弁護士法人北浜法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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大阪・東京・福岡の3拠点体制 機動的、かつ、柔軟な労働法務サービス

弁護士法人北浜法律事務所による労働法務サービスは、たとえば東京事務所のパートナーが受任した私的整理案件に係る従業員対応を福岡事務所で担当する、福岡事務所のパートナーが受任した労働訴訟を大阪事務所のアソシエイトが共同で担当するというように、大阪・東京・福岡の3拠点体制を存分に活用することで、機動性の高いサービスが提供されている。顧客も上場企業から中小企業まで幅広く、会社規模の大小を問わず、いわゆる労働法務として分類されるすべての業務について、各企業に寄り添った柔軟な案件対応が行われている。また、労働紛争の解決はもとより、事務所のスケールを活かして、他のプラクティスとの連携のもと、M&A案件における労務デューデリジェンス(以下、「DD」)、事業再生等のプロジェクト案件における従業員対応などの分野においても、豊富な対応実績があることも特筆すべきポイントであろう。

DDにおける労務分野の重要性 “ここが怪しい”という勘所の磨き方

M&AのDDで検討される各分野の中でも労務は特にリスクが露見しやすく、“問題がない”というケースはないに等しいという。また、調査時点では現実化していなかったとしても、未払賃金等、潜在的なリスクが将来的に顕在化する可能性が他分野と比して高く、金額的にも大きなリスクが潜むケースも散見される。
「DDにおける労務パートの成果物のクオリティは、担当弁護士の力量・勉強量に大きく左右されます。労働法は改正が比較的多い分野ですし、近時の重要判例を的確にキャッチアップすることも必要であり、たゆまぬ研鑽が必要です。たとえば、固定残業代制度の有効性をDDで精査するにあたっては、この論点に関する近時の裁判例や学術的な議論状況に精通している必要があり、研鑽を怠っていれば、結果的に大きなリスクを見逃してしまうおそれがあります。地道に蓄えた知見を備えていればこそ、膨大な資料を読み解いていくうえで、“ここが怪しい”という勘所を的確に把握することができると考えています」(松嶋秀真郎弁護士・福岡事務所)。
「大規模事務所になるほど、DDを専門に扱うチームが労務パートを取り扱うことが多い。しかし、紛争を専門に扱っているわけではないので、紛争になったときの感覚が希薄です。その点、私たちは紛争案件も日常的に担当する労働法の専門チームがこのパートを担うので、紛争を見越した対応や紛争回避の方法まで踏まえた、血の通ったアドバイスをすることができます。また、労務チームも訴訟経験豊富な弁護士が多く、“我が事”として深くリサーチした経験数も、ものを言います」(塩津立人弁護士・大阪事務所)。

塩津 立人 弁護士

同事務所では、所内勉強会や労働法チームのメーリングリストへの質問や議論の投稿を受け付ける体制によって、各弁護士の労働法の知見を養成している。また、弁護士の足腰を鍛えるために多くの訴訟を経験することを推奨する伝統があり、これも“勘所”を磨くのに大きく寄与している。
「DDで適切に問題点を把握するにあたっては、机上の法律論にとどまらず、ビジネスに対する理解も重要なファクターです。たとえば、対象会社の説明する労務管理方法が、対象会社の営む事業内容との関係で“実際問題、本当に実現可能なのか。その説明どおりであるとすれば、果たしてこのビジネスは成り立つのか”と疑えるか。蓄えた知見と経験値との両輪で、リスクの芽を摘むことが求められます」(松嶋弁護士)。

私的整理、事業再生分野と労務 訴訟で培った交渉力を武器に、“理”と“情”で説得

同事務所が強みを発揮する分野の一つである私的整理・事業再生においても、労働法チームの存在が不可欠であるという。なぜなら、事業再生のカギは“人的資源”である場合が非常に多いからだ。その企業にとって将来を担う貴重な人材、いわばキーマンに、労働条件が下がってしまうとしても、いかにして留まってもらうか。“この従業員の今後に対する不安をいかにして取り除くか”が円滑な事業再生成功のポイントになる。
「キーマンを説得するためは、その背景を徹底的にヒアリングします。そして、“誰から説得されるのが一番効くのか”“話すタイミングはいつがよいのか”“どの方法が一番企業側の熱意を伝えられるか”なども考えていきます」(塩津弁護士)。
「当事務所では、若手の頃から多数の先輩弁護士のもとで多様な訴訟、交渉を経験します。紛争案件の主任やプロジェクト案件における従業員説明会もアソシエイトとしての年次が早い段階で任され、度胸と交渉力を培っていきます。これらを武器に、“理”を中心として“情”も勘案しながら説得することで、キーマンの流失を防いでいきます」(松嶋弁護士)。
一方、人件費が過剰で、人員削減のニーズが生じる場合もある。その際は、希望退職の募集や転籍スキーム、労働条件の引下げなど多岐にわたる検討事項の迅速なハンドリングが求められる。
「一口に“退職勧奨”と言っても、話の持ちかけ方は従業員ごとにまったく違います。依頼者と徹底的に打ち合わせを行い、一人ひとりの置かれた状況や背景までを把握しながら、“この方にはこのような理由で説得を行おう”という個別方針を策定していく。時には理屈でない感情的対立となる場合もありますが、誠心誠意説明を尽くすこと、また従業員の言い分に理解を示すことも大事にしています」(山口正貴弁護士・東京事務所)。

