
すなわち、基本的には、外資系企業は、工業団地以外の土地に関する土地使用権を売主から直接購入することができません。
国家安全保障の観点からの外資直接投資の規制
最後に、本連載のテーマである、国家安全保障と外資規制の関係についても触れておきたいと思います。ベトナムにおいても、近時の国際情勢を受けて、国家安全保障の観点から、外国投資規制が強化される動きが一部見られます。
安全保障地域に関する規制
国家安全保障の観点から、2020年投資法では、以下のような規定が追加されました。
① 安全保障地域における土地使用権を使用する外国投資家または外資系企業のプロジェクト(国会、首相の承認を要するものは除く)に関して、事前に省レベルの人民委員会から基本承認(IPA)を取得する必要がある。
② 外国投資家によるベトナム内資企業の持分・株式取得に関して、安全保障地域における土地使用権の取得等に関する条件を満たす必要がある。
③ 外国投資家によるベトナム内資企業の持分・株式取得に関して、買収登録を行う必要がある場合として、対象会社が安全保障地域における土地使用権を有する場合も含む。
当職らが担当している案件においても、実務上、当局による買収登録審査において、対象会社が保有する土地の所在地を確認し、当該土地が安全保障地域に所在する場合には、これを理由に買収登録を拒否した事例がありました。
Eコマース分野に対する外国投資規制の強化
Eコマース分野は、条件付き投資分野に該当しますが、近時の政令改正で、外国投資の条件が厳格化されました。
具体的には、外国投資家は、商工省(MOIT)公表のリストにおいてベトナムEコマース市場における上位5社のいずれか1社以上の支配権を有する場合、公安省による安全保障の評価が必要という制限が追加されました。
複数の金融機関に対する出資規制
近時の法改正によるものではありませんが、金融機関法およびその政令上、外国投資家が複数の金融機関において支配的な株式を保有することは制限されています。
すなわち、外国投資家は、法令上規定される「戦略的投資家」注4に該当する場合には、ベトナム金融機関(株式会社)の定款資本の20%までの出資を行うことが認められていますが、その場合には、同時にその他の金融機関の定款資本の10%以上を保有することは禁止されています。また、複数の金融機関の「戦略的投資家」になることも禁止されています。
詳細には触れませんが、通信事業に関しても同種の規制が存在します。これらは重要な社会インフラを複数外資に支配されることがないようにするという国家安全保障上の考慮があるものと考えられます。
おわりに
以上のとおり、ベトナムの外資規制を概観するとともに、国家安全保障の観点からの規制強化の動きについても触れました。ベトナムの外資規制は複雑・多様かつ規制内容も流動的ですので、投資を検討される際には、初期段階で専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
なお、本稿執筆時点において、米国のトランプ大統領による関税政策を受けた具体的な動きはまだ見られませんが、ますます流動化する国際情勢を踏まえたベトナム当局の方針変更には常に目を向けておく必要があります。
図表2 外国直接投資が制限されている分野(2025年5月24日現在)
※ 本稿作成時点において、実務上、当局によるCPTPPの適用が普及されていないことから、下表における外国投資制限は、WTOコミットメントおよびベトナム国内法令に基づき記載している。 ※ N/Aと記載している箇所は、WTOコミットメントおよび国内法令において、外国投資家による保有比率の上限に関する規定がない(すなわち、外資への開放が約束されておらず、案件ごとに当局に照会を要する)事業。 ※ 下表はあくまで出資比率に関する規制のみを記載しており、サブライセンスの要否など別途の外資規制の有無は検討が必要。 |
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業種 |
外国投資上限 |
備考 |
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01.録画含む文化的製品の製作および配給 |
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・映画製作(ビデオテープを除く) |
51% |
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・映画配給(ビデオテープを除く) |
51% |
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・映画上映 |
51% |
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02.テレビ番組、または、音楽、演劇、映画の著作物の製作、配給、上映 |
N/A |
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03.放送、放映サービスの提供 |
N/A |
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04.保険、銀行、証券事業および保険・銀行・証券事業に関連するその他のサービス |
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・保険事業およびその関連サービス |
100% |
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・証券事業 |
・100%(法令上の一定の条件を満たす場合) ・49%(100%保有できる条件を満たさない場合) |
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・銀行事業 |
・外国の個人による投資:5% ・外国の会社による投資:15% ・戦略外国投資家(会社のみ):20% ・外国の会社とその関連者の合計:20% ・一定の場合を除き、一つの金融機関における外国投資家の合計出資比率の上限は30% ・一定の場合を除き、一つのノンバンク金融機関における外国投資家の合計出資比率の上限が50% |
なお、戦略外国投資家は、他の金融機関の定款資本の10%以上を保有できない。 |
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05.郵便、通信事業サービス |
Dual ownership制限:基本的には、通信企業の定款資本・議決権株式の20%超を保有する投資家(国内・国外を問わず)は、その他の通信企業の定款資本・議決権株式の20%超を保有できない。 |
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・クーリエサービス |
100% |
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・基本通信サービス(下記仮想プライベートネットワークサービスを除く) |
・非回線設備ベースのサービス:65% ・回線設備ベースのサービス:49% |
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・仮想プライベートネットワークサービス |
・非回線設備ベースのサービス:70% ・回線設備ベースのサービス:49% |
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・付加価値サービス |
・非回線設備ベースのサービス:65% ・回線設備ベースのサービス:50% |
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06.広告宣伝サービス(タバコ広告宣伝サービスを除く) |
100%未満 |
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07.印刷サービス、出版発行サービス |
N/A |
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08.測量、地図サービス |
N/A |
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09.空中写真撮影サービス |
N/A |
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10.教育サービス※1 |
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・中等教育サービス |
N/A |
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・高等教育、成人教育、その他の教育サービス(外国語の教育を含む) |
100% |
