堂島法律事務所 - Business & Law(ビジネスアンドロー)

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一般事件、刑事事件から企業法務まで人間力を磨く

“M&Aから刑事事件まで”―手がける業務の幅広さを謳う法律事務所の中でも、堂島法律事務所は群を抜く。「取引先が不渡りを出したが何とか債権を回収したい」「戦略的なM&Aを実施したい」といった専門性の高い相談から、「離婚したいが、どうしたらよいか」といった個人的な相談まで、設立から50年以上経った今でも当初のスタイルを守る。同事務所の若手弁護士は、刑事事件や一般事件を経験する中で、訴訟対応やクライアントへの対応力など弁護士としての基礎力を高めるという。主に事業再生を手がける柴野高之弁護士、野村祥子弁護士、奥津周弁護士は、法的知識だけでなく“人間力”が問われる場面を数多く乗り越えてきた。
「法的整理は金融機関や取引先、従業員への影響が大きく、そこに至る前の段階である私的整理で解決できるのであれば、それに越したことはありません。ただ、たくさんの利害関係者と長い時間をかけて話し合わなければならないことは同じです。以前、創設されたばかりの事業再生ADR制度を活用した案件では、手続や債権者とのやり取りは長時間に及び、非常に苦労しました。法律に照らし合わせて杓子定規に説明すれば納得してもらえるわけではありません。利害関係者はみな、感情を持った人間です。倒産法などの法知識はもちろん必要ですが、話し合いの進め方や落とし所は人としての経験がものを言います。まったく異なる分野の交渉経験が活きることも多く、幅広い案件に携われる当事務所ならでは、と考えています」(柴野弁護士)。
「以前、第三セクターの会社更生案件で、不動産を譲渡することになったのですが、譲渡先も行政であり、議会での議決が求められました。市民の代表である議員一人ひとりの了解を得るために、行政の担当者と議論・調整を重ね、またさまざまな場面で説明を尽くしました。政治的な面も考慮しながら解決していくことはとても貴重な経験になりました。
企業法務に関しては、一つの企業のご相談を担当する弁護士は一応決まっているものの、問題が複雑化した際には、より専門性を持った所内の他の弁護士と協働することもあります。多種多様な知見をかけ合わせ、何倍にも膨らませることができる総合力を重視しています」(野村弁護士)。
「学校法人の民事再生を担当した際、現場の教職員と議論を交わしながら再生を果たしたことがありました。理事長が逮捕され、理事会ではその後の経営権をめぐる内紛が巻き込まれる中、裁判所に選任された管財人団として、経営を改善することが使命でした。現場の教職員の話に耳を傾け、力を合わせて多くの問題を解決していくことで、現場から地道に改善していくことができました。私的・法的を問わず、倒産をめぐる事案は知恵が重要であると考えています。債権者や取引先などさまざまな利害関係が渦巻き、時間も限られる状況で、話を聞いて、瞬時にアイディアを思い浮かべられるセンスは、経験の蓄積によって得られるものです。こうして磨いた知恵は平時の業務にも活き、経営者と直接話すことができる中小企業へのアドバイスにも反映できています」(奥津弁護士)。
こうした知見は、ニュースレターとして発信されている。個々の悩みから企業間の紛争まで、あらゆる相談に向き合う姿勢のあらわれといえよう。

国際的な紛争案件も多数手がけアジア諸国の案件に注力

「設立以来、国際案件を手がける弁護士の育成に努めてきました。直近では日本企業がアジア諸国に進出する際のサポートに注力すると同時に、日本国内でビジネスを展開する外資系企業のサポートも継続しています」。安田健一弁護士は、香港や北京、タイなど各国での業務を経験し、ビジネスの現場を目の当たりにしてきた。
「我々は、日本企業の海外案件と外資系企業の日本国内案件のどちらにも豊富な経験を持ち、国際的な売買契約締結、販売代理店契約交渉に加え、国際的なM&Aを絡めた進出・撤退案件を数多く取り扱ってきました。また、紛争解決案件の対応にも実績があり、外資系企業や外国人が当事者となっている日本国内の訴訟案件、紛争案件も多数解決しています。法律事務所の世界的なネットワークであるWorld Link for Lawにも参画し、クライアントの要望に応え続けています」(安田弁護士)。