コロナ禍と変容する働き方への対応

労働法制、とりわけ“働き方”は、新型コロナウイルスの流行によって大きな転換を迫られた。テレワークがその最たる例といえよう。
同事務所にも、テレワーク導入に伴う社内規程類の整備から労働時間管理、長時間労働に伴うメンタルヘルス問題等、多くの相談が寄せられたという。その中には、マスクの着用の義務化、手指の消毒を徹底させられなかった場合の安全配慮義務をめぐる論点など、従来争われたことがないものもあったという。
「こうしたご相談に対しては、法の原理原則に立ち返り、“企業はどこまでリスクを予測し、現実的にそのリスクにどこまで対処する義務を負うか”“企業がある対策をとることで、罹患リスクは回避が可能であるか”などを所内でも深く議論しました」(松嶋弁護士)。

松嶋 秀真郎 弁護士

また、山口弁護士は、コロナ禍で特にハラスメントに関する相談が増えたと語る。「在宅勤務も増え、また飲み会などがなくなったことで、上司も部下もお互いにその“人となり”がわからない。同じことを言っていても、人によって捉え方が全然違う。うがいや手洗いなどのコロナ対策への温度感も企業や個人ごとに異なっている。こうした小さなことが蓄積し、さらにはコミュニケ―ション不足が加わって、会社不信に陥る人が増えてしまった。それが、“ハラスメント”と受け取る件数が多くなった原因の一つといえると思います」(山口弁護士)。
「コロナ禍における、“エアポケット”のようなこれまで意識されてこなかった事象について、パートナーとアソシエイト間で議論をして問題となりそうなケースについてのQ&Aを作成しました」(塩津弁護士)。
一方、いわゆる“働き方改革関連法案”により、企業は労働時間の上限規制のほか、高度プロフェッショナル制度の創設、有給休暇付与の義務化、割増賃金の割増率改定等の対応に追われた。その中でも、“同一労働同一賃金”の要請は、企業に多大な影響を与えた。
「多数のクライアントから同一労働同一賃金対応に関する質問が寄せられました。裁判が頻発している論点でもあり、私たちは、地方裁判所レベルを含め、この論点が争われた多数の裁判例の判示内容を集約・一元化して蓄積しつつ分析を行っており、その検討結果は労働法チームに共有されています。それを基に自分のクライアントのケースにおけるリスクの濃淡はどうなのかを検討する。これは、一つの集積知と考えています」(塩津弁護士、松嶋弁護士)。

外資系企業の事業運営と日本の労働慣行の調和

同事務所は、国際関係法務にも力点を置いており、多数の海外法律事務所と協力体制を構築し、案件によって最適なメンバーをチームアップし、対応している。その中でも労働法は重要な位置づけとなっており、特にアジア圏の国々にとって、日本のモバイルゲーム市場は魅力的なマーケットとして映り、日本国内の優秀なエンジニアの獲得を目的としたシステム関係企業の日本進出も多く見られるという。
「日本の労働法制は、外国の労働法と似通っている部分があることも多いものの、無期雇用がいまだにスタンダードであることや、これに伴う解雇規制の厳格さ、業務委託契約の利用の難しさは、外国企業にとってはあまりなじみがありません。また、退職金制度その他の福利厚生も、日本独自の慣行によって形成されてきた側面が大きく、優秀な人材確保のためには事実上避けては通れない制度といえます」(山口弁護士)。
日本進出にあたって、依頼者が別途コンサルティング会社を利用しないケースもあり、その場合、労働法に限らず、社内管理、社会保険制度など法律分野以外への深い理解も必要となってくる。
「私たちは、まず前提として、日本の労働法制の特色の全体像を丁寧に示したうえで、依頼者と対等な議論ができる素地を形成することを心がけています。そのうえで、就業制度を構築するにあたって、外国の親会社・本社等との統一的な事業運営の必要性と日本の労働者の考え方を調和させ、日本進出がより円滑にできるよう、労働法に限らずきめ細やかなサポートをすることを意識しています」(山口弁護士)。

山口 正貴 弁護士

労働法においての心がけ、やりがい 弁護士法人北浜法律事務所の“矜持”

