契約ライフサイクル管理とは - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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企業の契約における相談から管理までを一元化するクラウドサービス「RICOH Contract Workflow Service(以下、「RICOH CWS」という)」。同サービスは、株式会社リコー法務部門の業務改善システムとして生まれ、2016年に他社向けサービスとしてリリースされた。以降、法務の実態に即したサービスとして多くの支持を受け続ける同サービスの現状と今後の展開とは。開発と販売・導入支援の責任者であるお二方にお話をうかがった。

法務部門から生まれた、地に足のついた法務業務システム

RICOH CWSは、契約における「相談・レビュー」プロセスを標準化し、法務部門の業務効率を向上させるシステムだ。加えて「契約の決裁」「締結」「契約履行」といった契約プロセス全体も RICOH CWSで一元管理する。
「業務効率化が始まった1998年前頃はリコーの海外進出と業績拡大が進み始めた時期で、法務部門の業務量が急激に増加していました。そこで、契約業務の効率化を図るために、問い合わせ窓口の一本化やナレッジを継承するシステム導入が必要でした」と語るのは、デジタルサービス企画本部でRICOH CWSのプロダクトオーナーを務める稲葉洋氏。
「依頼者はメールや電話で気軽に相談できますが、それが些細な確認であっても、法務担当者は業務を止めて対応しなければなりません。そんなときにシステムが一時回答や回答納期を担保することで、両者の作業が妨げられることなく、業務を継続することができます。そういった設定もお客様側で簡単に行えます」(稲葉氏)

同事業部でRICOH CWSの販売部門の責任者である山中雄一朗氏は「当社のシステムは契約手続に時間のかかる非定型契約が多いお客様に導入いただだいています。これらの企業では法務への相談窓口が一本化されていますが、メール、チャット、電話、といったコミュニケーションツールを使用されていることが多く、法務部門における業務の属人化やナレッジ散逸の一つの要因となっています。これは私たちが経験してきたことと同じです」と、その背景を説明する。

山中 雄一朗 氏

同社の改善経験はこれだけに留まらないことを付け加えておきたい。電子契約が普及しても紙の契約書は残る。これらのスキャン・保管といった業務負担は現場ではしばしば課題となる。同社ではリコードキュメントライフサイクルサービスSelect(図表1)を活用し、業務集約を図っている。これも契約プロセス改善の一環だ。

図表1 リコードキュメントライフサイクルサービスSelect

一部の契約審査のリードタイムをほぼ0にし、ビジネスを推進

近年のDX推進プロジェクトにおいては、システム導入における費用対効果について厳しく検討される場合も多い。この点について、RICOH CWSは契約の簡易審査を活用することで法務部門の業務量を減らすだけでなく、一部の契約審査のリードタイムがほぼ0となり、事業部側の負担も軽減し、ビジネスの拡大に貢献できることも導入企業に喜ばれているポイントだ。
「詳しい審査が必須ではない低リスクの契約については自動回答で対応することで、工事や生産などの実行プロセスに即時に移ることができます。また、審査の件数が減ることで法務部門は重要案件に集中対応でき、難易度が高いプロジェクトや新規ビジネスのサポートに時間を割けるようになります」(山中氏)
その効果は、年間5,000件の法務業務を抱えるある企業においては、法務担当者の手持ち案件の30%を削減し、平均して1,500人が5日間待機していた自動回答類型の相談の待ち時間を0にするほどだ(図表2)。

図表2 RICOH CWSの簡易審査機能の効果

本製品の大きな特徴は「相談・レビュー」のシステム化にある。相談者がフォーマットに沿ってシステムへ入力することで相談概要が把握され、条件に該当する一部の相談は「簡易審査」機能により自動回答するという強みを持つ。このシステムは、元はリコーの法務部門の課題解決のために開発されたものだ。

「すべての履歴を分類したところ、一部の相談は定型的に判断しても問題ないという結論に達しました。この過程を経て、法務相談・契約管理をまずは社内でシステム化した結果、業務効率と回答水準が向上するに至りました。契約審査の履歴も豊富にあるため、これらを分類してシステムに組み込んで運用します。この分類を経ることで、各社や業界独自の判断基準を反映させることができます。業界や企業が異なると、判断のポイントやリスク評価が大きく異なるので、RICOH CWSの判断ベースとするのは、その企業の契約審査の履歴であることを重要視しています」(山中氏)

お客様の声を未来の法務のために

本製品は、お客様からのご要望をユーザー会や満足度調査等を通じて集約し、その内容を評点化したうえで、改善する活動を行っている。コロナ禍の影響で電子契約のニーズが高まった2020年前後には大手電子契約サービス2社との連携を実現し、ユーザーの利便性向上を図った。
今後の改善について、稲葉氏は「ご要望を踏まえたうえでお客様へのヒアリングを繰り返し、精緻化したうえで機能向上に取り組んでいます。近々ではUI/UXのリデザインとともに、ご好評いただいている「簡易審査」機能をより作りやすく、直感的に判断できる工程を増やすための改善に取り組んでいます」と説明する。
また、審査対象の重要案件について、過去に対応した似た契約の契約書や交渉の記録など参照候補を提案する機能も目下企画中だ。
「日本企業の法務部門は個々のナレッジの蓄積が非常に大きい傾向にありますが、近年は人材の流動化でその継承が難しくなっています。契約審査のノウハウをシステムとして蓄積しておくことで判断を補完し、経験の有無を問わず一定の水準以上の回答を行うことができる状態を目指しています」(稲葉氏)

稲葉 洋 氏

業務システムの信頼性と効果を確認するのは難しい。本製品は30日間の無償トライアルを提供しているので、ぜひお試しいただき、法務と現場部門にその効果を実感してほしいと最後に山中氏は語った。

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山中 雄一朗

リコージャパン株式会社 デジタルサービス企画本部 マネージドサービスセンター MDS営業部 DLCS2グループ リーダー

97年リコー関連会社入社。03年よりドキュメント管理、コンサルタントを担当。09年より株式会社リコーの契約管理改善プロジェクト支援。16年よりRICOH CWSの企画担当、販売リーダー担当。

稲葉 洋

リコージャパン株式会社 デジタルサービス企画本部 EDW企画センター バックオフィス戦略室 トレード帳票企画DX1グループ