Lawyers Guide~Compliance×New World~
21/58

連絡先〒100-8222 東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内パークビルディングTEL:03-5220-1800(代表)   URL:https://www.mhmjapan.com/ja/あります。日頃から相談を受けている企業に株主提案があった場合と、株主提案をきっかけに相談が持ち込まれる場合です。株主提案への対応は、日々の組織運営の把握が重要です。日頃接点のある企業には、取締役会レベルで自社のESG・サステナビリティ課題を定義し、その課題解決のための戦略や計画を立て、モニタリングするというPDCAを企業の実情に合う形で実施することが肝要だとアドバイスをしており、有事に対する備えができています。株主提案後のご相談の場合は、これまでの取り組みを把握し、他社事例における知見も用いて、株主提案へのアピールポイントがどこにあるかを検討します」(近澤弁護士)。取締役会運営では、ESGに関する経営課題に取り組むスキルを持つ人材が求められているものの、人材不足が顕在化しているという。米国では株主側が社外取締役の選任を提案し、採用された事例も発生している。「人材は不足している状況ではありますが、そもそも“どのようなESGスキルを持つ人材が必要か”について検討していない企業も多く、まずは必要なスキルを具体的に検討するアクションが必要です。専門人材の社外取締役就任が難しければ、ESGの専門家をアドバイザーとして雇い、アドバイスを得る体制を整えるという手もあります。ESG対応に唯一の正解があるわけではなく、まずは、会社の規模や実情に応じて可能な範囲から始めることが肝要ですので、相談を受けた際には、その点もご説明しながら適切な対応を検討します」(邉弁護士)。田井中 克之Katsuyuki Tainaka04年東京大学法学部卒業。06年東京大学法科大学院修了。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)。13年ペンシルベニア大学ロースクール修了(LL.M.)。14年ニューヨーク州弁護士登録。15年公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員登録。近澤 諒Ryo Chikasawa07年東京大学法学部卒業。08年弁護士登録(第二東京弁護士会)。16年ペンシルベニア大学ロースクール修了(LL.M.)。17年ニューヨーク州弁護士登録。同事務所には、企業からESG委員会設置等の体制についての相談も多く寄せられている。「“企業の体制案に違和感がないか”というご相談が多いですね。体制については、委員会を設置するか、設置するとして執行部と監督側どちらに設置するかなどの論点がありますが、執行側がきちんとしていることが、きちんとした監督の前提でもあります。企業の事情を踏まえた体制のあり方や、コーポレートガバナンス・コードに則り行う開示の内容に関するご相談が増えてきました」(邉弁護士)。一方で、ESG委員会の設置は増加傾向にあるものの、上場企業の主要企業の一部に限られる。近澤弁護士は委員会の設置は必須ではなく、ファンクションとして考えることも必要だと説明する。「いま、一定以上の規模の上場会社には既にESGやサステナビリティの担当部署があります。これに加えて、別途委員会を設置する場合、そもそもどのような役割を担わせるべきか、多くの担当者が十分に納得していないように感じます。“トレンドだから”と設置に向けた検討を進めるものの、具体的な構成や機能を定めるにあたって、あまりに多様な選択肢があって、決められないことも多いのでしょう。我々弁護士は情報センターとしての機能も果たします。委員会設置の要否や設計について、トレンドに加えて、株主提案のような有事対応時における説得力という観点も取り入れて助言するようにしています」(近澤弁護士)。宮田 俊Suguru Miyata05年東京大学法学部卒業。07年東京大学法科大学院修了。08年弁護士登録(第二東京弁護士会)。14年ニューヨーク大学ロースクール修了(LL.M.)。15年ニューヨーク州弁護士登録。17~18年金融庁証券取引等監視委員会出向。邉 英基Hideki Ben07年慶応義塾大学法学部卒業。08年弁護士登録(第二東京弁護士会)。14年ミシガン大学ロースクール修了(LL.M.)。15年ニューヨーク州弁護士登録。15~18年法務省民事局出向。19なぜESG委員会の設置が必要か実効性を踏まえた検討をProfile

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る