アドバイス時のポリシーとして“クライアントにとって長期的観点から何が‘真の利益’となるか”にこだわる同事務所の労務チーム。最後にその“矜持”を語ってくれた。
「労働法務は、経営者にとって最も身近な問題の一つです。企業規模の大小を問わず、人を雇用してさえいれば直面する問題といえます。特に紛争案件については、企業の意向、従業員側の思惑、日々の業務の内容や職場環境といった、一見したたけではその案件に直接関係がないように思えるような背景事情でも徹底的にヒアリングし、ディスカッションして、クライアントと二人三脚で問題を解決していきます」(塩津弁護士)。
「たとえて言えば、10の分量による回答の背後には100の分量の知識やリサーチ結果があります。個別の相談や案件に応じた徹底的なリサーチ、それに裏打ちされた自信を持つことで、顧客の利益を追求した案件対応ができていると自負しています。また、社内規程の是正一つをとっても、我々のアドバイスにより企業の紛争リスクが軽減され、また同時に多数の従業員の利益にもつながる。ある意味、使用者側で労働法務を扱う弁護士ができる“世直し”だと捉えています」(松嶋弁護士)。
「感情的なもつれが根本原因となっている事案も多い中で、法律的な解決法を押しつけるのではなく、“依頼者がどうしたいのか”の気持ちを軽視しないこと。また、一人に対する策が全社員に影響する前例となり、ひいては就業環境に影響する点も留意し取り組んでいます。“人”の問題を解決することで企業の維持や発展に貢献できる。社会のためになる仕事ができていることにやりがいを感じています」(山口弁護士)。

2023年7月、事務所創立50周年・東京事務所開設20周年を機に、リニューアルした東京事務所。

→『LAWYERS GUIDE 2024』を「まとめて読む」
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 DATA 

ウェブサイトhttps://www.kitahama.or.jp/

所在地・連絡先
■大阪事務所 北浜法律事務所・外国法共同事業
〒541-0041 大阪府大阪市中央区北浜1-8-16 大阪証券取引所ビル
【TEL】06-6202-1088(代表) 【FAX】06-6202-1080
■東京事務所 弁護士法人北浜法律事務所東京事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー
【TEL】03-5219-5151(代表) 【FAX】03-5219-5155
■福岡事務所 弁護士法人北浜法律事務所福岡事務所
〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉1-2-25 キャナルシティ・ビジネスセンタービル4階
【TEL】092-263-9990(代表) 【FAX】092-263-9991


所属弁護士等:弁護士108名、外国法事務弁護士2名、外国弁護士3名、司法書士1名(2024年1月現在)

沿革:1973年創設。2002年東京事務所開設。2006年福岡事務所開設

塩津 立人

弁護士
Tatsuhito Shiotsu

02年京都大学法学部卒業。03年弁護士登録。10~13年国税審判官。13年北浜法律事務所入所。15年パートナー就任。大阪事務所を拠点に、企業側労働法務全般(たとえば、懲戒処分対応、復職対応、事業再構築に伴う人事政策)に関して、さまざまな助言や交渉・訴訟等における代理を行っている。その他、企業法務やM&A、税務分野における税務調査対応、税務争訟対応も主に取り扱っている。大阪弁護士会所属。

松嶋 秀真郎

弁護士
Hidemaro Matsushima

12年京都大学法学部卒業、14年京都大学法科大学院修了。15年弁護士登録、北浜法律事務所入所。20年社会保険労務士登録。24年パートナー就任。福岡事務所を拠点に、企業側労働法務(たとえば、解雇、未払賃金請求対応、ハラスメント対応、団体交渉その他)を全般的に取り扱うほか、M&A、建築・不動産紛争、保険法務、倒産案件等に手広く対応している。福岡県弁護士会所属。

山口 正貴

弁護士
Masaki Yamaguchi

14年中央大学法学部卒業、16年一橋大学法科大学院修了。17年弁護士登録。23年北浜法律事務所入所。東京事務所に所属し、企業側労働法務(たとえば、ハラスメント対応、問題社員対応、各種訴訟、団体交渉、外資企業の社内規程整備等)を取り扱っており、M&A、不正調査対応等にも取り組んでいる。東京弁護士会所属。

『元審判官が教える!! 国税・地方税の審査請求の実務―知って得する審理プロセス』

著 者:佐藤善恵・塩津立人[共著]
出版社:ぎょうせい
価 格:2,530円(税込)

『Before/After 民法・不動産登記法改正』

著 者:潮見佳男、木村貴裕・水津太郎・高須順一・赫高規・中込一洋・松岡久和[編著](共著者として堀野桂子が執筆に参加)
出版社:弘文堂
価 格:2,530円(税込)

『ビジネスを促進する 独禁法の道標〔全訂版〕』

著 者:白石忠志[監]、池田毅・籔内俊輔・秋葉健志・松田世理奈・実務競争法研究会[編著]
出版社:第一法規
価 格:4,950円(税込)