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弁護士としてのキャリア選択において重要な判断基準とは何か。本座談会では異なる特色の事務所で活躍する若手弁護士4氏をお招きし、“自分らしい弁護士ライフ”を実現するためにどのようなポイントで事務所選びを行ったか、入所後にどのような変化があったかなどを、語り合っていただいた。

事務所選びの経緯と重視した点

森脇弁護士 私は法律事務所の就活サイトで興味のある事務所に応募し、事務所訪問を重ねました。業務分野を絞らず、いろいろな企業法務に携わりたかったので、幅広く企業法務を扱っている事務所を重視したことを覚えています。ただし、取扱案件が多くても一人当たりの業務が細分化されている事務所もあるため、実際に先生方がどのような業務をしているかをよく確認していました。また、事務所訪問で先生方にお会いした際の雰囲気も重視しました。山下総合法律事務所を選んだ大きな決め手は、先生方が非常に穏やかで素敵な雰囲気だな、と感じたことです。

木村弁護士 事務所選びの際は、「アットリーガル」などの情報サイトを参考に就職活動を進め、そこで見つけた説明会に参加しました。重視した点は、人数が多すぎない規模感の事務所であること、そして特定分野に特化せず、得意分野はありつつも多様な業務を扱える事務所であることです。最終的に山下総合法律事務所に決めた理由は、やはり先生方の人柄です。“この先生方となら楽しくやりがいを持って続けていける”と感じたのが大きかったですね。

堀田弁護士 お二人は、事務所選びの際に、その事務所の特徴や強みをどのように見極めましたか。企業法務の事務所はたくさんありますが、どのように決め手を探したり調べたりしたのでしょうか。

森脇弁護士 私の場合、当事務所に関する記事が雑誌等で頻繁に掲載されていたため、そちらも参考にしました。伝統的な企業法務のほかに、先端的な業務分野も幅広く扱っているという点がポイントでした。木村さんはいかがですか。

木村弁護士 気持ちが動いたのは、ある説明会で当事務所の業務内容などについて直接お話をお聞きしたときですね。ワークライフバランスなどの情報も得られたので、よかったです。私は共に働く弁護士との相性も重要視していたので、面接でも詳細を確認しつつ、“この事務所だな”と確信していきました。

堀田弁護士 私は逆に、ネットや記事などでは、多くの事務所情報がありすぎて選べないと感じたので、エクスターンシップを通じて、実際に牛島総合法律事務所の内部を拝見しました。事務所選びで重視していた点は大きく二つあります。一つは、企業法務の中でも国際的な案件を担当できることです。渉外弁護士への憧れが根底にあり、ロースクール在学中もそのような弁護士像を目指して、国際的な案件を扱っている事務所を探していました。もう一つは、効率性よりも一つひとつの案件に時間をかけて取り組みたいという思いです。時間に対して業務量を効率よくこなす事務所が多い中で、じっくり取り組む風土があるところに行きたいというのがこだわりでしたね。

朴弁護士 私は“どういう弁護士になりたいか”という自分の未来像からスタートして法律事務所を探しました。もともと、労働者側の労働法務をやりたいと思っていたのですが、ロースクール在学中に企業法務弁護士や知人の経営者からさまざまな話を聞く中で、考えが変わりました。労働者側の代理人として労働者個人の権利を守ることも重要ですが、たとえば職場に問題社員がいると周りの社員が精神的に疲弊し、最悪の場合、真面目な社員の方が会社を辞めてしまうかもしれません。また、社内制度が正しく機能していなければ、そこで働く大勢の社員が不利益を被ることになります。そうした話を聞き、企業側で労働法務に関わることで、より多くの人々の助けになることができるのではないかと考えるようになりました。それに加えて、弁護士になるからには法廷に立ちたい、英語案件も扱ってみたいという思いもありました。そこで、その三つを実現できる事務所を探したときに、Vanguard Tokyo法律事務所がバシッとマッチしました。

事務所の傾向や雰囲気のつかみ方

朴弁護士 法律事務所の情報は雑誌記事やウェブサイトから得ることが大半でした。東京大学ロースクールには、中小規模の法律事務所を訪問する「TIX」というサークルがあったので、そこでもさまざまな法律事務所の弁護士から話を聞くことができましたが、それ以外には弁護士から直接話を聞ける機会はなかったかと思います。皆さんは、説明会にはどの程度参加しましたか。

堀田弁護士 誰もが知っている大手事務所の説明会には、いくつか参加しました。しかし、どこもフルカバレッジを謳っているので、実際何に自分が携わることにできるのか、よくわからないというのが率直な感想でしたね。そこからは、実際に自分が会えた弁護士の先生方や、実際に訪問して内情をうかがった事務所を中心に進路を考えていこうと思うようになりました。

