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FPSO事業を展開する日本唯一の企業を“プロジェクト法務”の力で支える

FPSO(Floating Production, Storage and Offloading system)=浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備、というものをご存じであろうか。FPSOは、海洋油田・ガス田のある洋上で石油・ガスを生産するための浮体式設備であり、生産した原油を船体内の貯油タンクに貯蔵し、輸送タンカーへと積出す。長いもので20年以上洋上での生産活動を行う、というビジネスである。
三井海洋開発株式会社(以下「MODEC」)は、世界各国の海洋石油・ガス生産プロジェクトに対し、FPSOを提供する日本で唯一の企業だ。また、MODECは自前の工場を持たないファブレス経営を行っており、世界中の多様な協力会社・下請企業のマネジメントが事業運営の柱の一つとなっている。このビジネスを支える法務機能は、①顧客である石油会社との傭船契約、EPC契約、操業保守点検(O&M)契約のレビュー、交渉、②顧客との契約条件を踏まえた、JVパートナー・造船所・下請企業・サプライヤー等との株主間契約、建造請負契約、機器購買契約、その他各種業務委託契約のレビュー、交渉サポート、③FPSO/新規事業に向けたR&Dに関する契約サポート、④トラブル・紛争の対応サポート、など多岐にわたる。
「数千億円規模にも及ぶ巨大なプロジェクトを進める中で、法務・契約リスクマネジメントは非常に重要です。法務部員には、バックオフィスとして法的分析をするだけでなく、海外に点在するプロジェクトチームをサポートしながら、MODECとして受容可能なリスクは何であるのかを一緒に突き詰めていくことが求められます。まさに“プロジェクト法務”が中心であるといえます。そのためには、現地へ赴いて、世界各国に所在する関係者と膝を突き合わせて議論を交わすことも厭いません」(法務&プロジェクト管理部副部長・杉村一平氏)

杉村 一平 氏

世界中を駆けめぐりビジネス目線でプロジェクトをサポート

MODECの海外拠点は日本を含めて世界18か国をカバーしており、それぞれの現地にも法務機能が設置されている。グローバルヘッドクォーターである東京本社の法務&プロジェクト管理部は、2024年に従前の法務部主幹業務から対応領域を拡大。従来の法務Groupに加えて、客先、外注先とのCommercial issueへの対応を中心に、輸出管理体制整備や紛争対応にかかる事実証拠収集、整理といったサポートまでを担当するプロジェクト管理Groupが創設されている。二つのGroupが緊密に連携をとりながら、主にシンガポール、マレーシアでのEPC(FPSO建設工事)業務を対象として、プロジェクトの遂行を支える。
「EPCの担当者からは、毎日のように契約レビューの依頼があります。また、入札案件が始まると、ヒューストンのProposalチームやO&Mチームとの橋渡しも行います。オンラインでの会議だけではなく、現地に行くことも多いですね。契約書一つとっても数百ページにわたるものもあり、論点や双方の要望が複雑になるので、どのように交渉していくかを考えることは、難しくも楽しい仕事です」(法務&プロジェクト管理部・藤原諒太氏)
「プロジェクトを行う国・地域によって、独自の法制・規定があります。この対応には、実際に手続等を担当する現場の意見を聞く必要があります。プロジェクトに関わる人々は複数の国・地域にまたがり、さまざまな法域の問題を、時差も考慮しながらコーディネートしていくのは大変ですがやりがいを感じます」(杉村氏)。
こうした世界を股にかけたプロジェクトを推進していくためには、①海外の法律に関する知識を積極的に習得し、それを事業・業務に活かす力、②部門や組織の壁にとらわれずオープンにコミュニケーションをとれる力、③大きなプロジェクトの一員となってさまざまな問題に立ち向かい、経験を積み重ねて成長していくという働き方を楽しめること、が大切だと杉村氏・藤原氏は語っている。

“自分で何かをやり遂げたい”“チャレンジしたい”という気持ちが何よりも大切

MODECの事業を法務面から見てみると、設備の種類と購入先の多さ、建設事業・海事・保険関連の複雑さ、さらにはプロジェクト先の国・地域の法制の理解という他の事業には見られない難易度が待ち受けている。しかし、それは別の角度から眺めれば、プロジェクトの始まりから終わりまで一貫して体験できるという醍醐味と捉えることもできる。
「自分の手を動かして、自分の足で情報を稼ぐ。良くも悪くも定型対応がない事業なので、プロジェクトが達成できたときには、これは間違いなく自分がやった仕事だという自信にも誇りにもなります。それが大きな魅力であると思っています」(藤原氏)。

藤原 諒太 氏

法務&プロジェクト管理部では、海外の法務チームへの出向や他の職種への異動についても広く可能性があるという。それは多彩な体験を経て、再び法務を担うことがMODECの事業を考慮したときに有意義だという考えがあるからだ。そして、杉村氏はMODECが望む人物像を次のように語っている。
「いわゆるコーポレートローヤーというのではなく、現場と話をし、現場が何を考えてどのように回っているのかというところに想像力を働かせて、ビジネスの一部となって動いていける。そのような思考や立ち回りができれば、これほど面白い仕事はほかにはないでしょう。英語力も海外法制も入社してから学んでいけば問題ありません。主体的に挑戦する姿勢が最も重要だと考えています」(杉村氏)。

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杉村 一平

三井海洋開発株式会社 法務&プロジェクト管理部副部長
Ippei Sugimura

11年入社。シンガポール、ブラジル、中国の子会社、造船所においてFPSO建造、Operationにかかる現場Control業務、Operation Control Teamの統括業務を経て、法務部に異動。25年より現職。

藤原 諒太

三井海洋開発株式会社 法務&プロジェクト管理部
Ryota Fujiwara

22年入社。入札案件、EPC期間中の下請契約交渉、本社におけるR&D案件、傭船終了後FPSOの売却・解体に関する案件など、幅広い分野での契約サポートを担当。