法のプロが最前線で躍動する“消費者行政の司令塔”
消費者庁は、消費者が主役となって、安心・安全に豊かに暮らせる社会実現を使命として、2009年に設立された。表示・取引・安全をはじめとした消費生活に関する幅広い法律を多数所管している。
「消費者庁の役割は、常に消費者目線で、さまざまな課題に向き合い、国民の期待に応えていくことです。消費者をめぐる環境は、高齢化やデジタル化に加え、環境負荷の低減等による持続可能な社会に向けた取り組みが求められるなど、大きく変化してきました。目下、消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者契約法等の改正検討を進めています」(審議官・黒木理恵氏)。

黒木 理恵 氏
現在、消費者庁では、さまざまな課で計30名弱の弁護士等が特定任期付職員(任期は1~2年で設定されることが多く、採用日から最大5年まで更新可)として働いており、ロースクール修了者、司法試験合格者なども活躍している。
「行政での実務未経験者がほとんどです。また、子育て中の女性も多く活躍しています。法律の制定・改正や法律の執行に携わる経験は、任期終了後のキャリアアップ・転職においても高く評価されやすいポイントです」(総務課企画官併任新未来創造戦略本部総括室長・小田典靖氏)。
「消費者の生命・身体を脅かす消費者事故等の再発・被害の拡大の防止を目的とした調査等に携わっています。“誰が悪かったのか”を追求するのではなく、“なぜ事故が起きたのか”を科学的に調査し、同種の事故を繰り返さないための施策や措置を提言するという、これまでの経験を十二分に活かしつつ、誰かのケガの防止につながる仕事がここにはあります」(消費者安全課事故調査室課長補佐・竹重勇輝氏)。
「特定任期付職員として入庁しますと、弁護士業務である証拠収集や条文解釈などの“法を使う”という専門性を活かして働くことが基本です。その後、消費者行政の世界でもっと働きたいという場合には、プロパー(任期の定めのない職員)として採用された例もあります」(消費者安全課事故調査室課長補佐・兼髙淑江氏)。

兼髙 淑江 氏
「立法作業自体の経験がなくとも、法律の知識、リーガルマインド、法律が適用される現場での実務経験は大いに活かすことができ、立案を通じた社会的課題の解決に貢献できます」(消費者制度課政策企画専門官・伊吹健人氏)。
消費者はあらゆる法に関わる主体 “未来を守る”という誇り
消費者行政に携わるやりがいや、法律事務所所属弁護士との違いについてはどうか。
「弁護士の場合、証拠を得るために、有益な情報を探し出すことが重要です。一方、行政では、逆に情報量が多い中から重要性の順位づけや情報同士の関連性を考慮して正解へ導いていくことが肝要です。違う角度からの作業は新鮮ですし、視野が広がりますね」(黒木氏)。
「弁護士は被害から“救う”ことがメインの仕事ですが、行政は被害の“防止”ができます。被害の回復を完全に行うのは容易ではなく、やはり被害を防止することが重要だと考えています」(小田氏)。

小田 典靖 氏
「消費者事故に関して法に基づいて調査する権限、その結果に基づき関係行政機関の長等に意見具申をする権限があります。裁判は主として事後の救済が目的ですが、未来に向けて消費者の生命身体を守ることが消費者庁では可能です」(竹重氏)。
「法案段階で自分が書いた条文が六法全書に載って、それが実際に活用され消費者を救うことができる、ということに大きなやりがいを感じます」(伊吹氏)。
ワークライフバランスがとりやすい消費者庁で働くという選択肢
中央省庁というと、昼夜問わず働くというイメージもあるが、消費者庁でのワークライフバランスについて、竹重氏はこう語る。
「インフラ面では、勤務時間が決められていること、各種の休暇(年次休暇のほか、夏季休暇、病気休暇、介護休暇等の特別休暇等)が取得可能であることから、仕事以外の生活の時間が確保しやすくなっています。また、テレワーク環境や育児・介護との両立支援制度、各種福利厚生等も整備されています」。

竹重 勇輝 氏
「仕事の進め方の面では、普段から組織・チームで行うのが基本です。職員相互で協力し、役割を補い合うことで各人の状況に応じて柔軟に時間を使うこともなされています。自主的な勉強会を実施するなど主体性が尊重される風土ですので、学習・スキルアップの機会を増やすこともできます。実際に、法律事務所での勤務経験がある職員からもワークライフバランスがとりやすくなったという声があります」(伊吹氏)。

伊吹 健人 氏
昨今、裁判所・法律事務所・企業と、進路はさまざまあり、新卒・中途いずれのタイミングでも国家公務員として消費者行政に携わる門戸は開かれている。
「プロパーになると管理職への登用もあり、マネジメントの経験を持つことができます。また、自治体の長や副市長・副町長などとディスカッションする機会も多く、そういった経験を経て、よりよい消費者行政について検討していけるのも醍醐味ですね」(小田氏)。
「まだまだ十分に知られていませんが、司法試験に受かった後も国家公務員という選択肢があるのだ、ということをまずは知っていただきたいですね」(竹重氏)。
「プロパーの道に進む場合はもちろん、弁護士に戻る場合にも、消費者庁で培える専門分野に関する最先端の知識・ノウハウ、政策プロセスに関する知見等はとても役に立つと思います」(伊吹氏)。
「新卒の学部生やロースクール生も行政官として消費者庁は採用しておりますので、選択肢の一つとして考えていただけると嬉しいですね」(兼高氏)。
採用情報
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黒木 理恵
消費者庁審議官
Rie Kuroki
96年弁護士登録(大阪弁護士会)。弁護士事務所、特定任期付職員として内閣府消費者委員会事務局や男女共同参画局等を経て現職。消費者法の再編・拡充等の検討(消費者法制度のパラダイムシフト)や、新未来創造戦略本部に関すること等を担当。
小田 典靖
消費者庁総務課企画官併任新未来創造戦略本部総括室長
Noriyasu Oda
04年弁護士登録(愛知県弁護士会)。消費者庁では特定任期付職員から任期の定めのないプロパー職員となり、消費者制度課、表示対策課等を経て現職。新未来創造戦略本部では総括室長として、徳島等の実証フィールドを活用した先駆的なモデルプロジェクト、消費者政策研究、官民連携等の取り組みの展開等の取りまとめを実施。
竹重 勇輝
消費者庁消費者安全課事故調査室課長補佐
Yuki Takeshige
11年弁護士登録(第二東京弁護士会)。弁護士事務所、民間企業、市役所の特定任期付職員を経て、21年消費者庁に入庁。消費者庁では、事故調査室に在籍し、消費者安全調査委員会の事務局として、調査、意見具申等に関する事務を担当。
兼髙 淑江
消費者庁消費者安全課事故調査室課長補佐(総括担当)
Yoshie Kanetaka
14年消費者庁入庁。消費者制度課、総務課等を経て現職。消費者安全課事故調査室では、課長補佐として、有識者から成る消費者安全調査委員会の調査のフォロー、取りまとめ業務等を実施。
伊吹 健人
消費者庁消費者制度課政策企画専門官
Kento Ibuki
14年弁護士登録(京都弁護士会)。法律事務所、内閣府消費者委員会事務局(任期付職員)を経て21年消費者庁に特定任期付職員として入庁。26年1月より任期の定めのないプロパー職員となった。消費者庁では、消費者制度課に在籍し、消費者契約法や消費者団体訴訟制度等に関して、法案の企画・立案、制度の運用等を担当。