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11.天然資源、石油、ガスの調査、開発および加工 |
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・採鉱関連サービス |
100% |
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・その他の天然資源、石油、ガスに関する事業 |
N/A |
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12.水力発電、海上風力発電、原子力発電 |
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・海上風力発電事業 |
95% |
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・水力発電、原子力 |
N/A |
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13.鉄道、空路、陸路、河川の水路、海路、パイプラインによる物品・旅客運送 |
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・鉄道による物品・旅客運送 |
・物品運送:49% ・旅客運送:N/A |
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・空路による物品・旅客運送 |
34% |
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・陸路による物品・旅客運送 |
・物品運送:51% ・旅客運送:49% |
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・河川(国内水路)運輸サービス |
49% |
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・海運サービス |
・ベトナム国旗を掲揚する船隊の運営会社を設立する場合:49% ・国際海運業サービスを提供する会社設立する場合:100% |
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・パイプラインによる物品・旅客運送サービス |
N/A |
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14.水産物の養殖 |
N/A |
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15.狩猟および林業サービス |
N/A |
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16.カジノ事業 |
N/A |
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17.警備サービス |
N/A※2 |
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18.河川の港、海港、空港の建設、運用および管理 |
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・空港経営事業 |
30% |
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・旅客ターミナルの開拓、航空貨物ターミナルの開拓、燃油供給、地上での技術サービス、または飛行場開拓サービスを提供する場合 |
30% |
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・航行情報および監視サービス、航空気象サービス |
30% |
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19.不動産事業 |
N/A※3 |
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20.法律サービス |
100% |
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21.獣医サービス |
N/A |
獣医当局から許可を得た上で、個人としてサービスを提供し、かつ、資格を有する個人に対してのみ、市場開放を約束されています。 |
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22.ベトナムにおける物品売買およびそれと直接関連する活動 |
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・商品の流通(小売、卸売等) |
100% |
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・フランチャイズ |
100% |
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・機械・設備のレンタル |
N/A |
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23.技術検査および分析サービス※4 |
100% |
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24.観光サービス |
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・ホテル・レストランサービス |
100% |
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・旅行代理店およびツアーオペレーターサービス |
100%未満 |
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25.健康、社会的サービス |
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・病院、歯科・健康診断 |
100% |
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・社会的サービス |
N/A |
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26.スポーツ、娯楽サービス |
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・娯楽サービス(演劇、サーカス、ライブショーを含む) |
49% |
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・電子ゲーム経営事業 |
49% |
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27.製紙業 |
N/A |
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28.29席を超える運送手段の生産 |
N/A |
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29.伝統的な市場の開発および運用 |
N/A |
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30.商品取引所の活動 |
49% |
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31.国内における LCL 貨物集荷場事業 |
N/A |
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32.会計検査、会計および租税帳簿サービス |
100% |
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33.株式化するための企業の価格鑑定、価値確定の諮問のサービス |
N/A |
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34.農業、林業、漁業に関連するサービス※5 |
51% |
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35.飛行機の生産、製造 |
N/A |
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36.機関車、鉄道車両の生産、製造 |
N/A |
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37.タバコ、タバコの原料、タバコ専用の機械、設備の生産経営事業 |
