連絡先澤井 俊之 弁護士特定・分析し、これを予防・軽減し、どのように対処するかを説明するための“継続的活動”です。自社に対するリスクではなく、権利を有するすべての人々(ライツホルダー)に着眼するところが特徴です。調達先の従業員の過酷な労働条件や低賃金を解決するというのはわかりやすいかと思いますが、事業活動が行われる地域社会の住民にまで視点を向けなければならず、例えば調達先の製造工場からの排水による水質汚濁に起因する健康被害なども人権侵害に該当します。見るべき範囲が広く、“すべてのビジネス部門で人権侵害が発生しているかもしれない”という意識を持ち、全社横断的な対応が求められるのです。ただし、いきなりすべてを解決しようとする必要はありません。まず、各リスクの重要度を深刻度と影響が生じる可能性の観点で評価し、リスクをマッピングした上で、優先度が高い人権課題から一つずつ対応していきましょう。また、これらの取り組みを適切に開示することも重要です。財務情報と違い、非財務情報の開示には雛形澤井 俊之Toshiyuki Sawai06年京都大学法学部卒業。08年京都大学法科大学院修了。09年弁護士登録(第一東京弁護士会)。17年University of Michigan Law School卒業(LL.M.)。17~18年Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP(New York)勤務、18年ニューヨーク州弁護士登録。18~20年金融庁企画市場局市場課勤務。大阪事務所 〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島2-3-18 中之島フェスティバルタワー27階 TEL:06-6208-1500(代表) FAX:06-6226-3055東京事務所 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル2階 TEL:03-5224-5566(代表) FAX:03-5224-5565名古屋事務所 〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4-4-10 名古屋クロスコートタワー16階 TEL:052-563-7800(代表) FAX:052-561-2100URL:https://ohebashi.com平井 義則 弁護士のようなものがなく、各企業のオリジナリティが必要です。今後の成長戦略によってさまざまな書き方があり、我々もサポートしていますし、弁護士など第三者のアドバイスが入ることによって、企業の客観性や透明性も高められます」(澤井弁護士)。「人権尊重責任は今後、企業にとって最も重要なものの一つとなるはずです。人権に配慮した企業活動を行わなければ、仮に適法であったとしても投資家や社会から批判を浴び、自社のブランドイメージを大きく毀損してしまいます。しかし、これを“リスク”として捉えるのではなく、企業価値の向上につながるものとして捉えることもできるはずです。人権DDのプロセスの実施状況と結果を自社ホームページ、サステナビリティ報告書など、各種媒体で適切なタイミングで積極的に発信することによって企業価値を高めることも、今後の企業活動に求められることになるでしょう」(平井弁護士)。平井 義則Yoshinori Hirai08年京都大学法学部卒業。10年京都大学法科大学院修了。11年弁護士登録(大阪弁護士会)。18年Northwestern University School of Law 卒業(LL.M.)。18~19年Alston & Bird LLP (Atlanta) 勤務、19年ニューヨーク州弁護士登録。19年~京都大学法科大学院非常勤講師。37Profile
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