Lawyers Guide 2025
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クライアントや案件に応じた最適なチーム編成で信頼構築野尻 奈緒 弁護士Nao Nojiri 固定のチーム制ではなく、案件ごとに東京・大阪全メンバーから最も適切なチームを柔軟に組成するところも同事務所の特徴の一つだ。 「クライアントごとに担当弁護士は固定しています。これはクライアントとの信頼関係の構築と情報蓄積、固有の状況や事情も踏まえたアドバイスを行うことを可能とするためです。一方、何か個別の案件があった場合には専門性を考慮したメンバー追加を、危機対応など大量の人員が必要な案件にはそれに応じた人数をアサインするなど、クライアントの利益を最大化するためのチームを編成していきます」(野尻弁護士)。 「信頼関係を築くためには、クライアントについて学ぼうとする姿勢をいかに示せるかが重要です。そのためには、本社だけではなく工場があれば工場にも足を運びます。事業会社での有事は工場などの現場で起こることが大半です。管理部門と現場の心情が乖離することも多々あります。その際、“いかに双方に納得感のあるバランスで調整できるか”が信頼につながっていきます」(山本弁護士)。 この特徴は新人教育においても同様だ。OJTによって最初はさまざまな分野の案件に関与することとなる。 「案件ごとに組む弁護士が変わりますので、法分野だけではなく、案件への取り組み方や準備の仕方もそれぞれ勉強になります。それらの一番よいものをハイブリッドで吸収して成長していきたいです」(坪谷弁護士)。DATA坪谷 優作 弁護士Yusaku Tsuboya山本 幸治 弁護士Koji Yamamoto那須 秀一 弁護士Hidekazu Nasuでもできる。アプローチや方向性で切り抜け、時には“マイナスにならない対応”の仕方も提案する。 「たとえば競争法の案件の場合、“そのクライアントはどの分野で活躍しているのか”“どういった競合他社がいるのか”“どこで利益をとるビジネスをしているのか”を把握したうえで法律に当てはめていきます。また、アグレッシブな対応か、それとも保守的な対応をしたいのかなど、そのクライアントが持つスタンスや重視するポイントに応じたアドバイスを提供しています」(那須弁護士)。 「新規事業の相談を受けたとき、“現状のスキームでは法的に無理でも、方法を変えれば可能になることがないか”を考えます。M&Aの際も、株式取得ではなく新会社を設立して事業だけを取り出す、ホールディングス化を提案するなど、ビジネスの目的に辿り着けるよう模索します。私も含めて民間企業への出向経験のある弁護士も複数在籍していますので、“企業内部の意思決定過程でどのような検討や対応が必要か”といったことを意識できるのも私たちの強みです」(野尻弁護士)。 「人事労務においては、クライアントとしては懲戒処分としたい意向がある場合でも、紛争リスクにより“法的には厳しい”というケースがあります。その場合、紛争を未然に防ぐために裁判所の視点を意識しつつ、“処分は少々軽くするけれども、何らかの条件をつける”というようなアドバイスをすることもあります」(坪谷優作弁護士)。 企業側にも同事務所の理解の深さは伝わり、事業部から直接相談が寄せられることもある。大阪で培われた温もりある“相談相手”としての姿勢が全国で好評を得ていると言えよう。9506年大阪大学法学部卒業。08年京都大学法科大学院卒業。09年弁護士登録、きっかわ法律事務所入所。15~17年民間企業出向。17年きっかわ法律事務所東京事務所。東京弁護士会所属。▶所属弁護士等弁護士32名(2024年11月現在)▶沿革 1942年5月、仮差押・仮処分制度研究のパイオニアとして名高い故・吉川大二郎弁護士によって創立17年北海道大学法学部卒業。19年一橋大学法科大学院卒業。20年弁護士登録、きっかわ法律事務所入所。大阪弁護士会所属。04年京都大学法学部卒業。05年弁護士登録、長島・大野・常松法律事務所入所。07年きっかわ法律事務所入所。11~13年公正取引委員会事務総局審査局審査専門官(主査)。20~22年大阪大学法科大学院非常勤講師(「経済法2」「経済法演習」担当)。大阪弁護士会所属。02年京都産業大学法学部卒業。06年弁護士登録。11年きっかわ法律事務所入所。大阪弁護士会所属。

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