朴弁護士 やはり、実際に働く先生方と直接話してみないとわからないですよね。

堀田弁護士 そうですね。ギャップも怖いなと思っていました。説明会で会う人は事務所のほんの数人ですが、実際に中で働くと、最初は知らなかった多くの先生方と働くことになるので、人を見ることは重視していました。

木村弁護士 私の場合、複数の事務所が合同で開催している説明会に参加しました。連続して複数の事務所の説明を聞いていると“この人は雰囲気が合いそうだな”“この事務所はちょっと厳しそうかな”と比較できます。それに加えて、実際に事務所の人と面接やインターンシップ(以下「インターン」)で話さないとわからないというのは、そのとおりだと思います。

入所後の業務内容とワークライフバランス

朴弁護士 Vanguard Tokyo法律事務所は、労働法務に特化したいわゆるブティック系事務所です。時期にもよりますが、私が携わっている案件の6~8割は労働法務に関わる案件です。専門性を早く身につけられるという点で、思い描いていたとおりの環境でした。事務所選びの際は、案件の周縁部分だけをやっていても大局的な物の見方は身につかないと思っていたので、なるべく案件を自分でコントロールできるよう、中小規模の事務所を候補にしました。実際に入ってみると、案件は基本的に自分とパートナーの二人で担当します。あらゆるメールやドラフトは自分が一から作成し、直接パートナーから指導を受けるため、早期に成長できる環境です。一方で、大手には大手の良さがあると思います。大手法律事務所に入所した同期は、チームを組んで一つの案件に取り組むことに魅力を感じており、業務内容についての不満は聞きません。

堀田弁護士 私も実際に入ってみて、業務分野でのミスマッチはありません。もともと、“国際的な案件を担当したい”と希望を伝えていたところ、海外の紛争案件にアサインしてもらい、1年目から何件か担当しました。また、当事務所は部門制がないので、最初にやりたいと思っていたことと違ったり、逆に新しい分野に興味が出てきたりしたときには、パートナーに伝えればすぐに事務所内で共有し、興味分野に合う案件があればアサインしてくれる環境があります。自分の就活のときには、ワークライフバランスについてあまり気にしていませんでしたが、今は就活生の訪問を受ける側として、聞かれたからといってマイナスに評価することはまったくありません。事務所全体で、生活と仕事を両立することは重視していますので。

森脇弁護士 私も仕事は頑張りたいし、経験を多く積みたいと思っていましたが、あまり体力があるほうではないので、長く続けるためにある程度働き方を気遣ってくれる事務所がよいなと思っていました。実際に事務所訪問で若手の先生方とお話しする機会があったときには、「どれくらい働かれているのですか」と、遠回しな質問から業務量を推察するようにしていました(笑)。

朴弁護士 私は、最初の数年は無我夢中で働こうと思っていたので、事務所選びの最中は、業務量についてはさほど気にしていませんでした。とはいえ、働いているばかりだと“良い書面”は書けませんし、入所した弁護士がどのように働いているかを確認しておくことは大事だと思います。

堀田弁護士 コロナ禍を経てリモートワークが進んでいるので、用事があれば早めに事務所を出て家で仕事を続けることもできます。皆さんはリモートワークをよくされますか。

森脇弁護士 1年目なので、今はなるべく事務所に行って先生方とお話ししたり、事務所の資料を読みたいと思っていますが、当事務所はリモートワークにしても事務所ワークにしても、自分に合った働き方を見つけていくことが推奨されているので、ほとんど自宅で仕事をされている先生もいます。お子さんの学校行事や病気などの事情に合わせてリモートワークをするなど、先生ごとの事情に応じて使い分けているイメージがあります。

朴弁護士 私の事務所では、基本的にはオフィスでの勤務が求められているので、皆、事務所に来ています。ただ、幼い子どもがいる同僚などは、自由に出勤時間を調整していますし、必要なことさえやっていれば、何時に帰ろうが誰も気にしないので、オフィス出社が負担だということはありませんね。

木村弁護士 コアタイムも設けられていないのですか。

朴弁護士 はい、そこは完全に自由で、弁護士の裁量に任されています。

今後のキャリアと仕事への姿勢

森脇弁護士 今はコーポレート分野中心でM&Aや株主総会、株式報酬などを取り扱っていますが、ゆくゆくは業務分野を絞って強みを見つけていきたいと思っています。先輩の先生方を見ていると、証券会社や民間企業に出向されている方もいるので、そうしたチャンスも活かして自分の強みを作っていきたいです。

