SemReportinar 82026年改正(各訴訟手続のIT化)に向け、我々法曹も対応を迫られています。最後は、個人情報保護法施行規則/ガイドラインの改正(委員会への報告対象に「個人データ取扱いを予定する個人情報の不正漏洩」を含めるなど)であり、プライバシー・ポリシー、社内規程、委託契約書等の修正要否の検討がポイントです。法務案件の一元管理とナレッジマネジメントを実現AI契約書レビューではない、法務担当者が本当にほしかった“総合文書エディタ”PART 業務効率化の必要性と現状 セミナー終盤は、法対応を離れ、リーガルテックを活用した法務業務の効率化について、パネリスト間の情報共有が行われた。守田氏 リーガルテックサービスは、契約の“レビュー”機能の強化が一段落して“管理”にシフトした後、生成AIの導入を機に、“レビュー”改善が最近再加速している印象です。日進月歩で技術が進む中、その見極めが難しいですね。石渡氏 我々は“まだ入口くらい”と認識している状況です。電子契約の導入は、紙契約に特有の押印、袋とじ、印紙貼付等を削減でき、助かりました。データでの管理は更新IVAIでは補えない煩雑な契約書管理業務をまる投げできるサービス「BUNTANリーガル」淵邊氏 “AI法規制”については、EUが先行し、米国が「人工知能(AI)の安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令」(Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence)を発出(2023年10月)、日本も「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)や「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」(2024年4月)を通じてAI利活用の透明性向上を図っています。課題としては、アルゴリズムバイアスや知財・プライバシーの侵害、偽情報・ヘイトスピーチの生成・拡散が挙げられます。石渡氏 デジタルアセットのAI生成への移行や、AI生成したデザインを利用した新規サービスを検討するうえで着目しています。日本の特徴として、アウトプットの規制が充実する反面、インプット(機械学習)は自由度が高い。ただ、製品の海外販売となれば日本法のみの対応では不十分ですし、クリエイターへのリスペクトや著作権保護も重い問題です。守田氏 法律面でEUが先行するのは確かですが、米国では、既にAIをめぐる多くの訴訟が提起されており、米国を主要マーケットと位置づける多くの日本のIT企業も注意する必要があります。 早川氏 営業秘密、個人情報、第三者の著作物をインプットしないルールを原則としつつ、一部の生成AIでは制約を緩めて、“お試し”で運用・検証している段階です。山本氏 ユーザーに提供するのみならず、GVA TECHの中の業務でも、生成AIは活用しています。たとえば、ChatGPTは、“人格者”としての側面があるため、ヒューマンマネジメントの観点で気の利くメッセージを作成できるのは非常に助かっています。 注目法分野PART (人権・経済安全保障・AI)III セミナー後半では、“ビジネスと人権”“経済安全保障”“AI法規制”をテーマに、登壇者から多角的な議論が交わされた。淵邊氏 まず、“ビジネスと人権”について。「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の策定等を受け、企業の皆さんは取組み事項の選定にお悩みのことと推察します。守田氏 たとえば、人権DD一つをとっても、“何が自社(日本企業)にとって最適な実務であるのか”の確証が得られず、実効的とは言い難い状況です。サステナビリティの対象範囲も急速に広がり、対応に苦慮しています。 早川氏 昨年(2023年)、人権方針を制定し、人権DDも開始したばかりです。外部専門家を招いて先日ワークショップを開き、重要な人権課題の抽出を行いました。今後、優先的に取り組むテーマの特定、アンケートや対話による実態調査等を実施予定です。石渡氏 会社としての取組みはこれからです。ただ、“言うは易し”で、当社のような中小企業にとっては達成困難な場合が多いかもしれません。淵邊氏 “ビジネスと人権”は風評・株価への影響が大きい分野でもあり、状況は複雑です。この点、もともと個人の人権保護を得意とする弁護士が企業法務を得意とする弁護士とタイアップして企業課題に対処する流れも起きており、彼らとのパイプが強い法務部門の関与も重要といえます。守田氏 “経済安全保障”に関しては、重要経済安保情報保護法(「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(案)」)の成立を前提とするセキュリティ・クリアランス制度が取り沙汰されています。法務実務のレベルでは、厳格な輸出規制が大量破壊兵器関連から半導体、AIなどの周辺分野に広がり、さらに、投資規制・制裁関連のウォッチも不可欠になるなど、対象法規の範囲も大きく広がっており、強い緊張感を抱いています。
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