企業再編に伴う人事労務課題 就業規則の複線化がカギ
使用者側事務所として半世紀以上にわたる歴史を有する弁護士法人髙井・岡芹法律事務所。2025年9月現在、同事務所では、従業員1万人超の大企業・病院・学校法人・団体・個人など約300の事業者と顧問契約を締結し、人事労務対応における的確なアドバイスや戦略的な支援を提供している。
岡芹健夫代表社員弁護士は、今後の人事労務分野について次のように展望する。「これから10年程度は、企業再編に伴う労働者の移籍や労働条件の変更といった課題が増えていくことが予想されます。経営陣としては、従業員のワーク・ライフ・バランスを考慮しつつ、経営戦略に即した人材の獲得・配転や給与の差別化をどのように行っていくかが重要です」。
こうした課題への処方箋の一つとして岡芹弁護士が描くのは就業規則等の“複線化”だ。「具体的には、裁判例を読み込んで最大公約数を把握し、顧客の実情に応じた各論に落とし込んでいくのですが、顧客の社風や歴史、所属業界の性質・常識、社会の動向に通じていなければ、価値ある複線化はできません」。
労働時間、業種の幅、勤務地のエリア等、従業員が持つ希望は多様化しているのが現状だ。就業規則の複線化によって、そうした多様な従業員の希望を、より広く拾い上げる(そうした希望を有する従業員の能力発揮の機会を確保する)ことがスムーズになるだろう。
顧客への“好意”があれば経営のチャンスを見出すことができる
数多くの顧客の実情に合わせた高水準のリーガルサービスを提供するために同事務所が常に心がけているのが、裁判例の研究、書籍の執筆やセミナーへの登壇、指導担当弁護士と若手の直接担当弁護士による相担当制等による“たゆまぬ研鑽”の習慣化だ。「各弁護士が研鑽によって得た顧客の利益実現のための情報や知識は事務所内で整理し、共有します。何よりも肝要なのは、“顧客に好意を持つこと”です。孟子の言葉に“天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず”とありますが、私たちが顧客に関心を抱き、“何とかしてあげたい”と思って行動し続けていくことで、顧客との強固な信頼関係を築けるだけでなく、潜在的なリスクに早期に気づき環境を整えることはもちろん、千載一遇のチャンスを見出すこともできるのです」。

岡芹 健夫 弁護士
岡芹 健夫
弁護士
Takeo Okazeri
91年早稲田大学法学部卒業。94年第一東京弁護士会登録、髙井伸夫法律事務所入所。10年「髙井・岡芹法律事務所」に改称、所長就任。23年「弁護士法人髙井・岡芹法律事務所」に組織改編、代表社員就任。第一東京弁護士会労働法制委員会委員、東京三弁護士会労働訴訟等協議会委員および経営法曹会議常任幹事等を歴任。著作『取締役の教科書〔第2版〕これだけは知っておきたい法律知識』(経団連出版、2023)、『労働法実務 使用者側の実践知―LAWYERS’ KNOWLEDGE〔第2版〕』(有斐閣、2022)、『労働条件の不利益変更―適正な対応と実務』(労務行政、2015)、『雇用と解雇の法律実務』(弘文堂、2012)ほか。
著 者:岡芹健夫[著]
出版社:有斐閣
価 格:4,290円(税込)
著 者:弁護士法人高井・岡芹法律事務所[編]
出版社:民事法研究会
価 格:3,960円(税込)