Lawyers Guide~Compliance×New World~
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連絡先米倉 裕樹 弁護士です」(塩津弁護士)。一方で、不正の防止体制整備はまだ普及しているとは言いづらいと説明するのは塩津弁護士。「役員責任が問われるような不正が発生して初めて、全社的な取り組みを行うことが多いですね。慣行ベースの業務の経理・財務とリスクベースで考える法務の業務のアプローチが異なるため、両者の連携のハードルは高いといえます。しかし、実際に法務部門も関与して再発防止に取り組むと、同種の不正の発見や、類似の取引との区別など、より実効性のある措置がとれることが実感できるはずです」(塩津弁護士)。体制整備を進めるには、トップマネジメントの積極的な関与・指導が必要だと米倉弁護士は指摘する。「不適切な処理は営業や購買など事業部門の現場で生じることも少なくありません。事業部門から経理・部門への情報集約と法務部門との連携も含め、全社的に取り組むことが必要なのです」(米倉弁護士)。企業に重加算税が賦課された場合にはレピュテーションに与える影響も大きい。しかも、経営陣が直接関与していなくても、役職員の横領等の不正行為は会社の行為と同視され重加算税が課される場合もある。「不正の原因が実行者の権限に属さない場合や、内部統制システムが機能しても不正の発見が容易でない場合は重加算税が課されない場合もあります。過去には賦大阪事務所 北浜法律事務所・外国法共同事業〒541-0041 大阪府大阪市中央区北浜1-8-16 大阪証券取引所ビル           TEL:06-6202-1088(代表)東京事務所 弁護士法人北浜法律事務所東京事務所〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー14階             TEL:03-5219-5151(代表)福岡事務所 弁護士法人北浜法律事務所福岡事務所〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉1-2-25 キャナルシティ・ビジネスセンタービル4階  TEL:092-263-9990(代表)URL:https://www.kitahama.or.jp/塩津 立人 弁護士安田 雄飛 弁護士課されず済んだという経験ベースの判断だけではなく、リスクベースの視点を持った法務部門と連携して、会社が不正を防止しうる体制を作ることが、結果的に重加算税の賦課のリスクを減らすことにもつながるでしょう」(米倉弁護士)。米倉 裕樹Hiroki Yonekura93年立命館大学法学部卒業。96年司法試験合格。99年弁護士登録(大阪弁護士会)。06年ノースウェスタン大学ロースクール修了(LL.M.)、北浜法律事務所入所。07年ニューヨーク州弁護士登録。10年税理士登録(近畿税理士会)。15~17年日本弁護士連合会税制委員会委員、近畿弁護士会連合会税務委員会委員長。塩津 立人Tatsuhito Shiotsu 01年司法試験合格。02年京都大学法学部卒業。03年弁護士登録(大阪弁護士会)、色川法律事務所入所。10~12年金沢国税不服審判所国税審判官、12~13年大阪国税不服審判所国税審判官。13年弁護士再登録(大阪弁護士会)、北浜法律事務所入所。安田 雄飛Yuto Yasuda08年京都大学法学部卒業。10年京都大学法科大学院修了。11年弁護士登録(東京弁護士会)、三宅坂総合法律事務所入所。16~19年東京国税不服審判所勤務国税審判官、19年弁護士登録(大阪弁護士会)、北浜法律事務所入所、税理士登録(近畿税理士会)。近畿税理士会東支部幹事、近畿弁護士会連合会税務委員会委員。39横領など不正行為のリスクには法務視点の予防・対応が必須Profile

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