クライアントの“文脈”を把握し直面する課題を敏感に察知
野村綜合法律事務所は、2009年の設立以来、“クライアントの真の利益を追求する”という理念のもと、上場企業グループを中心に、スタートアップ企業、プライベート・エクイティ・ファンドまで幅広い業態の企業を支援してきた。訴訟、M&A、株主総会指導、不祥事対応を柱として、多岐にわたる企業法務案件を取り扱い、単なる法務リスクの指摘にとどまらず、クライアントの事業内容や企業文化を深く理解したうえで、経営にとって真に実効性のある解を導き出すことを強みとしている。
「ビジネスモデルや企業文化が違えば、最適な法的アプローチも当然変わってきます。まずはクライアントの事業や企業文化を深く理解することが、的確なアドバイスを提供するうえで最も重要だと考えています」と池原元宏弁護士が語るとおり、顧問先企業の事業や企業文化への深い理解は同事務所が最も重視していることの一つだ。
クライアントに対する綿密なヒアリングと日々の法律相談を通じて、経営陣の考え方や事業の方向性といった“文脈”を隅々まで理解するよう努める。加茂翔太郎弁護士が語るとおり、この顧客理解の徹底は、業務特性の理解にもつながっている。
「日頃からメーカーからITベンチャー、外資系企業まで幅広いクライアントと接し、多種多様な事案を経験することで、“この業界ではこう考える”という感覚が自然と磨かれています。クライアントに対しても“このような場面でお悩みではないですか”と寄り添った助言を行うことで、さらなるご依頼につながることも少なくありません」(加茂弁護士)。

加茂 翔太郎 弁護士
顧問関係が長期にわたるクライアントとは、さらに深い信頼関係が築かれている。賜保宏弁護士は、平時の何気ない対話から潜在的な問題を察知する重要性についてこう述べる。
「メールで簡単な質問が来ても、“この質問の裏には、問題が隠れているのではないか”と感じたら、電話で直接お尋ねしています。定期的な打ち合わせなど、さまざまな機会を設けて、事業の動きや経営上の転機を察知することを常に意識しています」(賜弁護士)。
質の高い助言を生み出す一気通貫のサポート
同事務所では硬直的な部門制を設けず、各弁護士が幅広い分野の案件に携わることで、さまざまな知見を深めている。さらに、案件の最初から最後まで同じ弁護士が関与する“一気通貫のサポート”が、質の高いサービス提供と、顧客との信頼関係醸成につながっている。大澤涼弁護士は、M&A案件を例にそのメリットを説明する。
「M&A案件では、デュー・ディリジェンスから契約交渉、クロージング、さらに独占禁止法上の課題まで一貫して対応します。案件全体を把握している弁護士が対応することで、クライアントのあらゆる問い合わせに質の高い助言を提供することが可能になります」(大澤弁護士)。

大澤 涼 弁護士
ジェネラリストが育つ豊富な機会 幅広い法分野と自由闊達な議論
同事務所では、各弁護士が、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、労働法、民事訴訟等の企業法務における幅広い法分野に精通したうえで、それぞれ専門分野を持っている。これに加えた少数精鋭ゆえの密な連携が、迅速な対応を支えている。ジェネラリストとしてあらゆる法分野に精通することは、顧問事務所として多様なビジネスを展開する企業を支える礎となっており、そのための育成にも力を入れている。
賜弁護士は、若手弁護士の成長を加速させるためには、自主性を重んじた指導が重要だと語る。
「一方的に正解を教えるのではなく、まずは自分で徹底的にリサーチ、検討して結論を出してもらったうえで、対面で議論しながら、ともに最適解を導き出していきます。若手にも“判断”の機会を豊富に与えており、たとえばクライアントに複数の提案を行う際、クライアントの事情も勘案したうえで最善策を判断し、“当事務所としてはこの案が最善と考えます”と伝えるような、踏み込んだアドバイスをすることを徹底しています」(賜弁護士)。
こうした教育方針により、若手弁護士は早い段階から主体的に案件に取り組み、総合力を高めることができる。加茂弁護士は、「若手でも、立案からクライアントに対する説明まで任せてもらえますし、フォロー体制も整っているので、失敗をおそれず挑戦できる環境があります」と、その効果を実感しているという。
フラットな組織文化も同事務所の特徴の一つだ。
「法的な議論においては経験や年次に関わらず、いかに建設的な意見を出せるかを重視し、全員が対等な立場で活発に議論できる雰囲気があります」(池原弁護士)。
「若手からの意見や提案が歓迎される文化なので、積極的に発言できます。少人数体制なので対面での議論がしやすく、疑問が生じた際は気軽に相談できるなど、堅苦しい会議を開かなくても知見を共有できる環境です」(大澤弁護士)。
若手からの積極的な意見や提案を歓迎する文化が根づいているのは、“すべてはクライアントのために”という意識を全員が共有しているからこそだ。
「クライアントのためにどうあるべきかを常に考え、同じ方向を向いて意見を出し合う文化があります。建設的な議論ができるので、スムーズに案件を進められます」(加茂弁護士)。
この自由闊達な空気が、結果として、複雑な案件にも柔軟に対応できる“総合力”を育てている。

