自らの起業体験を活かしたスタートアップ法務の提供
弁護士法人リット法律事務所は、2022年10月創設以来、“クライアントの未来を灯す”ことを事務所の理念に据えて、1案件複数体制、綿密なヒアリング、クライアントの望むSlack等のコミュニケーションツールの使用など、スピード感ときめ細やかな対応を両立させた法務サービスを提供している。その結果、「リット法律事務所にまた頼みたい」というクライアントが、他のクライアントにリット法律事務所を紹介する好循環も生んでいる。
そんな同事務所が注力する分野の一つがスタートアップ法務だ。現在、毎月1~5社ほど新規の顧問契約依頼を受けているが、その源泉となるのは自らの起業体験だと、清水勇希弁護士は語る。「私たちは身元保証業である“株式会社あかり保証”を起業し、現在、業界初の上場を目指しています。自ら体験した資金調達やベンチャーキャピタル(VC)との対応、加えて起業家の不安を自分事として理解できることは、シード期からレイタ―期に至るまでのクライアントにアドバイスするうえで大いに役立っています。スタートアップで最も重要なものは“巻き込む力”です。起業により大きな社会課題を克服するためには、自社の力だけでは限界があります。行政や大企業をいかに巻き込んでいくか、その実践ノウハウがあるのが、私たちの強みです」(清水弁護士)。
そのほかにも、資金調達の方法(VCとの連携)、大企業とのアライアンス、知財関連、イグジットまでスタートアップ法務で必要となる一連のサービスに対応することが可能となっている。
「スタートアップ企業は、法務的には脆弱な面があり、紛争に至ることが多々あります。そこを予防法務的にアドバイスしています」(谷口陽輔弁護士)。
「スタートアップ法務で大切なことはスピード感だと考えています。契約書のレビューにしても、原則翌営業日にはアドバイスを回答するように心がけています」(渡邉慶太郎弁護士)。
高齢化社会を見据え介護業界の法的安定性に寄与
同事務所が注力するもう一つの分野が介護法務である。「介護施設やケアマネジャーの方を法的にサポートする介護法務は、ニッチな分野と言えます。それだけに、介護現場では契約書などの不備も多いですし、利用者とのトラブル“パワハラ・カスハラ・モラハラ”も絶えません」(清水弁護士)。
清水弁護士は、こうした介護現場の現状を「これまで介護従事者の方々がいわば“善意”で、無償でやってこられたことが限界にきているのではないか」と分析する。実際、利用者とのトラブルで疲弊し、離職する介護従事者が多いことは周知の事実であろう。また、ケアマネジャーによる財産管理など、介護業務は、法律と密接に関わっている問題も多く存在する。高齢化が進む日本社会において、介護業界の法的安定性を構築することは、喫緊の課題である。
「介護施設にとっては、事故を未然に防ぐことがリスク管理上重要となります。そこで、当事務所では裁判例を分析し注意すべきポイントを解析しておくなど、介護事故を未然に防ぐ運営ができるよう支援しています」(谷口弁護士)。
「介護法務には、介護従事者側として医師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパー、そして、利用者側として当事者、ご家族など、さまざまな方が関わるところに特徴があります。こうした方々の間に生じる問題を適切に調整していくことも求められています」(渡邉弁護士)。
身元保証業界は無法地帯 その未来を灯す
自らの起業した株式会社あかり保証と連携して、同事務所が目指しているのが“身元保証業界の変革”だ。「身元保証業は、法的整備がまだなされておらず、所管する行政庁も決まっていません。いわば“無法地帯”であると言えます。そこで業界団体を創設して、弁護士として身元保証業の適正化にかかわっていくことが重要であると考えています」(清水弁護士)。
身元保証業への参入のきっかけは、身寄りのない高齢者から「老人ホームに入所するための保証人になってほしい」という依頼だったと清水弁護士は語る。国民生活センターの調査によると、2018年から2023年にかけて身元保証業に関するトラブル相談件数は3倍に増えており、「希望していないサービスを追加され高額になった」「解約を申し出たが返金されない」など、契約に関する相談が最も多く寄せられている。まさに、弁護士が“あかり”を灯すべき分野であると言えよう。「身元保証についてはあかり保証が、そして法的な問題についてはリット法律事務所が担う。この相乗効果により、身寄りのない高齢者の方に信頼かつ安心のあるサービスと適切な財産管理を提供することができます」(清水弁護士)。
自らの起業で培った“巻き込む力”を原動力として、介護と身元保証という密接した分野の未来を灯す、それこそがリット法律事務所の使命であり、矜持である。
清水 勇希
弁護士
Yuki Shimizu
代表弁護士。16年司法試験予備試験合格。17年立命館大学法学部卒業。2018年弁護士登録(大阪弁護士会)。21~23年大阪女学院大学・短期大学非常勤講師。22~23年立命館大学非常勤講師(民事訴訟法)。23年~立命館大学エクステンションセンター法科大学院(ロースクール)講師、株式会社エアトリ社外監査役。24年~医誠会国際総合病院「観察・介入研究倫理審査委員会」外部委員。
谷口 陽輔
弁護士
Yosuke Taniguchi
共同代表弁護士。15年立命館大学法学部卒業。17年立命館大学法科大学院法曹養成専攻修了。18年弁護士登録(大阪弁護士会)。19年~立命館大学エクステンションセンター法学部講師(2月~)、同センター法科大学院講師(6月~)。
渡邉 慶太郎
弁護士
Keitaro Watanabe
19年司法試験予備試験合格。20年立命館大学法学部卒業。23年弁護士登録(滋賀弁護士会)。22年~法律家などを養成する「伊藤塾」講師。