シティユーワ法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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創立20周年を迎え国際法務への体制をさらに充実

「“クライアントが直面する多様な法律問題に対応できる専門家の養成”“国際法務の重視”“クライアントのニーズに合ったカスタムメイドのアドバイスの提供”という3点に注力してきた20年でした」。2003年2月に47名の弁護士によって始まったシティユーワ法律事務所は、180名を超える規模となり、2023年に創立20周年を迎える。創立メンバーの一人である栗林康幸弁護士は、これまでを振り返る。
「当事務所に参画した弁護士は、多様な案件に携わる中で自身の進むべき方向性を見つけ、各分野の専門家として成長していきます」(栗林弁護士)。
また、中国法務で日本の先駆的な存在である曾我法律事務所との経営統合によって、国際法務においても厚みを増す。「現地の法律事務所とのネットワークに加え、中国法務の専門家が所内にいることによって、内外ともに連携がより一層スムーズになります。曾我法律事務所との統合は大きな相乗効果を生み出せると確信しています」(栗林弁護士)。

経営統合によって蓄積された知見の相乗効果を

「近年“法治国家”の建設を国の重要目標の一つとする中国では、法律の整備のほか、運用面も強化されており、中国ビジネスを行う日本企業にとって中国法を理解することは必須です。そのためには、中央政府や地方政府が出す法令や通知、司法機関が出す司法解釈などのさまざまなルールをフォローする必要があります。これらの中には抽象的な内容も多く、日本企業にとって中国法を正しくフォローすることは容易ではありません」。住田尚之弁護士は、曾我法律事務所で日本企業の中国進出案件の実績を積み重ねてきた。中国に駐在し現地日系企業を支援したほか、国際協力機構(JICA)の長期派遣専門家として全人代常務委員会法制工作委員会に派遣され、民事訴訟法や不法行為法などの立法支援に携わった経験も持つ。
「日本法的発想や日本企業目線で中国法についてサポートできるという点に日本人弁護士の強みがあります。最近は、インターネットによる越境取引、知的財産権侵害、独占禁止規制、個人情報・データの越境移転、経済安全保障などの分野で、両国法が交錯する、高度な専門性を要する案件が増えています。業務統合により、各分野の専門家との協働を通じて、よりよいサービスを提供することができると考えています」(住田弁護士)。

住田 尚之 弁護士

成長を続けるアジア諸国の知見を日本国内から

「バンコクに11年間駐在し、タイのほかインドネシア、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス、カンボジアといったアジア諸国の案件を数多く手がけてきました。取扱分野も合弁やM&A、金融、不動産、コンプライアンス、会社法、労務、紛争など多岐にわたります」。他事務所で数多くの経験を積み、アジア諸国の法制度や現地事情について豊富な知見を有する二見英知弁護士の参画により、シティユーワ法律事務所のアジア諸国の案件に対するサポート体制がさらに充実した。
「“日本企業にとってどのような点が理解しにくいか”“現地の日本人駐在員はどのような悩みを抱えているか”“現地弁護士とはどのようにしたら円滑に協働できるか”といったことを念頭に置きながら案件に取り組むことが重要であると感じています。現地事情に精通した弁護士が国内の身近にいるということで安心感を与えることができるとも思います。アジア諸国のビジネス環境が成熟しつつあり、アジア諸国の企業による日本市場への進出も増加すると見ています。他にも米国企業が関わるものなど、今後も海外の案件に注力していきます」(二見弁護士)。

二見 英知 弁護士

日本の法律家としてドイツと日本の橋渡し役に

「日本市場に進出するドイツ企業、ドイツ市場に進出する日本企業、双方の橋渡しを担う存在であることを意識しています。ドイツ企業はメールよりも直接議論することを好むため、ドイツ本社と日本の子会社と一緒に会議を行い、課題を整理し解決策を提案することもあります。日独法制度の違いを踏まえた法的助言を心がけています」。塚元佐弥子弁護士は、ドイツプラクティスチームの中心として、ドイツ関連法務を取り扱うほか、グローバル企業の労務案件について豊富な経験を有する。
「グローバル企業の人事労務分野で多く相談を受けるのは、解雇の扱いです。ドイツでは従業員が常時10名以下の小規模な企業では比較的、解雇が容易ですが、日本では基本的に従業員数にかかわらず解雇が困難であり、解雇に踏み切る前段階の対応が重要です。日本の労働法制や裁判実務の特徴への理解を深めてもらい、事案の経緯を踏まえた迅速な対応を可能にするため、初期段階から人事担当者とウェブ会議を行い、情報共有しながら方針を決定しています。海外進出する日本企業から現地の法制度や実務に関する質問を受ける機会もあり、海外の法律事務所と緊密に協力しながら進めています」(塚元弁護士)。

