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企業不祥事対応の要諦は“時間軸”の把握と専門プレイヤーとの協働にあり

弁護士法人ほくと総合法律事務所は、会計不正を含めた企業不祥事における第三者委員会や特別調査委員会などの調査業務に関わることが多く、企業のみならず他の法律事務所からも頼られる存在である。
「不祥事対応で大切なのは、時間軸を適切に捉えたうえで、“いつまでに誰が何をするか”という計画を策定することです。たとえば、上場会社において決算の修正を求められた場合に、期限を徒過すると上場廃止のリスクが生じます。また、どのような事案でも、“いかに効率よく進行させるか”という視点で状況に応じて計画を見直す姿勢は、コスト管理にも通じる大切な要素です」(中原健夫弁護士)。

中原 健夫 弁護士

「不祥事の調査・報告に際しては、監査法人・金融庁・自主規制法人等、特殊なプレイヤーが数多く関係することになりますので、それぞれの対応を熟知した弁護士の活用が重要です。また、見方を変えると、有事経験は平時体制のバージョンアップを図るよい機会でもありますので、コンプライアンス体制の見直しも同時に実施することをお勧めします」(倉橋博文弁護士)。
「その点、当事務所は金融庁等の行政機関や金融機関での勤務経験を有する弁護士やインハウス経験者が多数在籍していることから、他の法律事務所からの紹介も多く寄せられています」(高橋康平弁護士)。

ハラスメント事案を企業風土や職場環境の改善の契機と捉える

近年、同事務所で相談数が増えているのがハラスメント案件だ。鹿毛俊輔弁護士は、その背景に、内部通報制度に対する認知が深まったことによる、解決までのプロセスを重視する傾向があると分析する。
「特に慎重な対応が求められる類型は、①経営層が関与している場合、②行為が重大である場合、③外部通報を含めた労務リスクが高い場合の3パターンに類別できます。企業には、これらについて“いかに客観的かつ適正な調査プロセスを経ているのか”の説明責任が強く求められます」(鹿毛弁護士)。
企業にはこうした説明責任を果たすだけでなく、マネジメントやガバナンスの課題を踏まえ、内部通報で寄せられた情報を企業風土や職場環境の改善に活かす積極的な視点が重要だという。
「当該行為のハラスメント該当性の分析はもちろんのこと、ハラスメントに該当しない事案であっても、“なぜ不適切な言動が起きてしまったのか”“その原因はどこにあるのか”までを突き詰めて調査し、改善のための対策を提案し、実行に移していただく。“問題発生を企業の好機に変えていく”ことも企業法務の重要な役割です」(中原弁護士)。
「従業員同士のハラスメントであっても、“社内事案だ”と軽視することは禁物です。おざなりな対応が経営レベルの問題に発展したケースも少なくありません。経営者には“ハラスメントの克服=経営課題の克服”と位置づけるような“高い”視点が必要です」(倉橋弁護士)。

倉橋 博文 弁護士

内部通報案件の証拠収集には“想像力”が必要

企業不祥事の防止等を目的とした内部通報制度は、現在、多くの企業が導入している。公益通報者保護法により従業員数が301人以上の企業に指定が義務づけられている公益通報対応業務従事者(内部通報受付窓口の担当者や責任者)には、どのような対応が求められているのか。
「当事務所では現在、約20企業グループの外部通報窓口を担っていますし、さらに多数の企業に対して内部通報対応の支援を行っています。そこで思うのは“公益通報対応業務従事者の業務は弁護士業務と似ている”ということです。具体的には、客観的な証拠を収集し、通報者の話と対象者の話の差異を見極めつつ事実認定をしていくプロセスが必要となります。そのためには、想像力を働かせて“通報された事象が仮に起きているのであれば、どこに証跡がありそうか”“その職場内で知っている従業員が他にいるのか”“いるとしたらどの範囲で、誰から聞くと中立的な情報が得られそうか”と考えて動くことが肝要です」(中原弁護士、倉橋弁護士)。
2025年の公益通報者保護法改正において、①通報妨害の禁止と②通報者探索の禁止が同法の条文として新設された(2026年12月施行)。これらの規定は、内部通報窓口に入ってきた事案だけではなく、直接の上司など、職制のレポーティングラインにおける通報に対しても適用されることに注意が必要だと中原弁護士、鹿毛弁護士は警鐘を鳴らす。
「内部通報制度を実効化するだけでなく、法改正を契機に、改めて職制のレポーティングラインを十分に機能させる施策も並行して検討することが重要です。一線で現場の情報を把握する中間管理職は、内部統制の重要な“要”です。“中間管理職に対するマネジメント研修に、問題を把握した場合の初動対応を含めてほしい”というニーズが増えています。当事務所では、クライアント企業に対し“中間管理職が報告を受けやすい体制はどうあるべきか”“報告受領後の中間管理職はどう対応し、どうエスカレーションすべきか”といった、役員や中間管理職に向けた実践的な事例に基づいた研修をはじめ、さまざまなサポートを提供しています」(中原弁護士、鹿毛弁護士)。

