シティユーワ法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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弁護士が働きやすく弁護士からの信頼が厚い法律事務所へ

組織は“人”によって成り立つものであり、弁護士個人の力が組織全体の力に大きく影響してくる法律事務所にとって、“人”を重視すべきことは言うまでもない。時代の流れに合わせて弁護士の職場環境・ワークライフバランスに配慮するのみならず、よりよい働き方を率先して構築していくことが求められている。
「当事務所はシニアの創立パートナーの1名が女性であったこともあり、創立時から女性弁護士の働きやすさについて配慮してきました。一定期間、仕事を離れなければならない時期があったとしても復職しやすく、また、復職してからも就業時間や業務量を調整して段階的に休業前の状態に戻っていけるよう、事務所として支援制度や体制を整えるだけでなく、同僚の弁護士たちにもサポート意識が浸透しています。一方、経験を積んでパートナー弁護士になれば責任も重くなり、子育てなどとの両立に悩む弁護士も少なくありません。個人の努力による対応には限界もありますので、事務所としてバックアップしていかなければなりません。復職から休業前の状態に戻るだけではなく、さらにそれ以上のパフォーマンスを発揮できるよう、さまざまな形で支援をしています」。シティユーワ法律事務所の栗林康幸弁護士は、新人弁護士の育成から中堅・ベテラン弁護士の働き方まで、“組織における人のあり方”に常に気を配る。

栗林 康幸 弁護士

「最近のある経済紙の記事では、当事務所は弁護士数上位50事務所の女性比率において12位に、弁護士数が100名を超える事務所に限ると3位にランキングされています。また、このような事務所の取り組みもあって、当事務所では男性弁護士の育休取得の実績がありますし、それを当然のこととする雰囲気もあります。共働きが当たり前になった現在、性別を問わず育休を取得し、皆がキャリアと子育てを両立できるような社会の実現に少しでも貢献できればと思っています」(栗林弁護士)。
そんな同事務所は、企業不祥事の際、調査委員会への参画の依頼が増えており、中には他事務所の弁護士からの依頼も多いという。「自身のクライアントで不祥事が発生したとき、自分自身や同じ事務所内の弁護士では調査委員などの依頼を受任できないこともあります。そのような場合には他事務所の弁護士に依頼することになりますが、“任せても問題ない”と思える相手でなければ依頼できません。他事務所からの調査委員の依頼が多いということは、“弁護士から信頼されている”と言うことができると思います。社外取締役が企業統治に積極的な役割を果たすことが浸透し、何か事が起きた際には、その規模の大小を問わず、詳細な調査が求められるようになりました。これは企業にとっても“ガバナンスが効いてきている”ことの証左と言えるでしょう」(栗林弁護士)。
ある経済誌が実施した直近の調査では、上場企業の不祥事に伴う調査委員会の委員受任件数において、同事務所はいわゆる五大事務所に伍する第4位にランキングされている。同事務所の専門性と信頼性が評価された一例と言えるだろう。

すぐに成果を得られなくとも弁護士の新たな挑戦を事務所全体でサポート

昨今、さまざまな産業分野で日々技術革新が起こり、新しいビジネスが発生している。当然、これに即したリーガルサービスを提供するため、法律事務所には常に知見のアップデートが求められる。「当事務所は、会社法、金融、国内・国際的紛争解決、M&A、知的財産権などの企業活動に伴う基本的なリーガルサービスはもとより、AI、カーボンニュートラル、再生可能エネルギー、ロボット、仮想通貨、データ、ゲームなどの新しい分野でも知見を深めるとともに、労働問題や環境問題、ESGなど、広く企業活動にかかわる問題についても専門性の維持に努めています」。野本新弁護士は新たな取り組みにも注力する中で、ゲームコンテンツを提供する事業者からの相談が増えているという。
「日本はゲーム文化が根づいており、世界的に見ても有力なマーケットの一つであることから著名なゲーム会社が多く、また、日本企業はゲームと親和性の高いマンガやアニメなど多くの優良なコンテンツを有しています。“日本のアニメのキャラクターを自社のゲームに取り入れたい”といった、日本の事業者と協働してゲームコンテンツを開発したいと希望する海外のディベロッパーと自社の知的財産権の活用を図る日本企業との提携案件は年々増加しています。ただ、全世界で同一のタイトルを提供するにあたり、自国外で展開する際には注意すべき事が多くあります。許認可や消費者保護ルール、未成年者保護ルールなど、日本より厳しい規制が外国には存在し、逆に日本のゲーム内通貨に関するルールや電気通信事業法による規制は外国にはあまり見られないものです。ゲームコンテンツに関して適用するルールは、以前から著作権法などがありますが、生成AIや仮想現実などの新たなテクノロジーの導入に伴い、新たな論点が生じています。また、インターネットの普及によって、ゲームの世界でも通信機能が当たり前のものとなりましたが、便利で楽しい機能である反面、その悪用によって未成年者が犯罪被害に遭うことも問題となっています。海外では未成年者の保護に関するルールが厳しく設定されつつあり、日本でもルールの強化が議論され始めています。新たな法的課題も多く、難しくもやり甲斐のある分野です」(野本弁護士)。
同事務所では、新たな分野への取り組みを事務所全体で支援し、すぐには成果を得られない分野であったとしても、弁護士の挑戦をバックアップする体制が整っているという。2003年の設立から20年を経て、さらに次の20年に向けて大規模案件に対応できるよう着実に事務所の規模を拡大しつつ、さまざまな企業の顧客にワンストップでサービスを提供すべく、各専門分野の充実に努めている。