N/A※6 |
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38.出版社の活動 |
N/A |
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39.海船の製造、改造 |
N/A |
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40.廃棄物収集サービス、環境観測サービス※7 |
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・廃棄水の処理 |
100% |
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・廃棄物の処理 |
100% |
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・環境観測サービス |
N/A |
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41.商事仲裁、商事調停サービス |
100% |
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42.ロジスティックスサービス事業 |
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・運送手段の補助サービス |
50% |
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・通関サービス |
100%未満 |
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・物品運送仲介等のそのの他のサービス |
100%未満 |
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43.海の沿岸輸送 |
N/A |
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44.希少植物の栽培、生産または加工、希少野生動物の繁殖、およびこれらの動植物(生きている動物およびその製品を含む)の加工、処分 |
N/A |
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45.建築資材の生産 |
N/A |
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46.建設および関連する技術サービス |
100% |
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47.オートバイ製造 |
N/A |
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48.スポーツ、美術、舞台芸術、ファッションショー、美人・モデルコンテストおよびその他レクリエーション活動に関連するサービス |
N/A |
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49.航空運送支援サービス、空港における地上の技術サービス、飛行機上での機内食提供サービス、飛行ルート検査サービス、航空気象サービス |
上記18.参考 |
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50.海船代理サービス、海船曳航サービス |
49% |
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51.文化遺産、著作権および関連する権利、写真撮影、録画、録音、芸術展、祭礼、図書館、博物館に関連するサービス |
N/A |
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52.観光促進、宣伝に関連するサービス |
N/A |
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53.芸術家、スポーツ選手の採用、予約、管理の代理サービス |
N/A |
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54.家庭に関連するサービス |
N/A |
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55.電子商業活動 |
N/A |
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56.墓地事業、墓地および埋葬サービス |
N/A |
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57.飛行機で種子を蒔いたり、化学薬品を噴霧するサービス |
N/A |
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58.海上運送ナビゲーターサービス |
N/A※8 |
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59.国会、国会常務委員会、政府、政府首相の試験的制度に従った投資分野、業種 |
N/A |
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※1 WTOコミットメント上、技術等一定の分野における教育のみ市場開放を認めている。 |
→この連載を「まとめて読む」
※ アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所等によって構成されています。
- 上場会社の株式取得に関しては、証券法などにおいて別途の規制が適用されます。出資比率規制のみならず、公開買付規制、開示規制、証券委員会や証券預託機関とのやりとりなど、さまざまな考慮が必要になります。[↩]
- 以下の企業は「外資系企業」に該当し、投資法上、外国投資家と同様に取り扱われます。
① 外国投資家が定款資本の50%超を保有する企業、または、合名会社の場合はその合名社員の過半数が外国の個人であるとき。※ 合名会社には、(ア)少なくとも2名の合名社員(=個人)(必須)と、(イ)出資社員(任意)から構成されます。(ア)合名社員は、会社の債務に関して、個人のすべての財産で責任を負う一方、(イ)出資社員は、会社の債務に関して、出資した金額の範囲内のみで責任を負うことになります。
② 上記①の企業が定款資本の50%超を保有する企業 。
③ 外国投資家および上記①の企業が定款資本の50%超を保有する企業。[↩] - 個別の業法においては、これら4パターン以外の出資比率規制も存在します。たとえば、金融機関などです。[↩]
- ①一定の財政要件を満たし、②ベトナムの金融機関との長期的な関係を維持し、かつ、ベトナムの金融機関への近代技術の移転、銀行の商品・サービスの開発、管理能力の向上を支援することを約束する誓約が行われている投資家として、ベトナム中央銀行に承認された投資家を指します。[↩]

福田 一翔
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 パートナー弁護士
08年慶応義塾大学法学部卒業。10年同法科大学院卒業。11年弁護士登録。12年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。16~17年ニューヨークの大手総合商社勤務。18年英国University College London (LL.M.)卒業。18年からアンダーソン・毛利・友常法律事務所ベトナムオフィスにて長期駐在し、主にクロスボーダーM&A、グローバルコンプライアンス、クロスボーダー紛争、規制当局対応・危機管理、その他海外法務を取り扱っている。

ニエップ・ティ・ラン
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 アソシエイト弁護士(ベトナム)
17年ハノイ法科大学卒業。19年名古屋大学大学院法学研究科卒業。19~22年長島・大野・常松法律事務所ホーチミンオフィス勤務。22年アンダーソン・毛利・友常法律事務所ホーチミンオフィス入所。24年ベトナム弁護士登録。ベトナム法弁護士として、ベトナム法務全般を幅広く取り扱っている。

濵田 光一
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 アソシエイト弁護士
20年一橋大学法科大学院中退。22年弁護士登録。22~24年外国法共同事業法律事務所リンクレターズ勤務。23~24年某大手外資系証券会社に出向。25年アンダーソン・毛利・友常法律事務所ホーチミンオフィス入所。主にコーポレート、M&A、規制当局対応・危機管理、紛争解決、海外法務を取り扱っている。