Lawyers Guide 企業がえらぶ、法務重要課題 2024
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16事業部に近い管理部門として相談窓口・論点整理を “法的問題 = 法務部門”という図式はもう過去のこと。時代は、各役職員が法務に関する“リテラシー”を持ち、法務部門が社内全体の法務リテラシー向上のため能動的かつ多面的に行動することを求めている。C to Cマーケットプレイス事業で急成長し、今なお新サービスを開拓してグローバルな成長を志す株式会社メルカリの法務・ガバナンス責任者4名に、ファシリテーターとして山下総合法律事務所・山下聖志代表弁護士を迎え、業界・業種を問わず参考となる社内法務リテラシー向上の最前線(現在)と未来について闊達な意見が交わされた。山下弁護士 御社法務部門は“Legalチーム”と“Governanceチーム”という分け方が印象的です。自己紹介を兼ねて、法務セクションの体制について教えてください。菊池氏 コーポレート部門に“Legal & Governance Division”が 設置されており、私は法務、ガバナンスおよび知財、リスクマネジメントを所掌しています。その中には大きく分けて5チームあり、“Legal”“IP”“Risk Management”“Group Governance”に加えて、2023年秋に新規制や技術、新地域への進出時に関連しうる法令等をリサーチする専門のチー株式会社メルカリ菊池知彦 近藤雅史 宮島和生 瀬谷絢子ム(“New Reg, Tech and Regions”)をDivision内に組成しました。金融系子会社であるメルペイ・メルコインには別に専門の法務部門があり、当Divisionはメルカリ本体およびグループ全体を統括する機能を有しています。宮島氏 私がマネージャーを務める“Legal”では、“Biz & Corp Legal”と“Knowledge & Operation Management”の2チームがあり、前者は伝統的な法務相談・契約審査を担い、後者はナレッジ集積や法務業務の効率化のしくみ作りを推進しています。近藤氏 私は“Group Governance”チームのマネージャーを務めています。このチームでは、決裁権限の管理・運用、グループ会社の取締役会運営や適時開示・インサイダー取引規制、株式実務全般を担当しています。また、私は当社が指名委員会等設置会社への移行を受けて立ち上げた “Board of Directors Office”の責任者も務めており、取締役会、委員会の実効性向上に取り組んでいます。瀬谷氏 私は“Biz & Corp Legal”チームのメンバーと“Knowledge & Operation Management”チームのマネージャーを兼務しています。後者では、日本版Legal Operationsフレームワーク「Core 8」に沿い、戦略やITツールの活用など、広範なビジネス上の専門知識をもってリーガルサービスの最大化を目指しています。また、組織対談社内法務リテラシーの向上方法とコミュニケーション山下総合法律事務所山下聖志

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