情報漏洩から経営権争いまで 徹底した調査・分析で企業紛争に挑む
同事務所は、高度な専門性と対応力を要する訴訟においても豊富な経験と知見を有している。徹底的な事実関係の調査・整理と精緻な法律分析に加え、判例や裁判例を徹底的にリサーチし、案件ごとの最適解へと導いている。
賜弁護士は、「近年は人材の流動化に伴い、退職者による営業秘密の持ち出しに関連する相談が増加しています」と指摘したうえで、その対応について「場合によっては刑事告訴を先行させて、捜査機関を通じて証拠を確保したうえで、その証拠をもとに民事請求で損害回復を図るといった一連の手続を行うこともあります。複数の手続きが必要となる中、迅速に解決へと導くことで、危機感を高めているクライアントに安心していただけるよう努めています」と説明する。
同事務所が特に力を発揮する分野の一つが、経営権争いをめぐる複雑な紛争だ。経営権そのものを争うケースから、紛争解決後の旧経営陣への責任追及、さらには創業家同士の対立まで、その対応範囲は広い。加茂弁護士はその特徴を「まさに弁護士としての総合力が試される案件」と表現する。
「会社法や訴訟法、その他の関連する法分野の知識が必要で、しかも短期間で最善策を打ち出すスピードも求められます。当事務所では、若手弁護士もこうした案件に早期から関わることで、訴訟の勘所や裁判官との対話術を実践的に身につけることができます」(加茂弁護士)。
こうした複雑な案件において同事務所が強みにしているのが、緻密な事実関係の調査である。
「訴訟で問われるのは事件のごく一部にすぎず、紛争の根本原因は長い歴史の中で形成されたことが多いため、表面的な事象を追うだけでなく、背景事情や全体像を把握することが重要です。また、対象者のヒアリングに際しては、対象者の心情に配慮しつつも、客観的な背景から逸れないよう、本質的な部分を丁寧に聴取します。紛争となる以上は当事者双方に何らかの要因があるものです。信頼関係を築いたうえで、さまざまな角度から質問を重ね、クライアント自身が気づいていない不利な事実がないか確認することも欠かせません」(賜弁護士)。
「裁判官は書面証拠を重視するため、ヒアリング前にメールや議事録を徹底的に読み込み、記憶違いや、無意識に事実をつじつま合わせしている可能性がないか、徹底的に確認します」(大澤弁護士)。
訴訟の舵取りにおいて、経済合理性は重要な判断基準の一つだが、大澤弁護士は、最終的な解決においてクライアントの納得感こそが真の利益につながることもあると指摘する。
「有利な和解案に思えても、クライアントが腹落ちしていなければ、紛争の火種を残す結果になりかねません。クライアントの納得感を含めた解決策の模索が前提となります」(大澤弁護士)。
「会社として譲れない信念やコンプライアンスとの整合性、さらに相手方との利害関係を丁寧に紐解いていくと、訴訟上の勝負では割り切れない和解の筋道が見えてくることもあります。多様な要素をクライアントと整理しながら、合理性と納得性の両立を図る最適な解決策を探っていきます」(賜弁護士)。
マラソンにも喩えられる長い訴訟プロセスでは、ときに不利な局面に陥ることもある。「そんなときも、冷静さを失わず、粘り強く最善の道筋を探っていきます」と、賜弁護士は語る。

