Lawyers Guide~Compliance×New World~
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後藤 出 弁護士「組織は“人”です。まず、社内役職員に対し、情報の取り扱いに関し、何がどの程度のリスクとなるかを意識させるとともに、適切かつ迅速な情報伝達の実践方法を構築し、また守秘義務の遵守を継続して意識する仕組み作りが必要です。また、不正が起こりやすいような企業風土を是正し、コンプラアインスを遵守し、愛社精神が醸成されるような職場環境作りが求められます。内部通報制度などは最後の手段であり、そこに至る前に、経営トップがイニシアチブをとって、自社を良くしようと思う社員の声を反映できるよう、風通しの良い組織とすることが、適切な情報管理につながっていくといえるでしょう」(豊田弁護士)。「暗号資産の将来性に対する見方は、昨年来かなりポジティブなものになってきています。例えば、テスラが自社の電気自動車を暗号資産で購入できるようすると発表したり、暗号資産先物のETFが承認されたり、米国開示すべきもの、守るべきもの、広報戦略、社内体制の整備など、一朝一夕に培えるものでなく、日頃から整えていく必要があります。世界のトレンドがどのように進んでいくのか、現時点では何ができるかを考え続けていくことが大切ですし、弁護士もサポートできる部分だと思います」(武田弁護士)。齋藤 崇 弁護士での暗号資産の取り扱いの幅が急速に広がってきたことがきっかけです。また、不正流出などの事件がここ数年なかったこともあります。しかし、重要なポイントは、決済手段への活用と、AML対策の進展にあると思っています。まず、決済手段への活用についてですが、米国では、かなり前から暗号資産取引の決済手段として“ステーブルコイン”と呼ばれる法定通貨と連動した暗号資産が用いられてきました。最近ではNFTなどブロックチェーン上で取引される新しいデジタル資産が注目されており、その決済手段として暗号資産が期待されています。さらに一般の事業会社も顧客サービスとして暗号資産での決済に対応し始めており、決済手段としての暗号資産が徐々に姿を現しつつあります。AML対策については、暗号資産の匿名性に伴う課題の克服がテーマとなります。アドレスさえ交換業者に伝えれば送金してくれる、受取人がどのような人かを問われることなく、受取人が制裁対象者であったりマネーロンダリングに使われる可能性があったりしても送られてしまう。そのような匿名性は、もともとは暗号資産の魅力でもあったわけですが、現在では厳しい目が注がれています。しかし、このようなリスクを克服するための取り組みが2022年から2023年にかけて急ピッチで進められています。その結果として、日本は暗号資産をめぐるAML対策において世界でも充実した国の一つになるのではないかと思っています」(後藤弁護士)。「暗号資産投資ファンドの組成や暗号資産を信託財産とする信託・暗号資産関連デリバティブ取引を行う信託の引き受けについて検討するなど、金融機関においても暗号資産を取り扱うことについての関心は高かったのですが、投信法や銀行法、兼営法などの各種法令や、金融庁の監督指針による規制により、現状は金融機関において暗号資産の取り扱いが許容される場面はかなり限定的になっています。当事務所が手がけた案件が実現しそうになったものの、最終的に金融庁の承認を得られず、断念せざるを得なかった事例もあります。ただ、米国での暗号資産の取り扱いの拡大を受けて、海外の暗号資産取引業者からの、日本の規制状況などに関する問い合わせ22暗号資産の今後トラベルルールやステーブルコインの行方暗号資産をめぐっては、いまだにネガティブな議論が目立つ。「単なる投機の手段にすぎない」「犯罪の隠れ蓑になる」という2点である。このような議論に対して、後藤出弁護士と齋藤崇弁護士は「マネーロンダリング対策(Anti-Money laundering:AML)の向上と決済手段としての活用によって、暗号資産は今後、ブロックチェーン取引、ひいては社会経済の発展に寄与するものとなっていくと考えています」と述べる。特に、後藤弁護士は日本暗号資産取引業協会の顧問弁護士として、暗号資産取引に関する規制全般を見るだけでなく、業界の自主規制の整備にも尽力する。

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