Lawyers Guide 企業がえらぶ、法務重要課題 2024
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Q&AIR・SR活動は、経営・法務・財務・サステナビリティなど、さまざまな分野が関わるため、本来的にIR・SR担当者のみで対応することが困難な分野です。このため、株主との対話をIR・SR担当者任せにするのではなく、たとえば株主総会議案に対する議決権行使結果の理由を聴取する際など、株主との対話にも法務部の担当者が積極的に同席していくべきでしょう。担当者が担う。しかし、株主提案を受けるなどの“有事”となった場合には、法務部が外部専門家と連携し、対応することになる。このため、法務部はIR・SRの内容を常に把握することが望ましいと、大沼剛弁護士は指摘する。読者からの質問 「有事対応のベースとなるのは、当該企業のこれまでのIR・SR活動です。法務部はこの内容を踏まえて外部専門家と協議しなければなりません。コーポレートガバナンス・コードの改訂で株式の持ち合い構造が崩れたため、これまでのように容易に反対多数で株主提案を否決できるという状況ではなくなり、多くの企業の法務担当者が危機感をもつようになっています」(大沼弁護士)。 持ち合い解消で、有事発生の可能性は多くの企業で高IR・SR活動について法務部が把握するには、どのような方策がありますか。28政策保有株式解消の時代には平時のIR・SR活動が重要 会社法の第一人者によって設立された1964年以来、多種多様な上場企業の株主総会指導を手がけてきた弁護士法人第一法律事務所。同事務所は株主総会を“株主との重要なコミュニケーションの場”と捉え、法的なサポートにとどまらず、定性的な運営ノウハウなど、きめ細やかなアドバイスを提供してきた。そのコミュニケーションは、近年大きな変化を遂げている。 「東京証券取引所(以下「東証」)の要請などを背景に、株主提案の数が毎年増加傾向にあります。企業が正面から会社提案の合理性を説明する必要に迫られることも少なくありません」と語るのは、株主総会対応をはじめコーポレート分野の助言を通じて企業のトップと対話を続けてきた家近知直弁護士だ。 「企業は株主提案よりも会社提案の方が合理的であることを機関投資家などの大株主に説明し、賛同を募ります。総会直前時期、機関投資家の議決権行使担当者は複数の総会対応で時間がなく、十分に対話する時間を得ることができません。このため、平時からのIR・SR活動が重要になります」(家近弁護士)。 一般的に平時のIR・SR活動は、法務部ではなくIR・SRコーポレート読者からの質問に答える!平時のアクティビスト対策IR・SRにおける法務の役割とは弁護士法人第一法律事務所家近知直 大沼剛

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