より広くリーガル的領域を実質化しAIを含むガバナンスの構築を支援
「“企業活動において、価値判断を行い、それに基づく意思決定を可能としていくリーガル的領域の実質化を実現していかなければ、企業価値の向上に資する業務となりえない”という考えをより強く持つようになりました。この意思決定を全社的に行うための体制構築がガバナンスの一翼なのです。これらのことを広く訴えていきたいと実感しています」(渡邊満久弁護士)。
2023年の開設から約1年、データ/AIなど、デジタルテクノロジーを中心とした支援が柱であることは変わらないものの、あくまでも“一領域に過ぎない”と捉え、答えのないリーガル的領域にも積極的に挑む。
「デジタルテクノロジーをよく理解されているクライアントが増えてきましたが、AIの“開発段階”と“利用段階”を同じに捉えたり、著作権や肖像権と個人データの課題が混ざってしまったり、あいまいな認識に基づくご相談もあります。クライアントの話をよく聴き、言語化し、悩みの解像度を上げることで整理しています。AI事業者ガイドラインの公表など、国の動きも活発ですが、まず自社のあり方を思考し、取り組みを実質化していくことが重要です。クライアントが世の中に対して価値を提供するところまで支援していきたいと考えています」。田中陽介氏は“実質化”のその先も見据える。
いわゆるAI Actの発効など、欧州の動きを見過ごすことはできない。
「欧州企業と取引している企業であれば、AIへの取り組みについて、突然回答を求められることもあるでしょう。GDPR施行時と同じように、影響が波及していくことを完全に防ぐことはできません。しかし、AI Actはあくまで欧州の価値観、経済情勢をもとにしたものです。これを、日本においてそのまま形式的に取り入れて大きな渦に呑まれてしまわないよう、自分たちはどうするのかを実質的に、主体的に考えることが重要です」(渡邊弁護士)。
「AIに関する社内規程やAI利活用宣言のような大上段の姿勢も大切ですが、それらが活用されて実際に新しいサービスが世に出ることが肝要です」(田中氏)。
同事務所の取り組みについて、渡邊弁護士は次のように語る。「日本企業、ひいては日本経済の成長に寄与するために、どのような価値提供が可能であるか、常に考え続けています」(渡邊弁護士)。
渡邊 満久
代表取締役・弁護士
Mitsuhisa Watanabe
08年京都大学法学部卒業。11年京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻修了。13年より都内法律事務所、村田・若槻法律事務所、PwC弁護士法人、AsiaWise法律事務所パートナーを経て、23年principledrive株式会社/法律事務所創設。
田中 陽介
取締役
Yosuke Tanaka
06年京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了。外資企業知財部に勤務したのちシンガポールに移住。12年シンガポール国立大学知的財産法コース修了。その後シンガポールの特許事務所、AsiaWise Group(インドのWadhwa Law Office出向)を経て、23年principledrive株式会社を創設。