塚元 佐弥子 弁護士

公益活動によって得られた知見も弁護士業務に還元

「データや保険に関する法務を専門とし、金融機関等のM&A、個人情報保護法やプライバシー関係の対応を手がけています。企業のDXが重視され、経営層は、デジタルを活用したビジョンを打ち出すことが求められています。また、社内のデータについても、内部統制を適切に構築するよう、経営層の積極的な関与が求められています」。武田涼子弁護士は、上場企業の社外取締役や監査役を務め、コーポレートガバナンスの実務も担うとともに、公認不正検査士でもあり、不正行為の調査やサイバー攻撃後の対応を手がけることも多い。
「金融機関や一般企業の企業法務や国際取引、危機管理、紛争予防、コンプライアンスなど、幅広く関与していますが、公益活動による知見も役立っています」。武田弁護士は、金融庁の自動車損害賠償責任保険審議会委員、(独)農林漁業信用基金の契約監視委員会委員、司法試験・同予備試験考査委員(租税法)等を務めるほか、(公財)日本税務研究センター(JTRI)の研究員の委嘱を受けて研究も行っている。
「公益活動によって得られる経験も還元しながら、クライアントの実務に役立つ助言を提供します」(武田弁護士)。

武田 涼子 弁護士

クライアントごとの投資家とのふさわしい関係を提示

「株主・投資家との適切な関係や対話方法など、コーポレートガバナンス・コードの制定・改定や、ESG投資の進展などを背景に、ソフトローへの対応、株主・投資家への説明が重要な課題となっていると感じます。企業ごとの最適なコーポレートガバナンス、社内の問題点の解決などについて、実践的なアドバイスに注力しています」。豊田祐子弁護士は、会社法を中心にコーポレートガバナンスなどを手がける。
「2002年6月から3年10か月間、法務省民事局に出向して会社法の制定に従事し、その後も弁護士会で司法制度調査会や法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会に参加する弁護士のバックアップ組織のメンバーや、会社法施行規則の改正のための研究会の委員になるなど、常に会社法関係に携わってきました。最近でも、会社法施行規則にデジタル化の波を反映した改正がありますが、杓子定規に法令で可能なデジタル化をするといった対応では株主との関係を適切に築けません。その会社の株主に合わせた対応をすることが必要です。審議の過程を目の当たりにしたことによる個別の条文の背景を理解した上でのアドバイスを重視しています」(豊田弁護士)。

豊田 祐子 弁護士

専門家としての責任を意識しながらクライアントに伴走

「ウェルスマネジメントやエステートプランニングに従事しています。中でも当事者の国籍、居所、財産などに外国の要素を含む、クロスボーダー案件が多くなっています。これらの業務は、関係各国の財産法、税法および身分法と関係することから、各国間で結論に矛盾・抵触が生じてしまうことも少なくありません。エステートプランニングの段階では各国の法制の違いによる矛盾抵触が生じないよう、円滑に資産承継ができるよう支援を心がけています」。酒井ひとみ弁護士は、海外ネットワークを活用し、現地弁護士・税理士などと協働して、円滑なサービスを提供する。
「専門家が関与しながら、クロスボーダーの要素を無視した相続対策が行われ、相続人にさまざまな税務負担や資産承継に関する実務的な障害が生じている事案を問題視しています。相続が生じてから持ち込まれる事案の中には、専門家が家族・財産関係の調査不足のまま相続対策を行った結果問題が生じたものもあり、専門家としての責任を感じています。クライアントやその家族の状況、ファミリービジネスに対する思いをうかがい、クライアントに伴走しながら案件を進めることにやりがいを感じます」(酒井ひとみ弁護士)。

酒井 ひとみ 弁護士

迅速な初動と効果的な対策の検討の両輪 現実に即した対応を

「検事として11年間勤務した経験に基づく調査能力と事実認定をベースに、企業不祥事の調査、公益通報対応、刑事事件を業務の中心としています。また、それに派生する人事労務案件への対応にも注力しています。コンプライアンス体制の構築などの助言を求められる機会も多く、不祥事を未然に防ぐための方策や制度設計を各企業の特性に応じてアドバイスしています」。岸見直幸弁護士は、予防法務の重要性を強く認識する。
「適時開示が要請される上場企業の不祥事には、機動的な対応が重要です。他方、原因分析や再発防止策の検討にはある程度の時間が必要です。迅速な初動と効果的な対策の両輪が重要と考えます。また、どれだけ高尚な理想を掲げても、実現できなければ何の意味もありませんから、依頼者が採りうる最も効果的な策を提案します。また、幼少期をドイツで過ごし、検事任官後もドイツに留学するなどの国際経験を活かし、外国企業からのコンプライアンス事案、刑事事件対応なども手がけ、グローバルな視点に基づくアドバイスも意識しています」(岸見弁護士)。

