Lawyers Guide~Compliance×New World~
42/58

上場会社の顧問を数多く務める山下総合法律事務所。同事務所は、その専門性を活かして株式・金融関連の取引や相談に日々対応するとともに、株主対応や総会対応を行うことが多いのが特徴だ。同事務所代表の山下聖志弁護士は、近年は時流の変化を受けてさまざまな行動をとる株主が増え、その対応にも柔軟さが求められていると語る。「近年の株主が求めるものは対話や実利など実に多様で、新しい論点も増えてきました。今回は私自身が近年直面した事例と対応のポイントをご紹介し、自社でも想定されうるトラブルへの気付きやその対応への一助としていただければと考えています」。新型コロナウイルスの感染拡大により、定期株主総会の人数制限やオンライン開催が広がった。某企業の株主総会においても、事前抽選による入場者制限を実施したが、そこで想定しない事態が発生したそうだ。「ある機関投資家が抽選への応募なく突然来場し、株主の権利が制限されていると主張し入場を求めたのです。入場を拒否したら法的手段も辞さないといった強硬姿勢で、その場において冷静かつバランスに配慮した判断が求められました」。当日は空席があり、他の株主の出席権を侵害するおそれが低かったことから例外的に入場を許可することを助言して場を収めたものの、山下弁護士は経営陣との対話を制限された株主の沸々とした不満を実感したという。「入場制限やオンライン開催は株主総会開催の事務負担を減らす面もあり、積極的に導入する企業もあるでしょう。一方で、これからは感染予防を理由に株主との対話がおろそかになっていないかという視点がますます重要になると思います。来年以降はバーチャルオンリー総会も法的に可能になるだけに、株主の納得感を得られる運営方法や当日対応の準備が欠かせません」。株主総会担当者は、毎年、異議や不規則発言等で毎年40時勢の変化が株主行動に影響新しい論点・トラブルも発生株主総会の人数制限に株主の納得は得られるのか発言内容が変化してきた劇場型の問題株主多様化する株主対応時勢の変化とともに多様化する株主対応。企業はいかに備えるべきか山下総合法律事務所山下聖志

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る