法務で、はたらく。野村ホールディングス株式会社 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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グローバル金融サービスを支える法務

野村ホールディングス株式会社は、世界約30の国や地域にネットワークを有するグローバル金融サービスグループである野村グループの持株会社である。野村グループは、“ウェルス・マネジメント”“インベストメント・マネジメント”“ホールセール”という三つの部門が横断的に連携して、国内外の顧客に付加価値の高い商品・サービスを提供。グループ全体の顧客資産残高は、国内最大の134.4兆円にのぼる業界のリーディングカンパニーだ。
「私たちが扱う商品・サービスは“かたち”があるものではありません。当然、上場株式や国債などプレーンなものもありますが、投資家や発行者のニーズを踏まえたリスク、経済性とするために契約文書などを作り込んで“商品”として組成していくものも扱っています。それゆえ、組成の時点から法務部門が深く関わることが重要です。この点が金融機関の法務の特徴であり、醍醐味の一つですね」。
野村ホールディングス株式会社グループ法務部長・宮内佐和子氏によれば、スワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)やそれらを利用して投資家や発行者のニーズに合わせたリスクや経済性を持つよう組成した金融商品では、当事者、関係者が複数の法域にまたがることも多いが、その場合には、関係国の様々な金融規制にも配慮する必要があるという。こうしたグローバル展開を図る金融サービスグループの法務機能はどのような体制になっているのだろうか。
「野村證券の法務部門には約60名(男女比は約半々)の部員が在籍し、法務部と取引法務部の2部に分かれて所属しています。彼らの半数ほどは野村ホールディングスのグループ法務についても兼任しています。法務部は株主総会、資本提携といった伝統的な法務機能のほか、ウェルス・マネジメントやインベストメント・マネジメントといったビジネスにおける契約や業法対応のサポート等を、取引法務部は主にホールセールのビジネスのサポート等を担っています。海外の法務は主にホールセールやインベストメント・マネジメントをサポートしており、グローバル全体で250名ほどが在籍していますが、金融については各国の関連法規に精通していることが必須となりますので、現地での採用がほとんどです」(宮内氏)。
グローバルな金融機関においては、海外での訴訟や当局から課徴金を課せられた場合の金額は莫大なものとなる。こうした紛争リスクや摘発リスクを縮小・管理していくことが経営から求められている課題であり、その取組みのため、今後もグローバルでの連携強化を推進していくという。
「一方で、政府が推進する“貯蓄から投資へ”という流れは“攻め”のタイミングだとも考えています。この波に乗れるよう法律面でいかにサポートしていくか。これも経営から期待されていることですね」(宮内氏)。

本人のやりがいを重視したフレキシブルなキャリアパス

野村グループの法務では、どのようなキャリアパスを描くことができるのか。宮内氏は次のように語る。「法務の知識だけではなく“会社が何を考えているのか”“何をしようとしているのか”といった“現場の肌感覚”の理解が大切だと考えていますので、その理解のため、法務に戻ることを前提に他の部署を経験していただくことも可能です。一方で、法務の業務自体も多岐にわたりますので、それらを一通り経験したい人はそのようなキャリアを積むこともできますし、“一つのことを極めたい”とお考えなら、その希望に沿うこともできます。つまり、ご自身が“やりがいを感じることができるキャリアパスを描くこと”が重要です」。
若手弁護士や修習生に対しては、金融法務について現場の実務を学びつつ、法律事務所におけるものと同様に専門的な経験を積める環境が整えられているという。自身のキャリアパスの早い時期から野村グループで金融法務の高い専門性を培い、自身の財産とできるという選択肢は、魅力的な特徴といえる。
さらに、野村グループは“働き方”の自由度も高い。グローバル展開ゆえ他地域との夜間のカンファレンスもあるが、翌日の勤務時間を調整することも可能だ。出勤に関しても部門による差はあるが法務部門では8割まで在宅勤務が認められているので、在宅の時間を増やし通勤時間を自分のための時間へと変換することもできる。男性社員の育児休業の取得も推奨されているという。

宮内 佐和子 氏

ロジック×コミュニケーション×デジタル=新たな価値

「“ロジック”がベースにある法務の仕事のおもしろさは、考えれば考えるほど正解に近づけることです」と宮内氏は語る。それはまさに思考のパズルであり、その“解”を依頼者に伝え、納得され、感謝されることが法務の世界における最大のやりがいだという。
「会話しなければならない相手が、社内はもとより契約の相手方、外部法律事務所、規制当局、海外の外国籍の現地担当者など多岐にわたります。相手の気持ちを察することのできるコミュニケーション能力のある方、また、今後はSTO(セキュリティー・トークン・オファリング)のようなデジタル化された商品・サービスが増えていきますので、デジタル技術に対する抵抗感がない方を私たちは求めています」。宮内氏は野村グループが求める人物像についてこう語り、インタビューを締め括った。

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宮内 佐和子

野村ホールディングス株式会社 グループ法務部長 弁護士・ニューヨーク州弁護士
Sawako Miyauchi

03年弁護士登録(東京弁護士会)。15年野村證券株式会社入社。同社法務部および野村ホールディングス株式会社グループ法務部に配属後、16年法務部法務二課長。各種契約、M&A、金融規制や日米の開示規制に係る相談、知的財産権、不祥事事案の対応等に携わる。22年より現職。