国内外で拠点拡大 フルカバレッジ体制をより強化
2025年、国内外における拠点の拡大と専門性の強化を一段と加速させた三浦法律事務所。シアトルやバンコクに拠点を開設したほか、クアラルンプールやマニラの現地法律事務所とも提携を開始し、さらにテキサスオフィス、香港オフィスの開設も予定している。また、国内においては、大阪にオフィスを開設した。
同事務所は2019年1月、約30名の弁護士によって設立された。“新時代のプロフェッショナルファームを作る”という理念のもと、コアバリューを“Full Coverage & Top Qualityの実現”“Diversity & Inclusionの実践”として掲げ、多様な専門性を持つ弁護士が集結している。弁護士数は設立から7年で132名と4倍以上に増加し、組織としての成長も目覚ましい。
大阪オフィス所属、また事務所設立時からのメンバーである今村潤弁護士は「我々は比較的新しい事務所であるからこそ、“Diversity & Inclusionの実践”に象徴されるように、フラットな組織体で多様な意見が生まれるという強みがあります。加えて、“Full Coverage & Top Qualityの実現”をスピーディに提供することで、“新しい選択肢”をクライアントに提示できていると感じています。その結果として現在多くのご依頼をいただいており、また、この理念や組織のあり方に共感する多くの弁護士が集まってきているのではないかと考えています」と語る。
クライアントの目的に応じて最適なリーガルサービスを提供することを目指す同事務所では、あらゆる分野の専門性を持つ弁護士を集めるだけでなく、事案ごとに各分野のプロフェッショナルが最適なチームを組成し、密に連携をとることで高品質なサービスの提供を実現している点も特徴だ。
国際案件対応力の強化 米国拠点の拡大を目指す
海外における拠点の拡大について、塩川純子弁護士はその意義を次のように説明する。
「我々は各重要都市に拠点を設け、現地の法律実務に精通した弁護士を配置することで、真にシームレスなサービス提供を実現したいと考えています。これは海外進出する日本企業のアウトバウンド案件と、日本市場に参入する海外企業のインバウンド案件の両方に対応するためです」(塩川弁護士)。
2025年に相次いで拠点開設が進んだのは、これまで準備を重ねてきた計画が順次実現した結果だという。海外での実務経験が豊富な弁護士の参画もあり、クロスボーダー案件の対応力はさらに向上している。
2025年2月に開設された「Miura & Partners US」(以下「M&P US」)シアトルオフィスは、日本企業の米国進出やクロスボーダーM&A、現地法人設立などを中心に、雇用法、税務など国際ビジネス全般のリーガルサービスを提供する。M&P USサンフランシスコオフィスと緊密に連携しながら、日英のバイリンガルであり両国の文化を深く理解する米国現地弁護士が協業することによって、日米両方の法務・税務・商慣習に基づいた助言を可能にしている。
こうした米国市場への取り組みは、同事務所のグローバル戦略の中核を占める。米国拠点の重要性について塩川弁護士は「進出企業数や取引数、規模という観点で日系企業が最もエクスポージャーを持つのは米国市場です。今後も米国拠点は増やしていく方針です」と語る。
日本から弁護士を派遣するのではなく、各拠点において採用した現地の弁護士が中心となって業務を行う体制とすることで、単なる外部事務所との連携以上に、サービスの一体感と品質の向上につながっていると考えている。
「我々は一連の実務を現地で内製化することにより、質の高いリーガルサービスを競争力のある価格で提供したいと考えています」(塩川弁護士)。

塩川 純子 弁護士
アジア全域に広がる拠点網 M&Pアジアと連携し支援
三浦法律事務所は2025年10月にタイの大手法律事務所「Kudun and Partners」と戦略的提携を開始。同事務所との連携により、キャピタルマーケッツ、M&A、紛争解決、関税・国際貿易、税務など重要分野で、日本企業およびタイ企業へのサポートを強化する体制を整えた。
東南アジアの拠点新設・拡大の背景について、田中太郎弁護士はこう説明する。