読者からの質問(濫用的な通報への向き合い方)

Q 濫用的な通報も増えていると聞きますが、弁護士としてどのように捉えていますか。
A 原則として、入ってきた通報を“濫用的”と安易に判断することはよくありません。もし事実と違っていたとしても、通報者なりに、その人の目で見て感じたことがあるはずです。また、通報の抑制につながるような対応は制度の趣旨に照らして本末転倒なので控えるべきでしょう。
ただし、こうした通報に公益通報対応業務従事者の心理的な負担が大きいこともまた事実です。公益通報対応業務従事者に何らかのインセンティブを設定したり、管理部門の役員や監査部門へのキャリアパスとして公益通報対応業務従事者を位置づけたりすることも、今後広がっていくべきだと思います。
どのような通報事案であっても、組織の内部統制上の改善点が見い出せるはずです。通報事案に多く接した人材が、その経験を活かして組織をマネジメントしていくことは、内部通報制度のPDCAをより実効化することにもつながっていくと思います。

→『LAWYERS GUIDE 企業がえらぶ、法務重要課題2026』を 「まとめて読む」
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 DATA 

所在地・連絡先
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-16-1 平河町森タワー12階
【TEL】03-3221-9873 【FAX】03-3221-9874

ウェブサイトhttps://www.hslo.jp

事務所の所属弁護士会:第一東京弁護士会

中原 健夫

弁護士
Takeo Nakahara

93年早稲田大学法学部卒業。98年弁護士登録(第一東京弁護士会)。98年原田・尾崎・服部法律事務所(現 尾崎法律事務所)。02年アメリカンファミリー生命保険会社(現 アフラック生命保険株式会社)。05年あさひ・狛法律事務所(現 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)。07年のぞみ総合法律事務所パートナー。08年弁護士法人ほくと総合法律事務所設立、代表パートナー就任。

倉橋 博文

弁護士
Hirofumi Kurahashi

00年早稲田大学法学部卒業。02年弁護士登録(第一東京弁護士会)。02年原田・尾崎・服部法律事務所。金融庁、総務省、証券取引等監視委員会の勤務を経て、10年LM法律事務所。13年弁護士法人ほくと総合法律事務所入所、パートナー。15年第一東京弁護士会民事介入暴力対策委員会副委員長就任。18年~楽天生命保険株式会社社外監査役。20年~天馬株式会社社外取締役。21年~FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)運営審議委員会委員。

高橋 康平

弁護士
Kohei Takahashi

01年慶應義塾大学法学部卒業。01~04年衆議院議員秘書。07年大阪大学大学院高等司法研究科修了。08年弁護士登録(第一東京弁護士会)。08年株式会社ドン・キホーテ。11年弁護士法人ほくと総合法律事務所入所。19年慶應義塾大学大学院法務研究科グローバル法務専攻修了。20年日本弁護士連合会国際交流委員会委員就任。22年第一東京弁護士会民事介入暴力対策委員会副委員長就任。23年日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員就任。25年第一東京弁護士会環境保全対策委員会副委員長就任。26年同事務所パートナー就任。

鹿毛 俊輔

弁護士
Shunsuke Kage

07年慶應義塾大学経済学部卒業。11年慶應義塾大学法科大学院修了。12年弁護士登録(第二東京弁護士会)。13年中島経営法律事務所。20年同事務所パートナー就任。24年弁護士法人ほくと総合法律事務所入所。25年同事務所パートナー就任。