信頼関係の構築が最大利益をもたらす そのための時間や知恵は惜しまない
弁護士法人岡本は、法人化前から数えて、企業法務を中心に30年以上にわたる歴史を刻んできた。同事務所の理念は“クライアントに寄り添い、その実情や実務を深く理解して信頼関係を構築すること”であり、その築き方にこそ特徴がある。「クライアントとの信頼関係を築くためには、時間をかけて知恵を出すことが重要です。大手事務所のようにタイムチャージ制での費用請求であれば、“時間”を多く使うことはクライアント側としてもコスト面で問題があります。しかし、ある程度の“時間”をかけなければクライアントが抱える課題の全貌を理解することはできません」(岡本直也弁護士)。
そのために同事務所が大切にしているのが、クライアントとのコミュニケーションと徹底した調査である。
前者については、日頃から法務担当者だけではなく営業社員などとも関係性を持ち、ビジネスの内容など法に直接関係のない情報も収集し、事務所内で共有している。その内容は、研修に来た司法修習生から「こんなことまで聞くんですね」と驚かれるほどだ。
後者については、クライアントの感情的な訴えや一見しただけでは法的に困難なように見える相談であっても、判例や法律論を徹底的に調査することで、裁判所に理解してもらえる法的枠組みに置き換え、法的な論理を構築していくことが可能になる場合がある。
どちらも膨大な時間を要するが、「それがクライアントとの強固な信頼関係を築き、最良の方策・最大利益を実現することにつながるのです」と岡本弁護士は力説する。
予防法務の要諦は、ビジネスの実情を踏まえ最終形を見据えた契約書等の作成
同事務所のクライアントは、東証プライムからスタートアップまでさまざまな企業、社団法人、医療法人等である。これらの企業に提供する法務サービスの中でも重要視するのが“予防法務”である。その要諦を岡本弁護士は次のように語る。「予防法務において大切なことは、単なる“ひな形”ではなく、それぞれのビジネスの実情に合わせて、その“最後の形”を予想した契約書等のドキュメントを作成することです。また、若干でもトラブルになりそうな場合には、きちんと証拠を残しておくことが求められます。証拠の作成・保全のためには、法務担当者だけではなく、あらゆる部門の担当者とコミュニケーションをとりながら検証していくことが重要ですね」。
“訴訟に強い”と言える理由―優れた観察力が導く、裁判所を納得させる法律論
訪れる企業の中には「他事務所を頼って敗訴した一審の結果に納得がいかない」と訴えるものもあるという。逆転を願う相談が多いのは、同事務所が“訴訟に強い”と見られているからだが、その源泉を岡本弁護士は次のように分析する。
「まずは裁判に“勝つ”ことが最重要です。特に、優秀な弁護士でなければ勝てない裁判に勝つことが当事務所の誇りです。仮に“負け筋”であっても少しでも有利な和解を勝ち取る――そのためには、クライアントの主張を裁判官に納得してもらえる“法律論”として構築しなければなりません。それには、要件事実と事実認定において裁判官と同じ思考を辿る必要があります。裁判官がどこに引っかかりを感じて、どこを重視しているのか、何を見落としているのか、それらをコミュニケーションと観察を通して把握することが重要です。これらのポイントが明確になれば、それを解消するための法律論や証拠を提出して、裁判官の思考回路に納得感を与えることができます」(岡本弁護士)。
加えて、“裁判官に受け入れてもらいやすい有利な証拠を収集して戦うこと”も重要だという。「有利な証拠の収集のためには、クライアントからの提供を待っているだけではダメ」と岡本弁護士は指摘する。
「判例を丹念に調べることで導き出すこともできますし、営業担当者など現場に確認することで得られることもあります。極端な例では、クライアントの倉庫に行って関係するすべての書類を点検したこともありました」(岡本弁護士)。
クライアントの話をよく聞き、あらゆる角度から法律論を検証する。ここでもまた、“時間をかけて知恵を出す”という理念が効いているのである。
不動産・建築と情報管理・不競法にも高い専門性
同事務所には、特に多くの実績を誇る二つの専門分野がある。一つは、前代表・岡本政明弁護士が株式会社整理回収機構の不動産部統括弁護士を行っていたことから、不動産・建築の分野に強いことだ。「不動産・建築分野では、基本的なものから新規ビジネスまで、あらゆる案件に対応しています。特に当事務所は、建築紛争を解決するうえでは知見やノウハウが必要となる“専門訴訟”を手がけることができる数少ない事務所です」(岡本弁護士)。
もう一つは、人材の流動化やサイバー攻撃の激化に伴い案件も増加傾向にあるという営業秘密、競業行為、不正競争対策、情報管理等の分野で、内閣府での有識者としての説明、労働新聞での連載なども行っている。「“‘情報’分野はお金にならない”という理由で関与する弁護士が少ない時代から、特に中小企業の案件を扱う事務所がほとんどない中、クライアントのために私たちは断ることなく多くの案件に携わってきました。今は“情報”が重要な資産となる時代です。私たちが培ってきた専門性に時代が追いついてきたということですね」(岡本弁護士)。
岡本 直也
弁護士
Naoya Okamoto
代表弁護士。08年東京大学法科大学院修了。法人理事や企業の社外取締役を歴任し、24年~株式会社ジェーソン(東証スタンダード上場)社外取締役(監査等委員)。第一東京弁護士会所属。
著 者:岡本直也[著]
出版社:日本加除出版株式会社
価 格:3,960円(税込)
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