連絡先松尾 博憲 弁護士今後のWeb 3/メタバース業界の行方を見極める上で、キーとなるのはマクロ的な国際社会の視点と個々の関係者の意識変容というミクロ的な観点だ。「私が主に取り扱っている税務の分野では、課税ルールには国により複数のパターンがあります。欧米の先進諸国では暗号資産やNFTに対する課税のあり方をめぐる議論が深まる一方で、原則非課税としてマーケット活性化を狙うシンガポールのような例もあります。日本は主に欧米の動向を見ながら、他国に比べ不利にならないルール作りを志向するものと推測しています」(遠藤努弁護士)。「技術的な側面が注目されがちですが、GAFAなど巨大ITプラットフォーマーに一極集中していた権限・データ・富の一極集中を個人に取り戻すという大きなパラダイム転換と捉えることも可能です。そうすると、ビジネスモデルや組織のガバナンスの考え方、さらには人々の考え方や行動も変容していくことになると思われるので、それにより既存の法制度・法解釈のうち何を維持して何を変えていくべきか、冷静な見極めが必要です」(殿村弁護士)。伝統企業とテック・ベンチャーを分かたず、経営戦略の舵取り役である法務担当者にとっても、プレゼンスを示す絶好のタイミングが訪れている。「拡大するマーケットに参入するメリットとユーザー保護の要請とのバランスを意識することが法務担当者には期待されていますし、動きの速いWeb 3の世界では、法改正の動向にも常に関心を持つ姿勢が望まれます」(遠藤弁護士)。「“トークン”や“VR/AR”といった新たな技術を用いた新しい取引や当事者間の関係を、まずは既存の法体系やリーガルフレームワークに照らして冷静に分析することは、法〒100-7036 東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワーTEL:03-6889-7000(代表) URL:https://www.noandt.com/殿村 桂司 弁護士遠藤 努 弁護士務の重要な役割です。その上で、残るリーガルリスクをいかにマネジメントして新しいビジネスをサポートするか。Web 3やメタバースについて網羅的に記された法務関連の書籍は僅少であり、非常に動きの速い世界です。世間のトレンドにアンテナを張られる中で、リーガル面で不明確な部分に知見・助言をお求めの際は、我々にご相談ください」(殿村弁護士)。松尾 博憲 Hironori Matsuo04年東京大学法学部卒業。05年弁護士登録(第一東京弁護士会)。09~15年法務省民事局参事官室勤務。法務省民事局では民法(債権法)改正の立案作業を担当。主な取扱分野は、一般企業法務、消費者関連法、民事・商事争訟、テクノロジー関連法務、バンキング、買収ファイナンス。殿村 桂司 Keiji Tonomura04年京都大学法学部卒業。06年京都大学法科大学院修了。07年弁護士登録(第一東京弁護士会)。13年Columbia Law School卒業(LL.M)。13~14年Kirkland & Ellis(シカゴ)。M&A取引、知財関連取引、企業法務全般を中心に取り扱い、TMT業界の案件やテクノロジーの発展が生み出す新しい事業分野の案件にも幅広い経験を有する。自由民主党デジタル社会推進本部「NFT政策検討プロジェクトチーム」ワーキンググループメンバー。経済産業省「スタートアップ新市場創出タスクフォース」構成員。遠藤 努 Tsutomu Endo06年東京大学文学部卒業。09年東京大学法科大学院修了。10年弁護士登録(第一東京弁護士会)。16年Universit of Cambridge卒業(Master of Corporate Law)。17年Vienna University of Economics and Business(Wirtschaftsunivers ität Wien)卒業(LL.M.)。自由民主党デジタル社会推進本部「NFT政策検討プロジェクトチーム」ワーキンググループメンバー。25国家から企業へ、企業から個人へ冷静な視点で方向性を見極めるProfile
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