賜 保宏 弁護士
進化するAI・データビジネスも幅広い知見でサポート
同事務所は、AIやデータといった発展著しいビジネス領域においても、強力なサポート体制を構築している。
池原弁護士は、データビジネスの特有の難しさをこう語る。「データ領域には確立された法体系が存在しないため、当事者間の合意内容が極めて重要になります。データの性質や取得状況を詳細に確認し、個人情報が絡む場合はその利活用の方法につき多様な手法を検討します。利活用のニーズを重視しつつも、訴訟になった際に裁判官が個人情報を“本人のプライバシー権に基づく重要な権利”と捉える視点を忘れず、利活用と法的保護の精密なバランス設計が不可欠です」(池原弁護士)。
高性能AIの登場により、企業がAI関連の新規事業やAIの社内利用を続々と開始している。そうした企業ニーズに応え、新規事業モデルの適法性チェックから社内体制構築まで、企業のAI活用を包括的に支援していると、加茂弁護士は語る。
「AIの社内利用においては、ガイドラインや社内規程作成支援に加え、利用方法を具体的に示すセミナーを開催し、実務レベルでの理解促進を図ることが重要です。AIを活用した事業を支援する際は、事業モデルの適法性チェックを重視し、法律の趣旨に根ざした安全な活用方法を提示します」(加茂弁護士)。
新規事業の新規性が高く、法規制が未整備な領域にある場合の判断原則について、加茂弁護士は、「適法に実施すること」だと強調。「解釈に揺れがある場合は、法的に整理できるポイントを明確にし、一つひとつのアクションに対して法適合性を検証する必要があります。その際、既存の法的枠組みの中で、いかに適切に当てはめを行うかが課題となります」と説明する。
先端技術を扱う新規事業のサポートは、多様な法律が交錯する場面だが、池原弁護士は、「たとえば、市場において有力な立場にある企業同士がシステムやデータの連携を行う場合、それによって生じる独禁法上のリスクにも注意が必要です。こうした判断には、独禁法に関する日々の相談や過去の同法違反事件の対応により培われた当事務所の実務的感覚が、存分に発揮されていると感じています」と語り、この分野における同事務所のサポート能力を明らかにした。

池原 元宏 弁護士
積み重ねた信頼をもとに今後の展望を描く
「案件の大小を問わず、常に丁寧な仕事を怠らないことが、信頼の積み重ねにつながってきたと考えています」と語る池原弁護士。現在の少数精鋭体制について、「一人ひとりがジェネラリストとしての能力を身につけたうえで専門性も磨くという観点から、あえて所属弁護士の数を増やさず、時間をかけて成長を促す環境を大事にしてきました」と語りつつ、「今後は多様なバックグラウンドを持つ人材を迎え入れることで、事務所の総合力をさらに高め、クライアントへの提供価値を一層向上させていくことを目指しています」と展望を示す。
大澤弁護士が、「クライアントの幅が広く、どのような案件でも受け入れられる度量がある」と語り、加茂弁護士が「膨大な過去事例の蓄積を勘案しつつ、最適なアドバイスが可能」と述べるとおり、同事務所の案件対応力は比類ないものがある。
最後に賜弁護士は、「クライアントにパートナーとして寄り添い、事業の発展に貢献することが、当事務所の揺るぎないポリシーです」と語り、その言葉に凝縮されたクライアントに対する使命感を示した。
池原 元宏
弁護士/パートナー
Motohiro Ikehara
98年東京大学法学部卒業。00年弁護士登録(東京弁護士会)。02年国内航空会社法務部出向。06年ニューヨーク大学ロースクール修士課程修了(LL.M. in Trade Regulation)。07年ニューヨーク州弁護士登録。09年野村綜合法律事務所入所。
賜 保宏
弁護士/パートナー
Yasuhiro Tamou
00年東京大学法学部卒業。00~03年株式会社日本興業銀行(現 株式会社みずほ銀行)。06年京都大学法科大学院修了。07年弁護士登録(東京弁護士会)。09年野村綜合法律事務所入所。16年ミシガン大学ロースクール修了(LL.M.)
加茂 翔太郎
弁護士
Shotaro Kamo
12年東京大学法学部卒業。13年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。15年野村綜合法律事務所入所。
大澤 涼
弁護士
Ryo Osawa
15年青山学院大学国際政治経済学部卒業。18年慶應義塾大学法科大学院修了。19年弁護士登録(第一東京弁護士会)、西村あさひ法律事務所(現 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)入所。22年野村綜合法律事務所入所。