Lawyers Guide 2025
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緻密かつ大胆な戦略と行動で早急な名誉回復を実現社会問題を契機とした二つの法改正〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-11-1 オランダヒルズ森タワーRoP1005 【TEL】 03-6803-4311 【FAX】 03-6803-431290日本代表・伊東純也選手が準強制性交等罪などで刑 「本件では、伊東選手の名誉を早急に回復し、練習やしまう。メディアに“1”書かれてしまったら、“10”打ち返すぐらいでなければイーブンにはなりません」(加藤弁護士)。を浴びることとなる。弁護士としては相当の覚悟がなけ 加藤・轟木法律事務所は、消費者問題や大規模紛争等で著名な加藤博太郎弁護士と、スタートアップの支援から米国上場対応を含む幅広い業務を扱う轟木博信弁護士の事務所が合併し、2024年7月に設立された。開所間もない同事務所の大きな成果の一つが、サッカー事告訴された事件の不起訴による名誉回復である。試合に出続けられるようにすることが最大のポイントでした。時間が経てば経つほど“不確かな疑惑”が膨らんで 加藤弁護士が描いた戦略は、虚偽告訴罪で逆告訴することと、速やかに損害賠償請求訴訟を提訴することであった。この逆告訴は、「スラップ訴訟だ」などの非難ればできないことである。一方、轟木弁護士は収集した証拠をもとに“法的にどこまで主張できるのか”を緻密に検討し、警察・検察の対応にあたった。その結果、捜査機関が被害者側の供述を軸に犯罪事実を構成して起訴に至るケースが大変多い性犯罪において、不起訴による名誉回復を成し遂げたのである。 伊東選手は9月5日の代表復帰戦で1ゴール2アシストを記録。多くのサポーターから伊東選手に贈られた暖かい拍手は、まさに同事務所の戦略の正当性を如実に物語っている。「日本サッカー協会のスタッフや伊東選手の関係者から感謝の連絡をもらったときは、本当にやりがいを感じました」(轟木弁護士)。 一見、異なる専門分野の事務所合併のようだが、大学時代の憲法学のゼミ(小山剛ゼミ)で同期であった両弁護士は、“社会正義のための法律家”という共通項で結びついている。それはスルガ銀行不正融資問題、かぼちゃの馬車事件、熱海土石流問題などに見出すことができる。 「私たちの訴訟を契機として、二つの法改正を成し遂加藤・轟木法律事務所

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