鳥の眼、魚の眼でチャンスとリスクを見極める
半世紀にわたり、企業を元気にすべく不断の努力を続ける“使用者側事務所の老舗”、弁護士法人髙井・岡芹法律事務所。従業員1万人超の大企業・病院・学校法人・団体・個人など、約300の顧問契約を締結している。使用者側に立つ意義を、岡芹健夫代表社員弁護士は次のように語る。
「個別社員の対応に関する問題について言えば、“適切な人材を採用し、正当に処遇し、問題のある社員は指導し、それでも改まらない場合は雇用終了へと向かう”――このプロセスを通して企業や社会の生産性を高めることに寄与してきました。企業の責務は、維持・発展していくこと。社会・経済情勢に応じて、従業員の処遇・配置・条件面・数も変えていく必要がある。それは、中長期的には従業員に対する責任であるともいえます」。
クライアントからの相談に対しては、“鳥の眼”と“魚の眼”で見ることが重要だと指摘。俯瞰的に見ることにより、リスクだけではなくチャンスを見つけ、案件に入り込むことで証拠を見落とさずに済むからだ。たとえば、訴訟上のやり取りだけではなく、相手方が社会や第三者に対して発信した内容を精査したことで、相手方の主張に矛盾を見出したこともあった。また、労働施策によって発展した他社事例を用いて類似性のあるクライアントの労働施策の正当性を認めさせた例もある。
クライアントへの好意と関心から生まれる“研鑽”
「クライアントに好意と関心を持つことにより、業界動向を収集して読み込み、状況を正確に把握する“たゆまぬ研鑽”が習慣化します」と語る岡芹弁護士だが、源泉は新人弁護士への指導教育にあると分析する。新人弁護士は、案件ごとに指導担当と直接担当で対応に当たるダブルアサインメントにより先輩弁護士の知識とノウハウを吸収し、判例解説等の執筆やセミナー講演を通じて問題点の抽出と自分なりの考えを整理する。この継続により、“手厚い”と評判の同事務所の顧客対応が伝統として引き継がれていくのだ。
岡芹 健夫
弁護士
Takeo Okazeri
代表社員弁護士。91年早稲田大学法学部卒業。94年第一東京弁護士会登録、髙井伸夫法律事務所入所。10年髙井・岡芹法律事務所に改称、同所所長就任。23年弁護士法人髙井・岡芹法律事務所に組織改編、同代表社員就任。第一東京弁護士会労働法制委員会委員、東京三弁護士会労働訴訟等協議会委員および経営法曹会議幹事等。主な著書に、『労働法実務 使用者側の実践知〔LAWYERS’ KNOWLEDGE〕〔第2版〕』(有斐閣、2022)、『労働条件の不利益変更 適正な対応と実務』(労務行政、2015)、『取締役の教科書〔第2版〕これだけは知っておきたい法律知識』(経団連出版、2023)、『雇用と解雇の法律実務』(弘文堂、2012)等。
著 者:岡芹健夫[著]
出版社:有斐閣
価 格:4,290円(税込)
著 者:弁護士法人高井・岡芹法律事務所[編]
出版社:民事法研究会
価 格:3,960円(税込)