平山法律事務所〒103-0028 東京都中央区八重洲1-4-16 東京建物八重洲ビル3階 +OURS八重洲内TEL:03-6823-5318(代表)URL:https://hirayamalawoffices.com/する独占禁止法上の考え方」を2023年に策定・公表し、2024年4月に改定した。このガイドラインについて、平山弁護士は「独禁法の理論を理解していなければ、内容を読み解くことはかなり難しいでしょう」と評価する。弁護士など独禁法分野に知見を有する専門家からのサポートを受けながら正当性について説明を準備し、そのうえで公取委と相談して“適法である”というお墨つきを得る、という手順をきちんと踏むことが重要だという。 「業界全体での取組みにおいては、同業他社との共同の取組みが生じるでしょうから、カルテルの観点からリスクを検討することが必要です。このとき、各社がたとえば“業界トップ企業の法務部に判断を任せてこれに盲目的に従う”ということでは、個々の企業におけるコンプライアンスの遵守が十分であるとは言いがたいでしょう。カルテル規制のリスクと正当性の主張について各社がそれぞれ検討して判断することが重要です」(平山弁護士)。 脱炭素やグリーン社会実現へ向けた業界を挙げての取組みに関する独禁法の観点からの議論は欧州が先行しており、「日本は欧州における議論の蓄積から学ぶ必要がある」と平山弁護士は指摘する。 「欧州当局による判断の内容は、日本における検討のベンチマークになります。欧州など海外では、SDGsのさまざまな項目のうち、まずは環境保護にフォーカスを当てた議論が深化しており、日本でもまずは脱炭素やグリーン社会の実現という環境分野の検討に専念することになるでしょう。また、将来的には、SDGsの他の項目についても関心や議論が広がっていくことと思いますが、海外の最新の議論をウォッチし理解するには相応の労力を要しますし、日本の実務へ応用するには日本特有の事情を踏まえた検討も必要です。私は研究者および独禁法弁護士として論文を日々チェックし、海外や国内の研究会でネットワークを構築していますので、リサーチに時間をかけず、タイムリーに助言を差し上げることができます」(平山弁護士)。わかりやすく説明するためのサポートを提供することが、代理人弁護士には求められています。審査対応においては、豊富な経験が不可欠であることは言うまでもありませんが、海外の知見から得られたヒントが突破口となることもあります」(平山弁護士)。 平山弁護士は、公取委が調査協力減算制度を適用して審査を終了した第1号案件、公取委が確約計画認定や審査打切を公表したさまざまな不公正取引案件など、前例が少ない分野を含むさまざまな案件において、審査対象事業者や申告人の代理人を務めてきた。 「多数の案件を自ら経験するとともに研究者としての知見も備えた独禁法弁護士として、公正取引の推進をサポートしていきたいと考えています」(平山弁護士)。平山 賢太郎Kentaro Hirayama01年東京大学法学部卒業。02年弁護士登録(第二東京弁護士会)。07~10年公正取引委員会事務総局(審査局審査専門官)。10年Slaughter and May法律事務所(英国)競争法グループ出向。22年筑波大学大学院ビジネスサイエンス系准教授。このほか、九州大学大学院法学研究院准教授、東京大学、名古屋大学、筑波大学等のロースクール講師等を歴任してきた。Chambers Asia Pacificに、独禁法分野(日本)を代表する弁護士の一人として12年連続掲載されている。当社はメーカーです。顧客である取引先各社がそれぞれにSDGs方針を作成し、その遵守を当社に求めています。微妙なズレがあるさまざまな方針を押しつけられており、対応に苦慮しています。“SDGs推進”や“セキュリティ水準確保”の名のもとで取引先に費用負担を求めることは、要求内容や交渉経緯次第では優越的地位濫用の観点から問題となるおそれがあるといえます。ただし、取引先の事業所管部門は独禁法解釈に通じているとは限りませんので、懸念を交渉の場で取引先に伝えたうえで、法務部門とともに検討するよう促すとよいでしょう。取引先からの要請に“受け身”の姿勢で対応するばかりでは、各社との個別交渉に労力を要し、対応に苦慮することになりそうです。貴社の商品製造プロセスなどは貴社自身が最も詳しいはずですから、むしろ、貴社自身がSDGs方針を作成して取引先にその検討を要請するという能動的な取組みによって、SDGsをよりよく実現できるように思いますし、さまざまな会社の方針の内容を精査する労力が大いに節減されることも期待できるでしょう。能動的対応のメリットを経営陣に伝えて認識を共有することが重要であると感じます。読者からの質問51ビジネスと理論を架橋する内外の専門的知見が突破口となる 独禁法分野においては環境問題に限らず、グローバルIT企業、プラットフォーム事業者等に対する規制のあり方もさかんに議論されている。議論が急速に深化している分野であるため、独禁法理論の潮流を理解することが重要だと平山弁護士は語る。 「“審査対象のビジネスが競争に影響を与えるか”について、また“どのような合理性を備えているか”について
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