「日本企業の進出先が中国から東南アジアへシフトする中、クライアントのニーズは多様化・増大しており、特にバンコクのような大都市はさまざまな企業が集まるため、リーガルニーズはますます高くなっています。たとえば私の専門とするサプライチェーンにおける労働問題や人権遵守もその一つです。また、現地での紛争解決においては、日本の訴訟システムとは異なる現地の法制度や実務を理解した専門家によるサポートが不可欠です。Kudun and Partnersのような大手事務所との連携は大きな強みになると思います」(田中弁護士)。
同事務所のアジア展開を支えるのが、法務・税務・財務の専門家が連携する総合コンサルティングファーム「M&Pアジア株式会社」(以下「M&Pアジア」)だ。同社は三浦法律事務所の東南アジアプラクティスヘッドパートナーである井上諒一弁護士をCEOとし、2021年に設立された。インドネシアやベトナムに現地拠点を構え、会社設立関連業務から会計・税務、日々の事業運営まで幅広くカバーする。
三浦法律事務所は同社と連携することで、既存の日系法律事務所がカバーしきれなかった領域までフルカバレッジで対応できる体制を実現している。現地での法務相談に加え、税務や財務の専門家をコンサルタントとして雇用し総合的なサービスを提供することで、クライアントの手間を省き、スムーズなビジネスの展開を支援する。
「対面で相談できる環境は、海外においては非常に貴重です。現地拠点があることでクライアントからの照会に即座に対応できる体制が整っており、日本国内のメンバーとしても大変心強く感じます。たとえば、日本企業のタイ子会社の設立案件では、三浦法律事務所タイオフィスの弁護士が現地でクライアントを支援しつつ、日々寄せられる会計・財務に関するご質問にもM&Pアジアから即座に回答するなど、きめ細やかなサポートを提供しました」(田中弁護士)。

田中 太郎 弁護士
香港を中華圏のハブに 進む拠点の設立準備
中華圏に対するアプローチとして、香港オフィスの開設準備が進む。同オフィスの立ち上げを主導するのが塩川弁護士だ。オフショアファンドや信託の組成といった専門性の高い分野で16年間にわたり香港の国際法律事務所で執務した経験を持ち、その知見を活かして香港オフィス設立の中核的役割を担っている。塩川弁護士は、事務所のグローバル戦略における香港の重要性を次のように語る。
「香港は近年中国本土との経済的結びつきが一層強化されており、中華圏ビジネスを支援するうえで戦略的に重要な拠点です。我々は現在速やかな開設を目指して手続を進めています」(塩川弁護士)。
近年は中国から日本へのインバウンド投資、特に不動産分野への投資意欲が非常に高まり、関連するリーガルニーズが急増している。こうしたニーズに応えるため、香港オフィスは中国語・英語・日本語の3言語に対応する体制で運営する予定だ。塩川弁護士がこれまで培った現地の法律事務所とのネットワークも活かし、クライアントの中華圏関連案件を包括的に支援していく。
大阪オフィスの開設 新しい選択肢の一つに
2025年10月、同事務所は国内6拠点目となる大阪オフィスを開設した。大阪オフィス所属の今村弁護士はその経緯をこう振り返る。
「私は三浦法律事務所設立メンバーですが、“地元関西に貢献したい”という気持ちがあったため、事務所設立時から大阪オフィス開業の構想はありました。まずは東京オフィスの基盤を固めることを優先していたところ、コロナ禍で計画が一時停滞し、コロナ明けに関西出身の松田誠司弁護士からの働きかけをきっかけに、計画が本格的に再始動したのです」(今村弁護士)。
同事務所の他拠点には、既存事務所との統合を経て生まれた例もあるが、大阪オフィスはあくまでもゼロから新規オフィスとして立ち上げられた。
関西圏には歴史ある法律事務所をはじめ、さまざまな規模の法律事務所が既に数多く存在する。その中で今村弁護士は、この地にオフィスを構える意義を次のように語る。
「当事務所のコンセプト自体が、“既存のサービスに新しい選択肢やサービス形態を提供すること”です。大阪でも事務所として掲げるコアバリューを実現したいですね。また、優秀な弁護士が多い地域でもあり、“この人と一緒に働きたい”と思える魅力的な方も多いので、人材確保の観点からも重要な拠点であると認識しています」(今村弁護士)。
大阪オフィスの立地は対面でのコミュニケーションも重視して選定されている。