木村弁護士 私はまだ1年目で、目の前のことで精一杯なところもありますが、得意分野を持ちつつも幅広い分野についてアドバイスできる弁護士になりたいと考えています。事務所のメイン分野以外でもいろいろなところに目を配りたいですね。

堀田弁護士 若いうちはさまざまな案件を経験したいと思っています。シニアアソシエイト、パートナーへと進む過程で、自分の強みを見つけていきたいです。事務所には出向や留学の選択肢もあるので、事務所外での経験も積みながら専門性を考えていこうと思います。

朴弁護士 私はおそらく数年後には留学に行くと思いますが、そこで英語力を高めて、帰国後は自分で英語会議をハンドリングできるようになりたいです。業務分野についても、労働法務のスペシャリストとして、引き続き専門性を高め、いずれ事務所のパートナートラックに乗れるよう励んでいきたいですね。

森脇弁護士 クライアントとの向き合い方について、面接の際に先輩方が「お客様の困りごとに寄り添い、人対人の関係を大切にしながら解決していきたい」と力強く語られていたのが印象的でした。私もお客様と近い距離で、悩みに寄り添いたいという気持ちがあります。

木村弁護士 当事務所の理念で私が特に共感しているのは、“お客様の相談に対して一歩先の回答をする”ことです。依頼された事項だけでなく、“こういうことで困っているだろうな”と想像して案件に取り組んでいきたいですね。上の先生方の仕事ぶりを見習って学びたいと思っています。

堀田弁護士 大事な視点ですよね。当事務所は、モットーとして“完璧な仕事をする”ことを掲げています。ある案件で方針を決める際に、議論を尽くしたうえで“弁護士としての妥当なアドバイス”と“100%問題がないわけではないが、クライアントが本当に求めていること”のどちらをとるか、若手弁護士も積極的に意見を出しつつ考え抜いて方針を決めたことがありました。迷うときは“依頼者だったら何をしてほしいのか”を考え続けて仕事をしていきたいです。

朴弁護士 クライアントのタイプによっても、寄り添い方が変わりますよね。当事務所のクライアントの多くは外資系企業で、法務担当者が海外にいることも多くあります。法的なアドバイスを求められた際に、日本の法律をダラダラ説明しても外国人には伝わりません。そのため、相手が何が知りたいのかを見極め、簡にして要を得た回答をするよう心がけています。

ロースクール生・修習生へのアドバイス

堀田弁護士 ロースクール生活を振り返って、司法試験以外の科目ももっと勉強しておけばよかったと思います(笑)。実務では、多様な分野の知識が役に立つと痛感します。時間があるうちに幅広く目を向けてほしいですね。また、就活の軸として、自分の興味分野を持っておくことは大事です。私は漠然と国際案件を担いたいという希望しかなかったので、自分も軸を持っていればよかったかなと思います。

朴弁護士 これは私が先輩弁護士からアドバイスされたことなのですが、「入所後に取り扱わなさそうな法分野こそ、一生懸命学んでください」と伝えたいですね。事務所に入れば、そこで必要な知識は自然と身につきます。私は、当事務所では刑事事件を扱うことはあまりないと聞いていたので、修習中はむしろ刑裁修習や検察修習に力を入れましたが、そこでの知見は、クライアントから“社員が犯罪を起こした”“犯罪に巻き込まれた”などと相談があったときに、とても役立ちました。

森脇弁護士 私は就活の際に、もっとインターンに参加してもよかったなと思っています。今の事務所は良い事務所だと感じていますが、同期の話を聞くと、インターンで内部を見ていた人は安心して入所して、イメージのギャップがなく働けているので、内部を知る良い機会として参加をおすすめします。

木村弁護士 事務所選びで重視したのは所属する方々の人柄ですが、それは接する機会が多くないとわかりません。インターンや説明会には行った方がよいですし、友人との情報交換も積極的に行うべきです。私自身は、そこまで手が回りませんでしたが、噂レベルの話でも頭の片隅に置いておき、実際はどうなのかを内部の人にきちんと確認するという姿勢があると、自分に合った事務所が見つかると思います。

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東京大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了。22年弁護士登録(第一東京弁護士会)、Vanguard Tokyo法律事務所入所。主な取扱分野は労働法・一般企業法務。整理解雇や能力不足等を理由とする解雇事件、残業代、労災、懲戒処分、パワハラ、セクハラなどに関する労働紛争を多く取り扱うほか、雇用に関連するさまざまなアドバイスを提供している。

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