野本 新 弁護士

知的財産権案件と労務案件 目まぐるしく変化する分野で専門性を高める

「昨今、社会状況の変化を受け、法律の分野においても新たな規制や法改正が目まぐるしく行われています。そのため、クライアントに対して最新の状況に基づいたアドバイスができるよう、特定の分野に専門特化した弁護士になることを目指し、商標を中心とした知的財産権案件と労務案件を重点的に取り扱っています」。特許庁での勤務経験を有する田村祐一弁護士はこのように語る。
「特許庁で、新しいタイプの商標に関する商標審査基準の策定と審査運用の管理、商標審査基準の全面改訂を担当しました。知的財産権を取り扱う弁護士は多くいますが、商標の出願については一般的に弁理士が取り扱うことが多く、審査業務に精通した弁護士はあまり多くありません。また、特許庁の審査傾向は時代によって変化しています。特許庁は、登録者に積極的に権利を活用してもらいたいと考えているため、できる限り商標の登録がしやすいようにしていますし、業界団体の意見にもよく耳を傾け、時代に即していないルールがあると判断した場合には、すぐに見直すなど、フットワークが軽く、考え方も柔軟です。このように、実際に特許庁の審査実務を見てきた経験を活かし、クライアントが望む“ブランドの権利”を最大化することを心がけ、アドバイスするようにしています。このほか、クライアントが保有する“ブランド”を最大化するために、著作権や意匠権といった商標権とは別の知的財産権の利用や複数の知的財産権を使用するご提案など、各権利の特徴を踏まえてアドバイスしています。権利化した知的財産権についても、ライセンス契約に関する交渉や契約書の作成、第三者による侵害があった場合の訴訟対応など、権利化から権利の利用までの幅広い業務を取り扱っています。今後は、より会社の実務に踏み込み、ブランドに関するコンサルティング業務にも対応できるよう、業域を広げていきたいと考えています」(田村弁護士)。
一方で田村弁護士は、一見すると大きく異なるように見える労務案件についてもいち早く法改正情報などにキャッチアップし、専門的に業務に携わることが重要な案件と考え、積極的に取り組んでいるという。「主に使用者側の立場で、国内企業、外資系企業を問わず労働案件に携わり、日々の一般的労務相談から、就業規則等の作成・改定、労働組合との交渉対応、労働審判・労働訴訟などの法的手続など、労務案件にも幅広く携わっています。業務内容によっては、雇用契約ではなく業務委託等の方法を利用することが企業ニーズに合致することもあるため、単なる法的なアドバイスにとどまらず、可能な限りクライアントのニーズを汲み取るよう心がけています。今後、労働人口のさらなる減少、それに伴う外国人労働者のニーズが増えることが見込まれるため、入管業務など労働行政に関する対応もできるように専門性の幅を広げていきたいと考えています」(田村弁護士)。