顧客、社会に望ましい金融商品は何か規制庁の経験を踏まえて俯瞰する

「財務局で地方銀行や信用金庫、信用組合、証券会社、ファンド、保険会社、貸金業者など、さまざまな業態の金融機関に対する監督業務や立入検査、訴訟案件への対応といった幅広い業務に携わってきました。このようなバックグラウンドを活かしつつ、フィンテック事業者などにも規制面からアドバイスしています」。柳勝久弁護士は、業法の遵守などを監督する側に立った経験を活かし、クライアント側にも寄りすぎない立ち位置を意識する。
「金融機関は、“法令を遵守さえすればよい”ということはありません。“販売する商品が顧客にとって望ましいか”“社会の要請に耐えうるものか”といった視点が重要です。例えば、かつてもてはやされた仕組債は今や疑問符がついています。このような疑問は、金融機関の内部から浮上し、自律的な検討、改善がなされることが本来望ましいといえるかもしれませんが、内部にいるからこそ見えにくいこともあります。法律家、規制する側の両方の視点を持ち、さらに市民としての視点を踏まえた、客観的なアドバイスを心がけています」(柳弁護士)。

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 DATA 

ウェブサイトhttps://www.dojima.gr.jp/

所在地・連絡先
■大阪事務所
〒541-0041 大阪府大阪市中央区北浜2-3-9 入商八木ビル
【TEL】06-6201-0361 【FAX】06-6201-0362
■東京事務所
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-2 高橋ビル
【TEL】03-6272-6847 【FAX】03-6272-6848


主事務所の所属弁護士会:大阪弁護士会

所属弁護士等:弁護士29名(2022年12月現在)

沿革:1965年設立。2010年東京事務所開設

過去の主要案件:▽法的倒産、私的整理案件に多数関与▽株主総会指導等の上場企業法務▽金融法務、証券訴訟▽M&A▽仲裁、紛争、海外進出・撤退を含む渉外法務▽人事労務▽その他企業法務全般

柴野 高之

弁護士
Takayuki Shibano

京都大学法学部卒業。98年弁護士登録、堂島法律事務所入所。07年宅地建物取引主任者登録。13年経営革新等支援機関認定。主な取扱分野は会社法務、商事、倒産処理、企業再生、民事、家事、刑事。東京弁護士会所属。

野村 祥子

弁護士
Sachiko Nomura

大阪大学法学部卒業。00年弁護士登録、堂島法律事務所入所。大阪大学大学院高等司法研究科、同志社大学法科大学院、京都大学大学院法学研究科にて招聘教授・非常勤講師を務める。主な取扱分野は会社法務、事業再編・M&A、事業再生・倒産処理、民事。大阪弁護士会所属。

奥津 周

弁護士
Shu Okutsu

京都大学法学部卒業。04年弁護士登録、堂島法律事務所。大阪大学大学院高等司法研究科で客員教授を務める。主な取扱分野は債権保全・回収、倒産処理・事業再生、不動産全般、会社法務、民事、刑事。大阪弁護士会所属。

安田 健一

弁護士
Kenichi Yasuda

京都大学法学部卒業。10年弁護士登録、堂島法律事務所入所。17年ニューヨーク大学ロースクール修了(LL.M.)。18年ニューヨーク州弁護士登録。2017年公認内部監査人、2019年公認不正検査士登録。主な取扱分野は渉外法務、労働(主に使用者側)、M&A・事業承継、商事紛争、商事・企業法務全般、民事、倒産処理、行政。東京弁護士会所属。

柳 勝久

弁護士
Katsuhisa Yanagi

大阪大学経済学部卒業。神戸大学法科大学院卒業。08年弁護士登録。12年財務省関東財務局などを経て、15年堂島法律事務所。2014年中小企業診断士、2021年公認不正検査士登録。主な取扱分野は金融法務、不正調査その他コンプライアンス関連業務、スタートアップ支援、Ⅿ&A、倒産処理・事業再生・事業承継、ほか企業法務・民事事件全般。大阪弁護士会所属。

『条解破産法〔第3版〕』

著 者:伊藤眞・岡正晶・田原睦夫・中井康之・林道晴・松下淳一・森宏司[著]
出版社:弘文堂
価 格:22,000円(税込)

『Q&A 改正公益通報者保護法』

著 者:中原健夫・結城大輔・横瀬大輝・福塚侑也[著]
出版社:一般社団法人金融財政事情研究会
価 格:2,200円(税込)

『東南アジア4か国のジョイント・ベンチャー法制と実務対応―インドネシア・マレーシア・タイ・ベトナム』

著 者:公益財団法人国際民商事法センター[監修]、アジア・太平洋会社法実務研究会、法務省法務総合研究所国際協力部[編]
出版社:商事法務
価 格:4,620円(税込)