「クライアントによっては対面でのやりとりを好まれる方もいらっしゃいます。その点も考慮して、アクセスのよいJPタワー大阪を拠点として選定しました。開設記念セミナーでは参加した企業の方からも“大阪に事務所が増えることはありがたい”“リアルで会いやすい”という声を寄せていただきました」(今村弁護士)

今村 潤 弁護士
将来は東京オフィスと同規模に 今後も魅力ある人材の増員へ
大阪オフィスの体制と今後の展望について、今村弁護士は「現在でも他オフィスと連携することで全分野をカバーできていますが、今後は大阪オフィスのみで全分野を網羅できるようにしたいですね」と語る。
“Full Coverage & Top Quality”を維持しながらも、フラットな組織体のもとでスピーディな意思決定と案件対応を目指すために規模の拡大も視野に入れているという。
「大阪オフィスに関し、人員規模の面でも東京に近づけていくことがあるべき姿だと考えています。また大阪オフィスだからといってサービスを関西のみに限定する必要はなく、全国的に活躍できる弁護士も歓迎しています」(今村弁護士)。
2025年4月に三浦法律事務所に参画した中山貴博弁護士は、データ利活用・個人情報保護、AIやサイバーセキュリティ分野を専門とし、企業のデジタル化に伴う法務課題や情報漏洩対応について、地域を問わず全国の企業へアドバイスや支援を行ってきた。
「今の時代は働く場所がシームレスになっており、私自身も業務に応じて各地を移動する生活になっています。そのうえで、“フィジカルに相談できる場所がある”という有益性は確かに存在すると感じており、大阪オフィスがそのような場としてクライアントの皆様にとってのよい選択肢になればと感じています」(中山弁護士)。
大阪オフィスでは中山弁護士が担当するデータ・テクノロジー分野に加え、今村弁護士が専門とする金融・税務分野では金融規制対応や当局対応、危機管理を含む包括的なサービスが提供される。また、知財分野を専門とする松田誠司弁護士により、知財争訟から契約・戦略立案などをカバーしたアドバイスも可能であり、その範囲は人員の増加に応じてさらに広がっていく予定だ。

多様な強みを持つ弁護士が個性を発揮し、彩り豊かな事務所となることを願って内装にも“カラフル”をテーマに取り入れた大阪オフィス
塩川 純子
弁護士
Junko Shiokawa
93年慶應義塾大学法学部卒業。95年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野法律事務所(当時)入所。98~99年欧州復興開発銀行出向。02年ニューヨーク州弁護士登録。10年香港外国法弁護士登録。09年以降香港・ロンドンのほか、アジア拠点にて投資ファンド・オフショア案件・紛争を多数担当。25年三浦法律事務所入所。
今村 潤
弁護士
Jun Imamura
10年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。11年弁護士登録(大阪弁護士会所属)。12~15年共栄法律事務所勤務。15~18年関東財務局統括法務監査官(北海道・東北・東海・北陸各財務局併任)兼証券検査官。19年三浦法律事務所設立、東京弁護士会所属、税理士登録。25年大阪弁護士会所属。
田中 太郎
弁護士
Taro Tanaka
10年早稲田大学法学部卒業。12年慶應義塾大学法科大学院修了。13年弁護士登録(第二東京弁護士会)。14~15年森・濱田松本法律事務所勤務。15~18年Freshfields Bruckhaus Deringer法律事務所勤務。19年New York University School of Law修了(LL.M. in International Legal Studies)。19~22年国連関連機関勤務。23年Legal Action Worldwide勤務。24年三浦法律事務所入所。
著 者:間瀬まゆ子[著]
出版社:一般財団法人大蔵財務協会
価 格:2,860円(税込)
著 者:峯岸健太郎[編著]、大草康平・金井悠太・迫野馨恵・辻勝吾・新岡美波・橋本基美[著]
出版社:商事法務
価 格:4,620円(税込)
著 者:池村聡・小坂準記・澤田将史[編著]
出版社:著作権情報センター
価 格:3,300円(税込)