岸見 直幸 弁護士

クライアントのニーズを汲み取り法律解釈にプラスαを

「法務部門が必要以上にリスクを強調すると、ビジネスが止まってしまいます。単なる法律解釈でなく、“法律解釈を自社に当てはめた上でどのように対応するのが最適か”という具体的な対応策が求められているということを念頭に置き、クライアントのニーズを的確に汲み取り、“かゆいところに手が届く”弁護士でありたいと考えています」。酒井夕夏弁護士は、上場会社から非上場の中小企業まで、さまざまなクライアントからの日常的な法律相談業務を中心に取り扱う。
「上場会社であれば法務、経営企画など役割分担が明確ですが、中小企業においてはマンパワーの問題から、法務の専任者がいないということも珍しくありません。クライアントの社風やビジネス上のリスクを十分理解した上で、外部の法律専門家としての客観的な視点も踏まえ、一歩踏み込んだアドバイスを心がけています。また、クライアントに即した最適解を見つけるためにも、所内の弁護士との情報交換だけでなく、弁護士会の勉強会に出席するなど、他社の対応状況やトレンドについて情報収集し、クライアントにとって効果的・合理的・実践的なアドバイスとなるよう努めています」(酒井夕夏弁護士)。

酒井 夕夏 弁護士

紛争の場面において多面的な見方で光を当てる

「訴訟や紛争の当事者が見ている世界はお互いに異なっています。一面的な見方に対峙し、クライアントの立場で事案に異なる光を当てることによって初めて裁判所の適正な判断が得られることを肝に銘じ、個々の案件に取り組んでいます」。小林優嗣弁護士は、誰もが自分は正しいと思い込んでいる争いの場にあって、全員が見落としている光の当て方を見つけ出すこと、自らの関与が新たな気付きのきっかけとなることを意識しながら、個々の案件に向き合う。
「10年以上、不動産取引に関する紛争のほか、会社紛争、相続案件、知的財産関連事件、大規模公害事件など、多様な事件の紛争解決に携わってきた結果として予防法務の重要性を痛感しています。また、裁判所にビジネス感覚を伝えることの難しさを認識しています。クライアントへの出向も複数経験し、社内横断的な事案対応の過程を理解しました。さらに、法律や裁判実務にまつわる専門的知識は当然のこととして、事案に応じて必要となる各分野の業界知識や専門知識を積極的に学び、最近では医学や建築工学、原子力のほか、情報通信分野の知識の習得にも取り組んでいます」(小林弁護士)。

小林 優嗣 弁護士

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 DATA 

ウェブサイトhttp://www.city-yuwa.com/

所在地・連絡先
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-2 丸の内三井ビル
【TEL】03-6212-5500(代表) 【FAX】03-6212-5700(代表)


代表弁護士:栗林康幸(東京弁護士会)

所属弁護士等:弁護士数185名(日本弁護士179名、外国法事務弁護士1名、外国弁護士5名)、司法書士2名(2023年1月現在)

沿革:2003年設立。2023年1月曾我法律事務所と経営統合

住田 尚之

弁護士
Takayuki Sumida

早稲田大学法学部卒業。02年早稲田大学大学院修了。03年弁護士登録。08~10年中国全人代常務委員会法制工作委員会に派遣。

二見 英知

弁護士
Hidetomo Futami

東京大学法学部卒業。02年弁護士登録、森・濱田松本法律事務所(~22年)。08年コロンビア大学LL.M.。09年ニューヨーク州弁護士登録。

塚元 佐弥子

弁護士
Sayako Tsukamoto

一橋大学法学部卒業。10年一橋大学法科大学院修了。11年弁護士登録。19年ケルン大学LL.M.。

武田 涼子

弁護士
Ryoko Takeda

東京大学法学部卒業。98年弁護士登録(14年再登録)。04年ロンドン大学(UCL)LL.M.。04~05年デーエス法律事務所(パリオフィス)。

豊田 祐子

弁護士
Yuko Toyoda

東京大学法学部卒業。00年弁護士登録、西村総合法律事務所(現・西村あさひ法律事務所。~11年)。02~06年法務省(民事局付)。

酒井 ひとみ

弁護士
Hitomi Sakai

中央大学法学部卒業。03年弁護士登録、小島国際法律事務所(~19年)。16年ヴァンダービルト大学LL.M.。18年ニューヨーク州弁護士登録。

岸見 直幸

弁護士
Naoyuki Kishimi

慶應義塾大学法学部卒業。06年慶應義塾大学法科大学院修了。07~19年検事(東京地検等)。19年弁護士登録。

酒井 夕夏

弁護士
Yuka Sakai

名古屋大学法学部卒業。08年弁護士登録。

小林 優嗣

弁護士
Masatsugu Kobayashi

京都大学法学部卒業。10年京都大学法科大学院修了。11年弁護士登録。

『55のケーススタディでわかる テナント賃料増減額請求の手引き』

著 者:永岡秀一・奥原靖裕[著]
出版社:税務経理協会
価 格:2,640円(税込)

『金融機関からみた事業再生・企業倒産』

著 者:東京弁護士会金融取引法部[編]、田汲幸弘・朝田規与至・田中秀幸・並河宏郷・堀本博靖・古川和典・森田豪丈[著]
出版社:一般社団法人金融財政事情研究会
価 格:4,400円(税込)