田村 祐一 弁護士

クライアントとの信頼関係の構築に重きを置き一つひとつの案件を地道に積み重ねる

「入所以来、10年以上、金融機関、国内外のファンド、証券会社などをクライアントとする金融案件を多数取り扱っています。特に、不動産証券化案件を強みとし、金融機関側、投資家側の双方からの依頼を、年間20~30件以上対応して専門性を高めてきました。金融案件では、金融商品取引法、投信法、資産流動化法など、多くの人々になじみのない法律に詳しくなければなりませんし、法律の知識だけでなく、経済学や金融工学、業界の実務慣行についても詳しくなることが求められます。さらに、投資家は多国籍であるため、多くの文書は英語で作成され、案件によってはビデオ会議やすべての業務メールまで英語で対応することもあります。クライアントの期待に応えられるよう、地道に案件を積み重ねています」。保川明弁護士は、クライアントとの信頼関係の構築に何よりも重きを置く。
「難しい法律の概念をクライアントにわかりやすいように説明すること、事案に法律を当てはめて当事者間の法的関係を分析して整理すること、案件の段階に応じて緻密な検討と大局的なアドバイスを使い分けるといった柔軟なアドバイスを行うことを常に意識しています。金融案件の契約書は複雑かつ長文で、難解な法律用語が多数用いられることが多いのですが、当事者となりリスクを取るクライアントには案件の法的リスクを十分に吟味していただく必要があるため、難解な点については電話などでわかりやすく説明することを心がけています。また、契約書をレビューすると、誰がどのような権利を有しているのかがあいまいであったり、一見、矛盾する条項があり、どちらの条項が優先するかがわかりにくいものもあります。そのような場合には民法を当てはめ、どのように解釈される可能性が高いかを分析し、意思決定の材料として提供しています」(保川弁護士)。
保川弁護士は案件の段階に応じて適切な“解像度”で案件を分析するという。「金融案件では長期間にわたった交渉が行われます。案件の初期段階では緻密な検討が重要で、これがクライアントの信頼獲得につながります。他方、交渉案件の終盤では、クライアントにとって譲れない核心的な利益を適切に見極めること、目線を合わせることが何よりも大切です。実際、交渉が長引くと調印予定日当日まで続くこともあり、クライアントもすべての論点に注力する時間的余裕はないので、重要度に応じて交渉に優先順序を設けます。その際、アドバイザー役として案件を俯瞰してきた弁護士の手腕が特に試されます。パソコン画面の拡大・縮小機能のように、適切な解像度で案件を分析することが重要です。質問を受けなくても先回りして論点、解決策を提示し、スピード感を持ってクライアントをサポートしていきたいと考えています」(保川弁護士)。

保川 明 弁護士

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 DATA 

ウェブサイトhttps://www.city-yuwa.com/

所在地・連絡先
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-2 丸の内三井ビル
【TEL】03-6212-5500(代表) 【FAX】03-6212-5700(代表)


所属弁護士等:弁護士189名(外国法事務弁護士含む)、外国弁護士4名、司法書士2名(2024年12月現在)

沿革:2003年東京シティ法律税務事務所(法律部門)とユーワパートナーズ法律事務所との業務統合によりシティユーワ法律事務所設立。2005年大場・尾崎・嶋末法律事務所と業務統合、2023年1月曾我法律事務所と経営統合

過去の主要案件:▽国内外の上場企業による企業買収案件▽日本企業のアジアでの合弁事業その他アジア進出案件を含む国際取引案件▽海外腐敗防止法案件▽コンプライアンス・社内調査案件▽不動産証券化や資金調達等の金融案件▽労務案件▽不動産関連案件▽民事再生手続申立等の企業再生案件等多数

受賞歴:ALB Japan Law Awards - Real Estate Deal of the Year、The Best Lawyers in Japan、Chambers GlobalおよびChambers Asia-Pacific、The Legal 500 Asia Pacific、IFLR1000 など

栗林 康幸

弁護士
Yasuyuki Kuribayashi

パートナー。大阪大学法学部卒業。92年弁護士登録。96年ペンシルバニア大学ロースクール卒業(LL.M.)。97年ニューヨーク州弁護士登録。クデール·ブラザーズ法律事務所ニューヨーク事務所および東京事務所等を経て現職。東京弁護士会所属。

野本 新

弁護士
Arata Nomoto

パートナー。一橋大学法学部卒業。97年弁護士登録。97~01年小中・外山・細谷法律事務所。02年ニューヨーク大学ロースクール卒業(LL.M.)。02~03年 Paul, Hastings, Janofsky & Walker LLP(現 Paul Hastings LLP)(ニューヨーク)。03年ニューヨーク州およびカリフォルニア州弁護士登録。04~10年ポールヘイスティングス法律事務所・外国法共同事業を経て現職。第一東京弁護士会所属。

田村 祐一

弁護士
Yuichi Tamura

パートナー。慶應義塾大学法科大学院修了。10年弁護士登録。10~14年荒井総合法律事務所、14~17年特許庁審査業務部商標課入庁(法制専門官として勤務)を経て現職。東京弁護士会所属。

保川 明

弁護士
Akira Yasukawa

パートナー。東京大学法学部卒業。13年弁護士登録。20年カリフォルニア大学バークレー校ロースクール卒業(LL.M.)。20~21年ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所(ニューヨークオフィス)を経て現職。第一東京弁護士会所属。