© Business & Law LLC.

ログイン

商社の枠組みを超える価値創造企業グループへ

日本を代表する総合商社である丸紅株式会社は、GC2027(中期経営計画2025~2027年度)において、資本の重点配分を従来の業種や地域といった領域軸に基づくポートフォリオから変更し、戦略的プラットフォーム型事業を強化。いわば安定志向から成長志向への変革を行った。これにより、“時価総額10兆円”という経営目標が設定された。その経営指針を法的側面からサポートする法務部の目指す姿が“PartnerとGuardian”である。法務機能に対しては、車でいうブレーキのような牽制役である“Guardian”となることが伝統的に求められてきた。しかし、同部においてはそれにとどまらず、良質なビジネスの創出のために営業部を後押しし、訴訟や紛争の際にはその解決に奔走する。その結果、企業価値を最大化することを目指す“Partner”となることを併せて標榜している。
「私たちのビジネスでは、マーケットプラクティスがまだ確立されていない分野を取り扱うことがよくあります。その際は、可能な限り資料を集めて検討したり、関連分野のプラクティスから類推したりすることにより、リスクを明確にし、経営判断に資する提案をしていきます」(法務第二課長・弘世和久氏)。

弘世 和久 氏

「案件ごとの営業部の意向を重視することを常に心がけています。法的に困難な場合であっても単なる差し戻しではなく、他のスキームがないかを共に検討し、可能性を探ります」(法務第二課・都築啓氏)。

“Global crossvalue platform”の追求 法務機能の基盤は分厚い人材育成制度

グローバル展開を図るビジネスを支える法務機能は、営業部門ごとに法務第一課から第四課および海外現地法人の法務チームによって編成されており、弘世氏や都築氏が属する法務第二課は電力・インフラサービス部門を担う。その他、法務部内には、コーポレートガバナンス体制の構築・運営、株主総会・取締役会などの事務局、社内規程、各管理部門の調整を所管する総務課が設置されている。
そして、もう一つ特徴的なのが、戦略企画・人材開発、システム導入・運営を担当する「企画・開発課」の存在だ。同課主導で導入した丸紅法務部独自の案件管理システム(通称「MMS」)により、案件ごとのナレッジが蓄積・可視化され、業務効率化や人材育成に大きな力を発揮している。
「丸紅グループを一つのプラットフォームとして捉え、グループの強み、社内外の知、一人ひとりの夢や志、さまざまなものを縦横無尽にクロスさせて新たな価値を創造する“Global crossvalue platform”の追求が全社方針です。それに基づき法務部としての“ビジョン”を作成し、その内容を踏まえた本人とマネージャーの対話によって、個人レベルでのゴールである“ミッション”に落とし込みます」(弘世氏)。
部内の研修に関しては、毎月1〜2回ペースの分野別・レベル別のプログラムを作成。講師は、テーマに関連する案件を実際に担当した者が担うことも多い。
「研修は、当時の悩みや実情を直接聞ける点が有意義だと感じています。教科書的な知識だけではなく、どのようなところで苦労したかなど書面で拾いきれない生の声を体感することができるからです。また、研修以外でも、MMSを活用することで経緯を含めた知見を吸収できるようにしています」(都築氏)。

都築 啓 氏

このほか、1年目の部員に対しては、インストラクターとして先輩社員がついて指導するほか、本人の成長に応じて、米国のロースクールへの留学や、中国・ブラジル等へのビジネストレーニー制度も活用されている。
加えて、キャリアパスも柔軟に設計することが可能だ。丸紅の事業全体を理解することを視野に入れ、法務部内の各課間や海外現地法人の法務チームへの駐在、さらには、法務部以外への管理部門や事業会社への出向などの異動についても、部員の意向を踏まえつつ、積極的に行われている。
働き方については、総合商社という業態から時差等に起因する激務が想像されるが、フレックスタイムや在宅勤務等、柔軟な制度が整備されており、実際、これらを活用しながら子育てと両立している部員も多く、効率的に業務を進める意識が浸透しているという。

商いは“飽きない” 多様な事業を一気通貫で経験

大手法律事務所での経験を有する弘世氏は、丸紅法務部でのやりがいを次のように語る。
「取り扱っているビジネスの幅が広く、しかも経年で変化していくため“飽きない”ことです。また、グローバルでの投資案件の初期段階からクロージングまでを一貫して経験できることも醍醐味ですね」。
一方、都築氏は、2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法への対応を含む取引・契約案件に携わり、必要に応じて商流や契約スキームの見直しも検討している。案件対応を通じて、営業担当者との間で一度築いた関係を長期的に継続していくことで、ビジネスを深く理解し、課題を汲み取り、より踏み込んだ関与ができるのではないかと考えており、そこに魅力を感じている。
最後に、求められる人物像を弘世氏に聞いた。
「商社パーソンとしてのマインドを重視しています。企業価値を上げていくという意識、新しい分野にも好奇心を持って取り組み、とれるリスクは適正にとっていくという姿勢が重要です。また、営業や外部弁護士とのコミュニケーションがとれ、場面に応じて案件を仕切っていく積極性も求められます」。

採用情報

丸紅株式会社の採用情報はこちら

→『RECRUIT GUIDE 2026』を「まとめて読む
他の事務所を読む

弘世 和久

丸紅株式会社 法務部法務第二課長 弁護士・ニューヨーク州弁護士
Kazuhisa Hirose

05年弁護士登録(第二東京弁護士会)。大手法律事務所に入所し、米国ロースクールへの留学、大手電力会社等への出向を経て、17年丸紅株式会社入社。本社法務部における複数の営業部署の法務業務担当、丸紅欧州会社(ロンドン)駐在を経て、25年より現職。電力・インフラサービス部門に関する法務業務全般を担当。

都築 啓

丸紅株式会社 法務部法務第二課 弁護士
Kei Tsuzuki

25年弁護士登録(東京弁護士会)。司法修習後、25年4月丸紅株式会社入社。法務第二課に所属し、電力・インフラサービス部門に関する法務業務を担当、現在は主に水力・風力発電を中心に電力案件に携わっている。